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2010.06.24
いかにもトスカーナな風景のピエンツァ、モンテプルチアーノへのルート
イタリア:パッシニャーノ

 今日のドライブはトスカーナ州の真ん中くらいに位置するシエナから見て南東にある2つの町、ピエンツァとモンテプルチアーノを訪ねた。今まで訪ねたトスカーナの他の町が中世の面影をとどめる町並みとルネッサンス期の素晴らしい作品を所蔵している美術館を魅力としているのに対し、今日訪ねた町は周囲の田園風景が一番の魅力と言っていいだろう。トスカーナ地方と言われて雑誌やポスターで取り上げられるような景色が満載のルートはここにあったのだ。道中には農家の空き室を民宿にした「アグリツーリズモ」の看板が頻繁に見られる。トスカーナの他の地方でもアグリツーリズモの看板は見られたが、ここほど多くはなかった。確かにこここそトスカーナの風景への期待を満足させてくれる場所だろう。

 トラジメーノ湖のキャンプ場から出発してピエンツァに到着するまでの1時間からして、「ちょっと、ここここ、ここで車停めて!」というポイントのオンパレードだった。

 ピエンツァは世界遺産としても登録されていて、ピウス2世という法王がベルナルド・ロッセリーニという建築家に命じて自分の思い通りに町を作らせた町だそうだ。400m東西400m、南北200mにも満たない小さな町なので町自体が巨大な宮殿と考えたら、法王クラスともなるとそういう事もできたんだろうなぁ。

 東側の小さな門をくぐって東西に延びる建築家の名を冠したロッセリーノ通り沿いは中世の建物にトスカーナのチーズ、サラミ・ハム、陶器などを売るお土産物屋が軒をつらねて上品ながらも楽しい通りになっていた。メインストリートから枝分かれして左右に延びる小路はすぐに民家になるのだが、世界遺産になっているせいかどの家も花を美しくかざってどこに目を移しても絵になる風景ばかり。旅行雑誌の中を歩いているような気分になる楽しい町だ。

 町の中心はピウス2世広場。ピッコリーミニ宮と市庁舎と大聖堂が取り囲む小さい町ながらもなかなか豪勢な広場だった。

大聖堂、内部は方法の希望でドイツ教会風の造り

市庁舎。ロッセリーノんお設計

ピッコロ―ミニ宮

ピッコリーミニ宮中庭

 シエナのドゥオーモにはピッコロ―ミニ家の図書室という部屋がありものすごいフレスコ画が壁を埋め尽くしているのに圧倒された。ピッコロ―ミニ家から出た枢機卿で後にピウス3世となった人の甥っ子がピウス2世でピウス2世と3世は濃い交流を持っていたようだ。だから、ピウス2世が作ったこの町にもピッコリーミニの宮殿があるんだとつながってくる。豪華絢爛な文化遺産を残しているのはまぁ素晴らしいが、一方では教皇が財産を私有化してやりたい放題やっているなぁという感想も持たざるを得ない。

 ピエンツァの最後の見所は町の北側を東西に走る通りからの眺めだろう。この通りからの眺め、そして密やかな裏どりとはいえ可愛らしい花をかざったカフェなどがこっそりとあったりするのが楽しい。

 ピクチャレスクな風景が満載の町の土産物屋で最後にみかけたのがこのガラスの壺。真ん中の一番大きな瓶にはなんと高級きのこのポルチーニがぎっしりと詰まっている。崩して食べてしまうのが惜しいような美しい装飾。もちろん販売用ではなくディスプレー用だろう。だって、こんな量のポルチーニを詰めたらおそろしい値段になることは間違いないだろうから。

 町を出て車を駐車した場所の目の前にCoopというチェーン店のスーパーがあるので立ち寄ってみた。チェーン店といっても店舗のある場所によって地域色があって、この店ではこの地方の名物パスタ「ピチPici」を扱っていた。ピエンツァの街中の土産物屋でも気になって各店で値段チェックしていたのだが、結局Coopが一番安かった。

 この麺、茹でると日本の稲庭うどんくらい太くなる。ゆで時間なんと22分のパスタだ。こういう珍しいパスタはイタリア国内でもこの地域でしか手に入らない。買っておいて良かった。



