> ヨーロッパ目次 > 詳細内容
東アジア
中国
ヨーロッパ
スペイン
フランス
イタリア
オーストリア
ドイツ
アメリカ大陸
エクアドル
メキシコ
チリ
アルゼンチン
ヨーロッパ2
スペイン
ポルトガル
ヨーロッパ3
クロアチア
ドイツ
東南アジア
タイ
マレーシア
ラオス
アメリカ大陸2
メキシコ
ドミニカ共和国
ヨーロッパ2010
フランス
イタリア
アジア2010
タイ
マレーシア
アジア2011
タイ
北米・カリブ海2011
メキシコ
キューバ
ヨーロッパ2011
フランス
イギリス
フランス2
2010.07.18
国立カポディモンテ美術館、サンタ・ルチア、サンテルモ城
イタリア:ポッツォーリ

 ナポリ観光2日目。

 今日最初に訪れたのは国立カポディモンテ美術館だった。昨日訪れた国立考古学博物館前近くの停留所からバスが出ているとガイドブックに書かれているがよくわからない。とりあえず国立考古学博物館まで行き、周辺をうろつくとダンテ広場から北上してくる大通りVia S. Tetressa degli Scaizi通りを北上する場所に停留所が見つかった。これか?これか?と悩んでいたら周囲の人がどこに行きたいのかと聞いてくる。カポディモンテだと答えると何番のバスに乗ればいいと教えてくれた。日曜日とあってバスは空いていたのだが、今度はバスの中でどこに行きたいのかと乗客が聞いてくる。カポディモンテだと答えると途中で乗り換えしないと行けないという。周囲の人も「そうそう、あのバス停で乗り換えるのよね」と皆がうなづく。ってなわけで、指示された乗り換え場所で降りると、今度は別の人が「カポディモンテに行くなら何番のバスに乗れ」と言ってくる。

 というわけで、地元の人々の親切に助けられてカポディモンテに到着することができた。ナポリの地元民は本当に親切でびっくりする。今まで訪ねた国でも地図を広げていると「どうしたのか?」と言ってくれる人はどこにでもいるが、地図も広げていないのに、首もかしげていないのに、こんなに多くの人が「どこに行きたいのか?」と声をかけてくれた場所は今まで経験したことがなかった。旅先で地元民が親切に話しかけてくる事に対して非常に懐疑的になっているのだが、カポディモンテに行くに際して助言を与えてくれた地元民は何の裏もなく本当に純粋に親切だったのに驚いたのだった。

 カポディモンテ美術館は広大な公園の中に位置する。公園入り口の門から美術館への案内矢印に従って歩いて行くと、きちんと整備された美しい緑の芝生と樹木に縁取られたレンガ色の館が見えてきた。

 これがカポディモンテ美術館だ。ここも昨日訪れた国立考古学博物館同様、ファルネーゼ家により創設され、内部は同家コレクションになっているそうだ。

 門から一緒に歩いてきた地元民らしいカップルや家族連れは美術館には入らずにもっと奥まで歩いて行く。ここは地元民の日曜日のピクニック場所にもなっているようだった。

 入場料一人7.5ユーロを支払って見学開始。



 展示は2階から始まった。最初の部屋はこの美術館の創設者カルロ3世の息子のアレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿(のちの法王パウロ3世)の肖像画が多い。ラファエッロとティツィアーノが描いた枢機卿はかなり印象が違ってみえた。

ヴァザーリ作の寓意図。フィレンツェのメディチ家のヴェッキオ宮で有名な「ヴァザーリの回廊」のあのヴァザーリ。

ラファエッロ作
「アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿」
ティツィアーノ作
「アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿」

ティツィアーノ作
「パウロ3世(アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿)」
ティツィアーノ作
「パウロ3世(アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿)と甥達」
左の甥っ子がパウロ3世の若い頃に似ている事がわかるなぁ。
ティツィアーノ作
「パウロ3世(アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿)」

マザッチョ作「磔刑図」

ボッティチェッリ作「聖母子と2天使」

ペルジーノ作「聖母子像」

ジョヴァンニ・ヴェッリーニ作「キリストの変容」。ペルジーノやらボッティチェッリやら大物の作品がある中、この作品が際立って美しく見える。どうしてだろう。

マルチェッロ・ヴェヌースィ作「最後の審判」の一部(ミケランジェロのコピー)。ヴァティカンのシスティーナ礼拝堂で見たミケランジェロとは大分違う。天才に近づくのは難しいと素人でもわかる。

ティツィアーノ作「ダナエ」。アレッサンドロ・ファルネーゼ卿の自室に飾られていた。

天上の低い狭くて暗めの小さな展示室には象嵌の装飾品や壷や皿の展示があった。

 ここから先にはブリューゲルやゴヤなど外国人画家の作品が少し並んだ。面白かったのはホアキン・ベッケラーと読むのだろうかJoachim Beuckelaerの1570年の作品で魚市場の様子を描いた絵画があった。アントワープ出身のベルギー人なので描かれている市場もベルギーなのだろう。種類も豊富な魚をさばく女性がこちらを見ている様子が、まるでシャッターを切ったような臨場感を出していて、朝から肖像画や宗教画が多かったのでハッとする新鮮さを感じた。

 続く旧居室は大広間から始まって部屋の展示となったが、17世紀後半に作られて19世紀に今の場所に移されたという「磁器の間」が特に興味を引いた。とにかく足元から天井まで、ぎっしりと陶器がはめ込まれている。カポディモンテ焼きの最高技法を駆使したというその陶器は細かい装飾、彩色が見事で、こういう部屋に住みたいかどうかは別問題として見学するにはとても楽しい場所だった。また、途中で見かけたヴェネチアングラスでできていると思われるシャンデリアがとても美しく、これも印象に残った。

