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2010.07.09
ローマ観光(10)〜サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会でベルニーニなど
ローマ観光10日目。
午前中観光で午後から食料調達という予定でキャンプ場を出発した。
最初に向かったのは中央郵便局。郵便物が届いているか確認しにいったのだがまだだった。7月2日に日本から出しているので1週間。5日で届くといわれたがまだなのか。
ということで、郵便局を正面に見て右方向に200mくらい歩いた場所にあるサンタンドレア・デッレ・フラッテ教会に本日1つ目の観光をしにいった。ボッロミーニが手がけた教会で、内部にベルニーニがデザインしたサンタンジェロ橋の天使像のうちのオリジナル2体がある。最近の映画「天使と悪魔」に出てくるサンタンジェロ橋で次の犠牲者が出る場所を天使が
指さしている場面が出るが、指差し天使はここにはいなかった。
細めの通りがぶつかり合う場所に窮屈そうに立っている教会には、朝早めの時間だと言うのにポツポツと観光客が訪れている。ベルニーニの作品が人気があるというのと、やはり映画で取り上げられたというのがあるのだろう。2年前の2008年は「天使と悪魔」の前作となる「ダ・ヴィンチ・コード」が封切られた年だった。くしくも舞台となったパリにいた私達は、やはり所縁の場所を訪ねて歩いたのだが、同じくミーハー心から来ている観光客の姿が見られて教会側も機をとらえて「ダ・ヴィンチ・コードの正当性についての討論会」などを開催していたっけなぁ。
外観はすっきりとシンプルな教会。内部はそれなりに贅をこらした作りになっていた。 |
トラステヴェレ地区のサン・フランチェスコ・ア・リーパ教会にあるベルニーニ晩年の「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」によく似た作品があって驚いたが、よく見ると違う。模刻なのだろうか。 |
ベルニーニの天使像。 |
同じくベルニーニの天使像。 |
気品のある顔立ち、表情、風を受けたような衣類のドレープなど、ここでもベルニーニの作品にぐいぐいと引き込まれるような迫力を感じた。
中央郵便局のあるメルセデ通りV.D.Mercedeから郵便局向かって左に進む116番の小さなバスは細い路地をテヴェレ川まで進み、そこからナヴォナ広場の東側を取って南下する路線だ。
路上駐車の多い細い裏路地を走るから散策している気分で移動できる。2階の窓からばーちゃんが顔を出していたり、大きな荷物を積んだ手押しカートのおっちゃんがいたりする。
バスで到達したのはサンタンドレア・デッラ・ヴァッレ教会。入口が修復中で入れないかと思いきや内部見学は大丈夫だった。表通りの喧騒が嘘のように静謐な世界が広がる教会内部には、これまたゴージャスな作品がいくつもあった。本当にローマには驚かされる。
内部はとても広い。金色なイメージが先日訪れたジェズ教会の影響を受けているという部分だろうか。 |
後陣の天井のフレスコ画、ドメニキーノ作。 |
これがベルニーニ父作「洗礼者ヨハネの像」か?ちょっと定かでない。 |
クーポラの壁のフレスコ画、これもドメニキーノ作 |
ガイドブックには紹介されていないが感じのいい彫刻がたくさんある。 |
ヴェネツィア広場近くのサンタ・マリア・イン・アラチェリ教会にある「聖幼子」像に似たものを裏手の礼拝堂で発見。ここにも奇跡を求める手紙らしきものが足元に置いてあった。 |
この教会からほど近いカンポ・デ・フィオーリ広場には毎日市が立っているというので歩いて行ってみた。かつてここで異端の罪に問われて火あぶりになった哲学者ジョルダーノ・ブルーノの像を取り囲むように屋台のテントが並んでいる。しかし、思ったよりも活況ではない。その理由は扱っている品物が土産物が多くなってしまっているからだろう。野菜や果物も売っているがスーパーの値段よりも高いし、観光客ばかりで地元の生活感も感じられない。もっと地元に密着した市場を見るのが好きな私にはあまり面白くない場所だった。