 さて、お次の町はモンテプルチャーノ。モンテプルチャーノまでの道のりもまたトスカーナ風景三昧で何度か停車して撮影したのだった。

 そんな道を走っていたら突然「チーズ直販してます」の看板あり。ちょっとしたチーズ工場が自社製品を売店でも直接売っているようだった。小さな売店とはいえ置いてある商品はほとんどがチーズだから悩ましい。店員のお姉さんに相談しながらバーゲンになっているペコリーノ・ピエンツァを買う事にした。通常この手のチーズはスーパーでは1kgあたり15ユーロくらいはするはずなので約半額。どうしてこんなに安くなっているのかを聞いてみると、全ての製品がちょっとした傷で出せなくなったいわばアウトレットという事だった。正規商品と味は変わらないということで本当にお買い得だった。ペコリーノチーズはこの辺りからローマなどにかけて作られている羊のチーズで、質はパルミジャーノのような感じなので薄切りにして前菜にしたり、リーナーで削ってパスタにかけたりして使える。後にペコリーノ・ロマーノも買ってみたがロマーノの方が味が濃い。やはり有名どころのチーズにはそれなりの理由があるようだ。しかし、ドライブの途中でこういう場所に立ち寄って気軽に帰るという体験が非常に楽しかった。

 モンテプルチャーノもまた高台にある町で町の下の方に都合よく無料駐車スペースを見つけて中心地に上がって行くと、中心地のグランデ広場に出た。市庁舎、鐘楼付のドゥオーモ、コントゥッチ宮、タルージ宮に囲まれた広場は建物が詰め込まれ過ぎていないのでゆったりとした感じだった。最近訪ねた町の中では観光客が少ないというのも、この印象につながっているかもしれない。

門をくぐって上り坂を中心地まで歩く

タルージ宮

市庁舎、ガイドブックにあるように確かにフィレンツェのヴェッキオ宮に似ている。ファサードはフィレンツェの建築家ミケロッツォによる。

17世紀前半完成の後期ルネッサンス様式のドゥオーモ。

 この広場から北に向かって下り坂に細長く町が続いているので下り坂をぶらぶらと歩きながらお昼ご飯場所を物色した。町の真ん中辺りにあるプルチネッラの塔までは北に下る数本のどの道も割合静かな感じで、東側には民家の屋根越しに丘陵地帯の風景が垣間見えたり古い建物が両脇に迫る狭い道を楽しむような感じだった。プルチネッラの塔までくると、そこから先はグラッチャーノ・ネル・コルソ通りがメインストリートとなりお店の数がぐっと増えてくるが雰囲気は現代的になり少し興味をそがれる。

南北、東西にそれぞれ高低差があるので至る所に素敵な
小さな階段や坂があって町のアクセントとなる

民家の屋根の向こうに丘陵地帯

南からプルチネッラまでのグラッチャーノ・ネル・コルソ通りが
とてもにぎやか

プルチネッラの塔は今でも動いている時計台

 この町はまたワインでも有名な町だ。そのせいか、オステリアやレストランが多くて気軽なカットピザ屋がなかなか見つからなかった。グラッチャーノ・ネル・コルソ通りでやっと一軒、二軒みつかってそこで昼食。

 一番北側にあるプラート門まで歩いて、今度は別の道を通って引き返すことにした。小さな路地にもパラッツォがいくつかあり、全体としてしっとりとしたいい雰囲気を出している町だった。それにしても今日のヒットは、この小さな路地のある一軒での家の中からカメラ目線を飛ばしているネコちゃんだった。窓の下の花といい、窓枠の凝った鉄格子といい、まさに絵になる風景。

 キャンプ生活をしているとほとんどネコとは敵対関係にあるのだが、この時だけは参りました。

 ワインで有名なモンテプルチャーノではあるが、トスカーナのブランド的ワインはやっぱりモンタルチーノにお株を奪われている感があり、そんなにワインショップも見当たらなかったし、観光客の数も今まで訪ねた他のトスカーナの町に比べるとやや少なく、しっとりと静かな町という印象になった。

 最後に一番南にある城塞付近まで散策。こちら側からの風景もなかなか良かった。城塞はやる気がないらしく閉鎖されていたが、南に行くほど町が高くなっているので十分に風景が楽しめる。

 ここ数日、トスカーナとウンブリアの様々な町をドライブしてきたが、今日のルートの景色が一番良かったなぁ。もし、アグリツーリズモを体験するなら、是非この辺りの丘の上の方にある農家に宿泊したい。


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