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2010.07.03
ローマ観光(5)〜カピトリーニ美術館とコロッセオ
イタリア:ローマ

 ローマ観光5日目。

 今日も再びヴェネツィア広場周辺の観光となった。カピトリーニ美術館はカンピドーリオ広場の市庁舎の左右にある建物に分散する美術館で、市庁舎右手が新館、左手の1階と2階がコンセルヴァトーリ・クレメンティーノ宮内の展示、3階のカピトリーナ絵画館を総合した美術館だ。左右の建物は地下でつながっているので、コンセルヴァトーリ・クレメンティーノ宮から見始めて順路通り進むと外に出ないで全て見られるようになっていた。チケットは一人11ユーロと高めだが、3時間半たっぷりと彫刻と絵画を楽しめて作品数と言い、作品のレベルと言い大満足だった。2つの建物を地下でつなぐタブラリウム(市庁舎の下になる)からフォロローマーが一望できるのも良かったなぁ。

 ただし、持参したお弁当を食べられる場所がなかったのが難点。食事のできるバールはあるのだが、外部からの持ち込み禁止だったので、朝9時半から午後1時までぶっ通しの観賞となりきつかった。もしどこかでお昼ご飯が食べられたら、もっとゆっくりと見られたかもしれない。まぁ、バールでサンドイッチ買って食べればいいんだろうけど、どうにも割高で買う気がしなかったから仕方ない。

 さて、今日もキャンプ場から無料のシャトルバスで近郊線の駅まで行き、そこから近郊線でポポロ広場まで。ポポロ広場を横切ってコルソ通りから117番あるいは119番でヴェネツィア広場まで一直線という経路でカンピドーリオ広場まで行く。ここの所同じ路線を使っているので、だんだん通勤モードになってくる。

朝日を背中から浴びるポポロ広場のオペリスク。

117番、119番は小さなバスで9人座ったら満席。観光客と地元通勤と半々くらいの利用だ。

ヴェネツィア広場に立つヴィットリオ・エマニュエーレ2世記念堂は今日も堂々としている。

記念堂を右に回り込んでカンピドーリオの丘への坂道をあがったら到着だ。

 コンセルヴァトーリ・クレメンティーノ宮前で花嫁と花婿と親族が記念撮影している現場に遭遇した。見れば花嫁は日本人で親族には着物姿の女性もいる。お祝いにかけつけたイタリア人友人と花嫁はよどみなくイタリア語で話していたから、こちらで仕事をしている人だろうか。ほっそりとしたウェディング姿が美しい花嫁に「おめでとうございます」と声をかけると、旦那さんともども日本語で「ありがとうございます」とはにかんだ表情で答えた。ローマの朝、すがすがしい光景で今日の観光スタートだ。

 美術館の入り口は市庁舎を正面に右手のコンセルヴァトーリ・クレメンティーノ宮の1階になる。チケットを買って入口を入ると、まず中庭があるのだが、巨大な人物彫刻の一部が飾られている。バジリカも浴場も、そして彫刻も、ローマ人は大きな物が好きなようだ。その伸び伸びとしたスケール感がここ数日でだんだんと感じられてきて、おおらかなローマ帝国の息吹を感じられるような気がした。

 コンセルヴァトーリ・クレメンティーノ宮の2階には、13世紀の彫刻、16世紀のフレスコ画などがあるが、圧巻はベルニーニとその弟子による大理石の「ウルバヌス8世の像」などのある部屋だった。ベルニーニの彫刻は人物の表情が内面までも表している深い物があって本当に素晴らしい。

 3階の絵画館にはティツィアーノ、ヴェロネーゼ、カラヴァッジョ、ルーベンスなど著名な画家の作品が並んでいて、こちらも見応え充分だった。特にカラヴァッジョの「洗礼者ヨハネ」は他の絵画で描かれるヨハネとは違って少年の姿で描かれている。「地球の歩き方」に「最近の説では『解放されたイサク』」というキャプションが入っていて、どちらかというとその説の方が納得できる作品だが、いずれにしても少年が明るく笑ってこちらを向いているのだが、なーんとなく狂気が漂っている感じが不気味でカラヴァッジョっぽくて面白かった。

 この不気味な感じってのは生の作品を見ないとなかなか感じられないもんだ。カラヴァッジョの作品は見るたびにちょっとゾクゾクっとする。

 ガイドブックには新宮の1階にあると書かれていたマルクス・アウレリウス帝の騎馬像はコンセルヴァトーリ宮の1階の新しい場所に移動していた。

太陽光の入る新しくて美しいアトリウム

カンピドーリオの丘の中央にある騎馬像のオリジナル

ローマ建国の祖、ロムルスとレムスのブロンズ像もここにあった

えっと、誰じゃこれは?とにかくでかい顔と手

 ここから市庁舎の下の階を通って新宮に移動するのだが、この通路はタブラリウムと呼ばれて、紀元前78年に造られた公文書館(タブラリウム)を利用しているそうだ。通路両脇のガラスの向こうにその遺構を見る事ができた。

洞窟のような感じのタブラリウム

所々に展示物があり、中にはこんな手の込んだ彫刻もあった

品のいい顔立ちの女性の像。しかしキャプションがないので何のことやらさっぱりわからん。展示準備途中なのか?