カンポ・デ・フィオーリ広場から1ブロックテヴェレ川に近づいた場所にはファルネーゼ宮がある。予約で見学可ということもあり外から見るだけでおしまい。まだお昼ご飯までは時間があるのでファルネーゼ宮とカンポ・デ・フィオーリ広場の間を散策してみた。こちゃこちゃとした狭い路地に洋服、食品などを扱う店が並んでいて、思っていたよりも楽しい場所だった。洋服も若手デザイナーの店やらインド輸入品の店などちょっと特徴がある。
ファルネーゼ家の宮殿。1543年にこの一家からパウロ3世を輩出した名家。中央入口の上のバルコニー、ファサードの軒蛇腹はミケランジェロによるもの。 |
裏通りにある素朴なお菓子やさん。 |
路地裏にふっとある教会もなかなか素敵 |
宝石店にいた子犬はぬいぐるみのようだった。トイプードルか? |
さーて、今日のお昼はトラステヴェレ地区にあるダル・ポエタDar Poetaを目指す。ローマの
ピッツァチャンピオンの店だと紹介されていて、ローマではピザは夜しか焼かない店が多い中、昼間からピザが食べられる私達には貴重な店だ。
窯から出された熱々のピザは、とろけるチーズがまだグツグツしていそうなくらいだった。ローマのピザは生地がやや薄めで端にそんなに厚い生地を持ってきていないのでカリッとクリスピー。直径20cmくらいのマルゲリータで5ユーロという値段も嬉しいじゃないですか。
とにかく旨い、旨いと頬張ってあっという間にたいらげてしまった。うーん、こうして書いている間にも思い出してしまう。旨かったなぁ。
今日はこれにて観光終了。さっさとキャンプ場に戻って食材を買いに行こう。
そう思って途中まで帰ってきたのだが、途中のバス乗り継ぎの停留所からぱったりとバスが来なくなってしまった。乗客は増える一方で停留所は混雑し、たまに来るバスも恐ろしく混んでいる。
おかしいわ、おかしいわと同じくイライラしているイタリア人おばあちゃんは、私がイタリア語がわからないと言っているのにイタリア語満載で話しかけてくる。聞き手が理解しようとしまいと、とにかく今の自分の気持ちを誰かに吐き出してしまわないと気が済まないらしい。イタリアでは時々こういう目にあう。5分ほど話していたそのおばあちゃんは、ようやく木の幹にでも話している気分になってきたのだろう。「私は先の停留所まで歩くから」という意味なのだろう、そんな感じで去って行った。
どうしようもなく私達ももっと人のいる停留所まで歩いて、ようやく英語の話せるイタリア人からバスがストライキに入っていることを知ったのだった。通常の運行からかなり間引いて運転しているのだそうだ。やれやれ。
通常なら20分くらいで戻れる道のりを1時間くらいかけて、ようやく郊外線の駅まで到着。そこで愕然としたのは、郊外線は完全ストライキに入って午後5時まで構内への扉さえも封じていたのだった。
近所の教会を見たりCD店で視聴したりして(結局CD1枚買ってしまった)時間をつぶし、2時間後の午後4時45分に駅に行くと、扉が開いていて大行列になっていた。
ここから電車が出発するまでの15分くらい、こういう緊急時のイタリア人の反応がなかなか面白かった。イタリア人というと陽気で暢気で時間もちょっとルーズでいいんじゃない?というイメージを持っていたのだが、こういう事態になるとみんなかなりせっかちになる。
少しでも駅係員が通りかかると自分の腕時計を指差して「いつになったら出るんだ」と抗議する人が続出。2本ある線路のどちらから出るのか係員にくいついて質問する人もいる。駅員は何も答えないんだけどね。係員の出方によってより早く出そうな車両にざざっと人が大移動したりして、皆少しでも早く列車に乗りこんで座りたいという構えだった。
で、ようやく午後5時に列車の扉が開いて人がなだれ込むと、今度は母親の席まで確保している子供に「あんたどきなさいよ」とおばちゃんが抗議し、子供も必死に席を守ろうとする姿が見られた。私達の前には親子4人がいるのだが、子供たちは荷物を椅子がわりに座っていた。ところが途中から座りたくなった若い母親は椅子の上の子供を腕に抱いて、私の夫の前に立ち「席を譲れ」とアピール。そんなアピールに負けるわけない夫にイタリア語で悪態をつくという静かなバトルも繰り広げられ、なかなか見ものだった。
ということで午後早い時間に戻ろうと思っていたのにキャンプ場到着は午後6時近くになったのだった。買い物に行く気力も失せ、持っているもので夕食を済ませたのだった。お昼ご飯をしっかり食べておいてよかったなぁ。
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