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2010.06.27
ローマ北部の小都市、ボーマルツォとバニャイアとヴィテルボ
イタリア:ボルセーナ

 今日から2日間、ローマのあるラッツィオ州北部にある小都市へとドライブだ。1日目の今日は怪獣の彫刻が配置された貴族の庭園パルコ・ディ・モストリParco dei Mostriがあるボーマルツォと多くの楽しい噴水がある庭園のバニャイアのランテ荘Villa Lante、そして中世の面影を残す町ヴィテルボを訪ねた。

 ラッツィオ州北部のヴィテルボからバスで30分ほど東にあるボーマルツォはキャンプ地のボルセーナからは50分のドライブだった。ボーマルツォは高台の斜面にへばりつくように古い建物が並ぶ小さな町で、オルシーニ公が富と権力の証として造ったバロック庭園というから、てっきり街中の一番高い場所にあるのかと思いきや、標識は町の外周を通りぬけて高度を下げて街の下にある森の中へと誘うのだった。

 しっとりと湿度を感じるひんやりした森の駐車場には一台の車も駐車されておらず、「この観光地、大丈夫かい?」というのが第一印象だった。しかしレセプションもそれに続く売店もレストランも改装されて新しくてやる気に満ちている。まぁ、とにかく入ってみようと入場券一人9ユーロを支払って中に入った。
 

 入場券を買った時にもらった園内地図を片手に中に入ると、奇怪な怪獣の彫刻が数々と迎え出てくれた。そのいずれもが、フィレンツェなどで見た一流どころの彫刻とは全く趣を異にして、まぁありていに言って下手くそな作品も多いけれど、湿った森の中で時を経て今や苔むして風格さえ感じさせる様子は一見に値する。誰も見に来ないのにやけに強気な料金だと思っていたら、私たちの後から続々と入場者が入り中には30人ほどの団体がこの庭園の解説本を手にして現れた時には驚いた。イタリア人には結構な人気の場所らしい。夫はこういう発想の彫刻を作ったり、わざと傾いた家を建てたりする、その自由な発想が素晴らしいと感激していた。なるほどねぇ、そういう考え方もあるかもね。16世紀にこんな不思議な庭園を作った貴族がいたという、そしてそれがまだ残っているというのはいかにもイタリア的なのかもしれない。うーん、でも微妙だなぁ。ローマから3時間や5時間かかってここにきて9ユーロ支払ってこの庭園を見るとしたら考えものだ。ボルセーナ湖畔からドライブがてら来るなら、まぁいいだろうというのが私の感想だ。

頭にボールを乗せた「緑のイモリ」

スフィンクスのような微妙な彫刻

巨人の戦いはかなり大きな彫刻

ベンチに足がくるくる巻いた女性の彫刻が寝ている

いい感じに苔むした噴水の端にカニかなぁ?何かがいる

傾いた家は中に入ることができる、ピサの斜塔が疑似体験できる

「地獄の口」という作品。おどろおどろしいネーミングとは裏腹に中がピクニック用のテーブルと椅子があるのがおかしい。

 バニャイアはボーマルツォからヴィテルボ方面に車で30分ほどいった場所にあった。

 昨日訪れたオルヴィエートほどではないが、ここもニョキッと大地が隆起した上にできた街で標識に従って走ると右の地図の街の左下の崖の下に無料駐車場があった。

 駐車場から坂を上って街に登るとすぐに左手に目指す(赤丸で囲った)ランテ荘がみつかった。

 ランテ荘の入場料金は一人2ユーロ。ボーマルツォのパルコ・デイ・モストリに比べるとずっと安かった。庭園は16世紀初めにリアリオ枢機卿が敷地を狩猟地として囲み、以降の枢機卿が噴水などを造営していったというものだそうだ。庭園中央部の左右に建てられた館は建てた枢機卿の名を取ってガンバーラ館と呼ばれているようだ。この中もちょっと見学できた。

 館のある場所から眼下にイタリア式の美しく整備された庭園が広がっていて、中央に池がある。敷地はこの池から館を経てもっと上の方への斜面になっていた。斜面の一番高い部分にある噴水から一番下の庭園中央の噴水まで様々な仕掛けが見られた。

屋敷もあって中のフレスコ画などが見られる。
頑張っているがたいしたことない

ザリガニのモチーフが多いなぁと思っていたらかつての所有者ガンバーラ枢機卿の紋章だそうだ

一番高い所に位置する洞窟風噴水

その脇にまたしてもザリガニ発見

階段の中央を水が走る。鎖の噴水

ながーいテーブルの中央を水が流れる。
夫は流しそうめんにぴったりだと大爆笑だった。

上から流れる勢いを使って「巨人の噴水」。

こんな情けない顔から水をはく面白い彫刻もある

優美な曲線を使った装飾だが・・・

よく見るとこんな顔が彫り込まれている

一番低い庭園中央の噴水

美しく刈り込まれた庭園

 既に夏を感じさせる日差しの中で噴水の水しぶきや水音が心地よい。他の観光客も見物しながらそっと噴水に手をひたしたりして楽しんでいた。

 ランテ荘を出て何となく坂を下って中央の広場まで歩いたが、バニャイアという街はランテ荘だけが観光客を歓迎しているようで町の通りも中央の教会のある広場も観光客にはそっけない。特にこの日は日曜日だったので教会でのミサを終えた人々だろうか、ぞくぞくとカフェに集まっておしゃべりしているので余計に観光客は疎外感を感じるような町だった。もっとも普通のイタリアの田舎町の日曜日の風景が見られるという点では貴重な町だ。

