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2010.08.01
世界遺産のエオリエ諸島へ
昨日、イタリア本土からフェリーでシチリア島に渡り、メッシーナとパレルモの間にあるオリヴェリという町のキャンプ場に到着した。ここに滞在を決めたのは、パレルモまで一日で行くと遠すぎるので、パレルモに行くのに便利な距離でしかも世界遺産のエオリエ諸島へ日帰りで行けるという理由からだった。
到着して見れば沿岸は火山灰のような黒い砂浜で風が強いのでウィンドサーフィンには向いているかもしれないが、私達の好みのビーチではない場所だった。キャンプ場も割高ということもあり、到着早々、さっさとエオリエ諸島へ観光して次のパレルモに向かおうと決めたのだった。
エオリエ諸島は2010年現在イタリアで唯一のユネスコ世界自然遺産なんだそうだ。アマルフィ海岸は自然遺産じゃないのね。70万年以上前の噴火によってできた島々の中には今も噴煙を上げるものや、海から温かい空気が噴出して温泉のようになった場所がある。
私たちはオリヴェリから来るまでミラッツォMilazzoまで行き、ミラッツォに車を駐車して(1日5ユーロ)水中翼船でリパリ島とヴルカーノ島を訪ねてきた。リパリ島はエオリエ諸島の中でも一番大きくて観光の拠点になる島で、ヴルカーノ島は海中温泉がある島だ。
水中翼船の会社はSiremarを利用。水中翼船が発着する桟橋から目の前の道路を渡った場所に事務所があってチケットを購入する。ミラッツォではミラッツォ〜リパリ(33.6ユーロ/人)のみ購入し、あとは行く先々でリパリ〜ヴルカーノ(11.6ユーロ)、ヴルカーノ〜ミラッツォ(30ユーロ)のチケットを購入した。あまり本数がないので、ミラッツォで船の時刻表をもらって計画を立てる事が必要。
お弁当を作って持って行ったが、いずれの島にもカットピザやアランチーニ(ライスコロッケ)を売る店やレストランもあるので持って行かなくとも大丈夫そうだった。値段は未確認なので何ともいえないが島なので割高かもしれない。
それでは詳細を。
オリヴェリからミラッツォまでは有料高速道路を使って30分で到着したのだが、問題は駐車場だった。エオリエ諸島行きの水中翼船が出る場所に近づくと、バイクに乗った青年が近付いてきて「エオリエ諸島に行くのか?」と聞いてくる。そうだと答えると「駐車場に案内するからついて来い」というのだ。駐車料金を尋ねると20ユーロだと言う。ロンリープラネットには10ユーロだとあったので、全く論外な値段だった。そのまま走ると右手に水中翼船乗り場の桟橋が見えて、そのすぐ先に駐車場が見つかった。これこれ、これだよね。と車を停車したのだが看板に「この場所は1時間以内の短時間駐車場です」と書かれていてこれもだめ。駐車場の外にはバイクの兄ちゃんが待機している。
そこに旅行代理店のパンフレットを路上で配布しようしている女性がいたので、駐車場の場所を聞くと数ブロック右や左に行った先にあると教えてくれて、料金も10ユーロだというので行ってみた。ビル型の普通の駐車場に見えたのだが、入口で門番をしている男たちが普通じゃない。太い葉巻をくわえたその顔や衣類がどうみても堅気には見えないのだ。「はい、車はこっちに回して」と誘導されかかったのだが、ちょっと待った―!と料金を聞くと25ユーロだという。さっきより高くなってるじゃないか!「いやいやいやいや、ちょっと他を探します」と言うと急に笑顔が消えて「何じゃとこりゃぁ」という不機嫌顔になった。
おお、まさに生のシチリアだ!
手前が1時間以内、向こう側横向きが普通の有料駐車場。 |
スピードくじみたいな駐車券。
月と日を削ってマークしてダッシュ
ボードに置いておく。 |
何かされないうちにさっさと退散だ。走っていたら警官を発見したので聞いてみると街中で白線を引いた場所が無料、ブルーの線を引いた場所が有料駐車場なので走って探せぃと言われる。
んなこといってもミラッツォの地図なんてないしなぁ。困って1時間以内駐車場に戻ると、安全そうな一般市民が車から出てきたのでようやく情報を得ることができた。今いるエリアは確かに1時間以内の駐車場なのだが、このエリアのすぐ外の路上に有料駐車エリアがあったのだ。すぐに車をまわして駐車。やれやれ。で、お金はどこで支払うのだろうか。料金支払いポストが全然見当たらない。道を渡ったバールに聞いてみると「うちで販売してるよ」という。バスや電車の切符を販売するように、ここではバールで駐車チケットを買うことになっていた。こうして1日駐車券5ユーロを購入してやっと駐車できたのが20分後だった。
早速、水中翼船を走らせている会社Siremarの事務所に行ってミラッツォからリパリ島へのチケット(33.6ユーロ/人)を買って時刻表も入手、10時半発の水中翼船に乗ってリパリ島に出発した。
リパリ島へは約1時間。中にはスーツケースを持った人もいてリパリ島に宿泊してゆっくりとエオリエ諸島を楽しむようだったが、大半は日帰りの感じだった。
リパリ島はエオリエ初頭の中心だけあってメインストリートには土産物屋やホテルやレストランが並んでいてちょっとした通りを作っていた。ここでの見所は丘の上の城塞や大聖堂だというのでメインストリートをぶらぶらと歩いて途中から丘に上った。
水中翼船の窓越しに撮影したリパリ島の城塞部分 |
街中は低階層の建物が並ぶ可愛い感じ |
城塞への上り坂 |
