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2010.07.24
「♪フニクリ・フニクラ」のヴェスーヴィオ山へ
イタリア:ポンペイ

 昨日見たポンペイの町を78年に大噴火で飲み込んだのはソンマ山。その噴火の際にできた荒々しい山頂がヴェスーヴィオだそうだ。ナポリ民謡で歌われているフニコラーレ(ケーブルカー)は今はない。

 ポンペイに滞在している私達はヴェスーヴィオの標高1000mまで行っているバスでアプローチすることにした。キャンプ場のフロントはお話にならない情報力でヴェスーヴィオ火山行きのバスがどこから出るかもよく知らなかった。ガイドブックには遺跡の円形闘技場のある側のアンフィテアトロ広場からバスが出ていると書かれていたので約1kmくらい離れたアンフィテアトロ広場までバスを拾おうとキャンプ場を出たら、丁度ヴェスーヴィオ鉄道のナポリ・ソレント線のヴィッラ・デイ・ミステリ駅前(遺跡のマリーナ門目の前)に「ヴェスーヴィオ」と行き先が書かれたバスが停車しているではないか!

 既に発車しかけていたバスに走り寄って値段を聞くと往復10ユーロ、チケットはバスの中で今買える、帰りの便は数便から好きな時間を選べばいいという事前に得た条件にほぼ当てはまるバスだったのでそのまま飛び乗った。なーんだ、マリーナ門前からも出ているじゃないか。

 値段はガイドブックに8.9ユーロとあるのが10ユーロに値上がりしていたが、大抵何でも値上がりしているので許容の範囲だ。

 このバスを運行しているのはEAVBUSという会社でナポリあたりで屋根なしの観光バスを走らせているCity Sightseeing Napoliとパートナーを組んでいると買ったチケットに書かれていた。

 ヴェスーヴィオに向かう場合の出発地はやはりアンフィテアトロ広場だがマリーナ門にも立ち寄る。私達は8時50分にアンフィテアトロ広場発のバスに乗ったようで、マリーナ門を出発したのは9時15分だった。上の時刻表でCSと書かれた時刻のバスは、City Sightseeing Napoliのオープンカータイプの車両を使ったバスに乗るという意味だ。私達のは普通の大型バスの車両だった。

 最初は平地の高速道路を走っていたバスも15分も走って高速を降りると細い道をぐんぐんと上るようになった。高度が上がるにつれて村もなくなり、とうとう一般車両とバスはすれ違えない程狭い道になる。

 カーブにさしかかる度にバスはホーン、ホーンとクラクションを鳴らして対向車に知らせるようになった。

 景色もだんだんと広がってナポリ湾が見えてくる。ああ、この辺りで停車して写真を撮りたいなぁと思っていたら、一番景色のよく見える場所でバスを停車してくれた。なかなか、気がきいたサービス。

 とご機嫌に1000m地点を目指していたら、今度は山にかかっている雲の中に突入して、いきなりの悪天候になってしまった。もしかして、運転手さんはこの状況を察して不憫に思って雲に入る前に停車してくれたのだろうか。

 大半がうかれた夏の装いで気軽に来ていたのだが、「さぁ、到着です」とバスから一歩出た途端、その冷涼な空気に縮みあがり、目の前の曇った景色に一気に気分が落ち込んでいった。

 寒い。そして、景色も寒い。

 でもまぁ、ここまで来た以上引き返すわけにはいかないということで、駐車場の先にある登山入り口で入山料金一人6.5ユーロを支払って山頂までのミニ登山を始めた。

 噴火口まではつづら折りの割合急な坂道を上って行くが、噴火口まで達するとあとは緩やかにアップダウンを繰り返す道となる。とにかく周囲が雲の中に入って視界10mくらいなのだから、一体周りがどうなっているのかさっぱりわかからない中を歩いていた。

 噴火口に達すると所々にお土産物と飲み物を売る店が出ている。雲が体にまとわりついてとても冷えるのでお土産物を見る振りをしながらこういう場所で休ませてもらった。

 休み休み進んで、このチケットで行ける一番奥の土産物屋に到達しても全く雲が晴れる気配がない。


午前10時59分時点の様子。みんな必死で火口をのぞくけど
なんにも見えなーい。

午前11時12分時点の様子。突然ひゅるひゅると幕をあげるかのよう
に霧が晴れて火口が姿を現しだした。
 一緒のバスで来た人たちは一人去り、二人去り、とうとう土産物屋にずうずうしく居座っているのは私達だけになってしまった。風も強くなってきて、お店の人に聞いたら「さーて、こうなったら今日はもう晴れないなぁ」という事を言われて、もう駄目だとすっかり諦めモードになった頃、突然雲が晴れ始めてきた。

 山の天気は変わりやすいというのは本当で、午前10時に上り始めてずーっと曇っていたのに11時から20分の間にみるみる雲がなくなって視界がどんどんと広がっていった。

 今まで全く見えていなかった火口も芝居の幕があがるようにするすると霧が上に上がって見えていく。火口の縁の稜線も見え始めて、始めて自分達が歩いてきた道の輪郭が見えた。





 晴れると曇るではこんなに違うかと思うほど気持ちの良い景色となった。

火口の下まですっきり見える。

柵の左側が火口。道の先に最後の土産物屋が見える。

火口の縁を巡る道。晴れて見ると案外アップダウンがある。
曇っていて歩いている夢中でよくわからなかった。

別の角度から見た火口

荒々しい火口に向かう山肌

最後の土産物屋から先はガイドと一緒でないと行けない。
ここに来るまでの別の土産物屋でガイドを雇う場所があった。

土産物屋の人にポンペイの場所を聞いた。
肉眼でぎりぎり見える。溶岩があんな場所まで流れたのか。

ナポリ湾が見えた!

 晴れてからの1時間は忙しくあっちへ、こっちへと動いて撮影したり見学したりしてあっという間だった。

 午後1時10分のバスで帰ろうと、12時20分に下山を開始した。眼下には黄色い花が地面を埋め尽くすように咲きほこっていてとても美しい。これも来る時は真っ白で何も見えなかったので、まるで別の道を歩いているような気分だった。

 かなりゆっくり戻ったが30分で一番遠い土産物屋から駐車場に到着した。バスが来るまでの待ち時間で駐車場の切符切りのおじさんに駐車料金を聞いたら3ユーロだという。バスだと二人で往復20ユーロなので、ガソリン代金と駐車料金の方がよっぽど安いが、あの山道を走ると神経がすり減ると考えるとバスで来て正解だった。

 料金をきいたおじさんが「で、車はどこなんだ」と聞くのでバスで来たと答えると、肩をすくめて「じゃぁ、なんで料金を聞くんだ」と意味がわからんとイタリア語でつぶやいた(と思われる)。ホームページを作っていて、その情報の1つとして聞きたかったんだ、と言えるほどのイタリア語の技量がないために不可解な外国人として会話が終わってしまった。ま、仕方ない。

 昨日のポンペイ遺跡観光と比べると涼しいし、楽だし、夢のように快適な観光だった。宿に戻ってから昼食を作り、午後はゆっくりと夕食の買い物に行って昨日の疲れも癒される日だった。


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