 
ナポリ派絵画

 3階はナポリ絵画部門で宗教画などが続くのだが、最後の方に一枚だけカラヴァッジョの「キリスト磔刑」がある。うーむ。こうして並べられてしまうとカラヴァッジョという画家の筆の力が本当によくわかってしまう。彼の作品はやはり他のどれと比べてもオリジナリティにあふれ、しかも人物が写実的で、素直に「カラヴァッジョって絵が上手い」と思える。解釈とかそういう事以前に引きつけられるものがあった。

 こうして見学時間約2時間半ほどで全作品を見て、カポディモンテ終了。

 丁度、12時となりました。というわけで、お楽しみのお昼ご飯の時間でございます。

 といっても今日は日曜日。今日もナポリピッツァの名店に行きたいのだがお休みの店が多かったので、必然的に日曜日にも開いているブランディに行くことになった。ブランディはあのピッツァ・マルゲリータの発祥地だそうだ。

 美術館前からバスに乗り、途中で乗り換えて今度はヌォーヴォ城近くまで行くバスに乗った。これもバス停にいた地元民が教えてくれた。ヌォーヴォといっても作られたのは1284年、再建も1443年と古い。日曜日は休館なので外観だけ。そこからウンベルト1世のガッレリアまで歩き、ここも日曜でがらんとした風景を撮影。クラシックな感じのするガッレリアだった。
 

 めざすブランディはここからすぐだった。

 クリントン元米大統領も来た事があるというこの店は、昨日訪れたダ・ミケーレの肩の力抜け抜けな感じと比べると、もうちょっとかしこまったレストランの構えの店だった。ピザも昨日の倍額以上の一枚8.5ユーロ、水も大きなボトルがなくて一人ずつ1.6ユーロ、コペルトも1.8ユーロとあれよあれよと料金が増えていく。まぁ、仕方ない。ナプキンにマルゲリータ王妃と思われるお方の写真まで掲載されている名店なのだから。

 2階の禁煙席には外国人客が多く、中には二人なのに前菜にハムやサラミの盛り合わせとシーフード揚げ物の盛り合わせを注文し、メインに各々ピザを食べるという豪勢な客もいた。揚げ物はカラッと揚がって非常においしそう。値段は張るがそれなりの良質な物を出してくれているようだ(と、人の注文から観察する)。

 ピザの写真は「本日の献立2010年7月18日(昼)」をご参照されたし。

 昼食後、散歩がてら王宮経由でサンタ・ルチアの海岸線まで歩いてみよう。王宮のあるプレビシート広場はだだっ広い場所で、王宮の向かい側にはパンテオンに似たサン・フランチェスコ・ディ・パオラ聖堂がある。王宮は日曜日休館、聖堂は日曜日午後1時までとあって広場には本当に誰もおらず、パンテオンの日陰にちょっと崩れた人たちがぼんやりと座っているだけだった。
 

 あまり雰囲気もよろしくないので、足早に広場を抜けてまっすぐ500mほど進むとサンタ・ルチアの海岸線になる。ここは今日だからこそ人が多い場所だった。護岸工事されて並んだテトラポットの上などにタオルを敷いて寝そべったり、小舟を借りてプカプカと海に漕ぎいだしたりしている家族が多数。大きな声でしゃべり、笑い、中には子供が泣きわめき、まさにイタリア家族の図が凝縮された場所で見ていてとても面白かった。こんな楽しい週末を子供時代に送ったら、そりゃ出稼ぎに出て故郷も恋しくなろうってものだ。ナポリっ子は何十年も同じように週末を過ごしているんだろうなぁ。ただし、この辺りの海はわざわざ外国人が入りたいと思う水質ではない。そこがちょっと残念なことだった。
 

 サンタ・ルチアをブラブラと卵城まで散策。ここも今日は午後2時までで終了。日曜日はあまりナポリの観光には向かないようだ。

 日は高く、とにかく暑くてたまらいので、引き返してジェラートタイムだ。

 ここからケーブルカー(フニコラーレ)のチェントラーレ線に乗ってヴォメロの丘まで上り、サンテルモ城からナポリの町を眺めようとケーブルカーに乗車した。今日もナポリ週末チケット一人2.6ユーロを使っている。ケーブルカーも利用できるのでなかなかお得な気分だ。

 ケーブルカーは市民の足でもあるので以外に細かく停車する。どこで降りたらサンテルモ城に近いのか地図とにらめっこしつつ、えいやっと降りたら正しい駅だった。そこから細々と「サンテルモ城はこちら」という矢印に従って途中迷う事1回の後、お城に到着。お城のメインは城塞の上からの町の眺めだ。ところがお城に入る手前の道路からすでに町の眺望が割合いい角度で楽しめてしまった。少し曇っている日で、わざわざ入場料金を支払って城の上から見る事もあるまいと少し先の広場から眺望を楽しんで済ませてしまった。この広場に来ている観光客もちらほらいて、皆同じような考えらしかった。

 午後4時、今度は別の駅からケーブルカーのモンテサント線でモンテサント駅まで降り、そこから地下鉄2号線に乗り換えてキャンプ場まで戻った。

 今日もお楽しみはキャンプ場の天然サウナ。同じ汗をかくのでも街中を歩いてかく汗とは違ってさっぱりする。サウナの後に飲むビールは最高においしかった。


Copyright (C) 2008 World Mover All rights reserved