城塞に開いた穴から港方面をのぞむ |
丘から見下ろす海はとても美しかった |
城塞の隣の丘一帯は州立考古学博物館や教会、大聖堂などが集まっていた。 |
教会は内部はアーティストのギャラリーとして利用されていた。 |
この大聖堂はノルマン時代に創設。こんな南までノルマンが来ていたというのは本当に驚きの事実だ。 |
大聖堂のある丘の向こう側の景色 |
土産物屋の絵葉書から |
土産物屋の絵葉書から |
土産物屋の絵葉書から |
港から歩いて回れる場所には文化的な遺産はあるものの泳いで気持ちのよさそうなビーチはなかった。島の反対側にバスに乗って行かなくちゃならないようだ。どこの場所に行っても土産物屋の絵葉書はその場所の見所を示す格好の無料材料なのだが、ここで見る限り焦って行くほどの見所はないのだと判断できた。そこで到着して30分後に出発する水中翼船で次の島ヴルカーノに向かう事にした。
ヴルカーノ島へは20分、フェリー代金は11.6ユーロはちょっと高いが仕方ない。島に到着して細くくびれた道を歩いて島の反対側に行くと目的地の泥温泉と海中温泉がある。
島の地図を見ると北部に大小2つの火山が見られ、島は南部に長く伸びている。スクーターを借りて島巡りもできるような事がポスターに書いてあった。それも帰りの水中翼船の時間を考えると今回は時間的に無理。
ということで、泥温泉と海中温泉を満喫して時間を過すことに決定した。
ちょっとした土産物屋の並ぶ道を500mくらい歩いただろうか、反対側の海が見えてくる手前に泥の池が見えてくる。
入場料は一人2ユーロ、シャワーを使うなら更に1ユーロを支払って中に入る。左手に簡易の脱衣所とロッカー(使わなかったので無料なのか、カギは自前なのか不明。すみません。)とシャワーがあるが、私たちはまっすぐ池に進み池のほとりで着替えてさっそく泥につかった。生温かい泥温泉は所々で沸々と泡立っている。泡の発生している場所の中にはあちちというくらいに熱い場所もあり、そういう所にお尻をつけて座ると水着が破れてしまう危険性もありそうっだった。実際、荷物を置いていた場所が硫黄の吹き出し口だったようでラオスで300円で買った布バッグは穴が開いてしまった。
港から温泉に向かう道 |
入口の小屋 |
泥温泉。硫黄色の小山がリアルでしょ。向こう側はすぐ海だ。 |
とにかく泥を塗りたくりたい人が多数。 |
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泥温泉の底にはそんなに泥が積もっていない。昔はたくさんあったのに、あまりに多くの人がこそげ取ってなくなってしまっているのかもしれない。それでも泥を体に塗りたい人は池の縁の泥をかき集めて必死に塗りたくっていた。その必死ぶりがおかしい。
ヨルダンの死海も泥パックを販売しているくらいだから効果があるに違いないと、必死に泥をかき集めて塗りたくる人が多かったことを思い出した。しかし、死海もここも、そうして必死に集めた泥は既に多くの人の体に塗られていた物に違いなく、あんまり塗る気になれないなぁ。とか思いながらも、一応記念で私も塗ってみた。この後、顔を洗う時に若干目に入ったらしばらく目が開けられない。あ、焦った。硫黄をなめてはいけない。
普通に温泉につかっていればサラサラしていてそんなに泥だらけにはならないので、ザザッとゆすいで目の前の海に入る事ができる。必死に塗りたくった人は、そのまま海に入ろうとして係員に池で泥を落としてこいと一人ひとり注意される。「えええ?この泥だらけの姿で海に入っている写真を撮りたかったのに」と顔に書いてあるようにわかりやすい表情のイタリア人は見ていて面白かった。
今度は目の前の海中温泉に入ってみよう。一見普通の海に見えるのだが人が集まっている所に目をやるとボコボコと海中から気泡が上がってきている。その辺りはぼんやりと温かくなって温泉になっているというわけだ。右手は小さな湾になっていて石を積んで本当に温泉のように水たまりを作っているので、ゆったりと寛いでいる人の姿も見えた。
一見普通の海。左手には普通にビーチがある。 |
ある部分でボコボコと気体が上がっている。撮影しているとすぐに反応してくる。イタリア人はノリがいいなぁ。 |
右手の小さな湾 |
すっかり温泉状態 |
こうして2時間ほど泥温泉と海中温泉を行ったり来たり。シチリアの海の水は基本的に冷たいし、泥温泉も温い程度なので火照るということはないし気持ちがよかった。
午後3時45分に切り上げてジェラートを食べ、午後4時20分の水中翼船でミラッツォまで戻ってきた。来る時にミラッツォの高速出口に大型のショッピングモールがあるのを見つけて、帰りに食材調達しようとちょっと早目にに帰ってきたのだった。
エオリエ諸島は結局、島への往復と島間の移動に一人70ユーロくらいもかかる。だから島に宿泊してゆっくり楽しまないとちょっと損だったなぁという感じがした。しかし、リパリ島にリーズナブルな宿があるのか不明だし、宿泊料金で100ユーロなどかかるようなら、費用の割にはそんなに見所がない場所ということになるだろう。確かに泥温泉と海中温泉は面白かったがコストパフォーマンスを考えると贅沢な観光地だったという結論だ。でもねぇ、折角シチリアまで来て行かないというのももったいないからねぇ。悩ましいところだ。
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