 ということで観光客に向けてカットピザを売る店も見つからないので、子豚の丸焼きをそぎ切りにして売っている屋台でパニーニのサンドイッチを作ってもらいお昼ご飯とした。子豚の丸焼きはこの地方ではお得意料理のようで、この後も非常に頻繁に見かけることになった。皮がカリッとして脂身が旨く、肉も柔らかくて塩味がきいていて旨い。たっぷり肉が入って1つ2.5ユーロだった。


 そして本日最後の目的地ヴィテルボ到着が12時丁度だった。

 ヴィテルボは火山帯に位置するために近郊にテルメ(温泉)がある。町の観光をさっさと済ませて温泉に行こうというのが計画だった。

 中世の町らしく城壁に囲まれたヴィテルボ。城壁すぐ外にある駐車場は日曜日の今日は無料だ。しかし、浮浪者のような男性が近寄ってきて「俺が車を監視しておいてやるからちょっとお金ちょうだい」と寄ってきたので1ユーロ渡した。帰る時は彼の姿はさっぱり見当たらなかったのは言うまでもない。

 ガイドブックに地図もないし観光案内所も日曜日で閉まっていて、全くの手探り状態での観光だったが、案外、見所は途中の路地に立っている看板にみつけられた。町の中心がサン・ロレンツォ広場だというのでとにかくそこまで向かう。途中にはいくつかのピアッツァ(広場)があり広場の度に異なる噴水が置かれている。町並みはすでに近代的なビルに建てかえられていてしかもそれが老朽化してあまり魅力的には見えないのだが、この噴水があるがために急にクラシックな香りが漂う。こうした噴水1つでこれほどもお印象が変わるのかと驚く。
 

 そんな町並みを過ぎてサン・ロレンツォ広場界隈に来ると旧市街という趣で「法王の館」と「サン・ロレンツォ大聖堂」が広場を飾って急に中世の町に来たかのような景色に変わった。この「法王の館」は13世紀に法王の住居として建設されたそうで、右側の装飾アーチが特に美しかった。また、この「法王の館」から「コンクラーベ」が始まったと知ってかなり興味が沸いた。1270年に2年の法王選出議論を経ても法王が決まらないことに業を煮やした市民が、この館に候補者の枢機卿をカギをかけて閉じ込めて選出を促し、33ヵ月かけて法王が選出されたのだそうだ。今でもヴァチカンであらたに法王を選出する時は外からカギをかけるコンクラーベ(「カギをかけて」の意)が行われているとは知っていたが、その発祥地がヴィテルボだとは知らなかったのだ。

法王の館

法王の館のアーチ装飾

サン・ロレンツォ大聖堂

大聖堂内部の12世紀の板絵「カルボナーラの聖母」

 このサン・ロレンツォ広場からブラブラと右手方向に歩いて行くと中世の街並みが残る一角サン・ペッレグリーノ通りとなる。「中世の町の趣が残る」というフレーズはトスカーナのあちこちの町で聞いてきてが、ヴィテルボの場合はとてもリアルに12から14世紀の街並みを感じることができた。他の町と違って、ただただ中世の建物が残っていて1階にテナントの店などが入っていないのが要因だろうか。精巧に造られた映画のセットの中に入り込んだような感じになるのだ。ヴィテルボにはあまり期待していなかっただけに、この発見はとても得した気分になった。この界隈の裕福な家の典型は2階に玄関がありテラスから1階へ外階段が付いていることだそうだ。いくつかの家に外階段が見られた。

 サン・ペッレグリーノ通り沿いに小さな無料の博物館があり、入ってみると、毎年9月3日に行われるサンタ・ローザ祭りの博物館だった。競争で勝ち抜いた100人の屈強な男たちが大きな塔を担いで町を練り歩く祭りなのだが、大きな塔は高さ28m、重さ5トンにも及ぶという。これまでの塔のミニチュアが展示されていたり、前回の様子をビデオで流していたり、担ぎ手がどのような配列になっているのかなどの解説があった。かなり迫力ある映像のビデオに、その場にいた他の観光客も私達もぐーーーっとひきつけられて画面に見入ってしまった。これ、実際に見たらもっと迫力があるんだろうなぁ。

ちょっと見落としそうな入口

迫力のあるビデオに見入る観光客

周囲の建物よりも塔が高い!

かつての塔のミニチュアも精巧にできていて面白い

 こうしてヴィテルボの主要観光ポイントを見終えて、今度はちょっと別の道を歩いて駐車場まで戻ることにした。この道中でも面白い建物をいくつか発見してヴィテルボは第一印象よりも奥深くて面白い発見が多い町となった。

日本の狭小住宅顔負けの建物

14世紀のポッシア邸をみーっつけ。

飾りライオンと角装飾が大きすぎないか?

 さーて、今日は最後に温泉だ!

 と勇んでヴィテルボ郊外の「テルメ・デイ・パーピ」(法王の温泉)に向かった。が、しかーし。今日は日曜日ということもあり、入場料金が一律25ユーロ。朝から晩までいても1時間しか滞在しなくても25ユーロ。さすが「法王」ブランドだなぁ。祝前日が20ユーロで平日が12ユーロだそうだ。平日値段ならともかく、25ユーロはちょっとやり過ぎだろう。ということで、受付まで行って断念した。

 まぁ、温泉の効能はないけれど、キャンプ場のプールは無料だからね。私たちはこっちで充分だと午後の後半はプールで寛ぐことにした。こうしてラッツィオ州北部の小都市巡り終了。


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