昨日フォロ・ロマーノで見たぞ!こっちがオリジナルだろう。馬ごと淵に飛び込んでローマの危機を救ったという英雄。

 タブラリウムは外に面したテラスがあり、そこからフォロ・ローマーのを一望できたのが素晴らしかった。今日も多くの観光客が聖なる道をせっせと歩いている。高台から眺めていると皇帝になった気分が味わえるではないか、わっはっは。テラスは左右にかなり長いので、色んな角度からフォロ・ロマーノを撮影することができて、ここに来た観光客はみんな夢中になってしまうのだった。



 新宮に入ると、今度は中庭に大きなおっさんが横たわった彫刻があった。

 「物を言う像」の1つで、この彫刻はマルフォーリオと呼ばれるそうだ。

 「法王庁に対する悪口や非難の文がこの像に貼られ、庶民に”告発”の場を与えていた(「地球の歩き方」より)」

 像に直接書くわけではないが、いたずら書きの起源はこんな所にあるかもしれない。

 新宮の展示物の大半は彫刻。ローマ時代に作成された彫刻らしいが、なかなか面白い作品が多かった。

「瀕死のガリア人」。もう、あかん、という感じがひしひしと伝わる。

愛らしい子供のポーズが「上手い!」とうなる作品
   
左から「傷ついたアマゾン」と同じポーズの彫刻、「若き日のケンタウロス」、「老いたケンタウロス」、「幼児ヘラクレス」。

「哲学者の間」よりソクラテス

「英雄の間」よりマルクス・アウレリウス
   
左から必見の「カピトリーののヴィーナス」、粋なポーズが面白い作品、頭上に何があるのか気になった作品、蛇と遊ぶ子供。

ハドリアヌス帝のヴィラにあった4羽の鳩の美しいモザイク

同じくモザイクの喜劇の仮面は他でも良く見るモチーフ

 乳房がいくつもぶら下がって、肩や下半身に動物がびっしりと貼りついている女性の彫刻はかなりキッチュで、なんじゃこりゃと驚いたのだが、、これは実は定番の「豊穣の神」で、この美術館意外にも色んな場所で目にすることになった。確かに豊穣な感じがする。









 有名な「トゲを抜く少年」のブロンズ像は見る事ができなかったので、ショップの絵葉書をちょっと撮影させてもらった。なぜ有名なのかその理由はしらないが、確かにとても自然な表情の少年の様子がよくできている作品だった。

 というわけで、カピトリーニ美術館の観賞終了。面白い作品が多くて、期待以上に面白かった。







 カピトリーニ美術館を出て、広場の縁石に座ってやっとお昼ご飯休憩。いやー、お腹空いた。今日のお昼ご飯は先日中華食材店で買ったザーサイと牛肉の唐辛子漬けをまぶしたご飯のおにぎりだ。こういう場所でのおにぎりは特においしい。

 市庁舎の裏手からもう一度フォロ・ロマーノを拝んで、今度は徒歩でコロッセオへと向かった。

 言わずと知れたローマ時代の競技場コロッセオは、目の前にどんどんと大きく近づいてくる。ローマの競技場跡は各地に多数あるが、こんなに大きくて立派なのはこことヴェローナくらいなのだろうか。


 午後1時半のコロッセオは大人気でチケット売り場も長蛇の列だった。私達は昨日買ったチケットがあるのですいすいと入れてよかった。

 エレベーターで上の階まで上がると、丁度、東京タワーを登ったようにそこは展示品と土産物屋のコーナーになっていた。展示品は、この闘技場で戦ったグラディエーター達の衣装とパネル説明によるグラディエーターたちについての説明だった。犯罪を犯した者のみならず多くの政治犯もいたグラディエーターの中には、勝利を勝ち取って自由の身になった者もいたそうだが、それはごくわずかな人のみで、大半は戦いで命を落としていったという。
 

 華麗な衣装の展示と過酷な彼らの人生の説明パネルが同時に展示してあるのがいかにもローマ的な感じがした。

 この展示場のある階から内部を見る事ができる。舞台になっていた部分はなくなって、地下の動物の檻が置かれた構造がむき出しに見える。こんなにちゃんとした形で遺跡が残っていると、ここに集まったローマ市民の興奮の叫びまで聞こえてくるような気がした。


 ということで、午後3時過ぎに今日もたっぷりと観光したという満足感とともにキャンプ場へと帰った。


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