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2010.06.19
シエナからドライブ、サン・ガルガーノとモンタルチーノ
今日はシエナ南部にある2つの見所を巡るドライブをしてきた。1つはサン・ガルガーノ。12世紀の終わりに建てられた修道院、続いてそれに付属して13世紀に建てられた教会なのだが、屋根が崩れ落ちて遺跡のようになっているのが珍しくて観光名所になっている場所。もう一つはモンタルチーノという村。20代の時にイタリア観光した際、現地在住の日本人ガイドさんが教えてくれたイタリアで一番おすすめの旨いワインがブルネッロ・ディ・モンタルチーノだった。モンタルチーノを訪ねる理由はただ一つ。赤ワインを買いに行くという目的だ。
朝8時40分にキャンプ場を出発。35分でサン・ガルガーノに到着した。ここは村でも何でもなくてポツンと廃屋になった教会とレストランがあるような場所だった。9時過ぎだというのに、レストランからは早くもいい匂いが漂って近所のおばちゃんらしき従業員が忙しげに働いていて、とても魅力的なレストランだった。しかし、まだ朝だしなぁ。とにかく、観光、観光。
サン・ガルガーノの修道院と教会は正面は立派なファサードが残っているのだが一歩中に入ると天井がすっぽりと抜け落ちて両脇の廊下の柱だけが残っている。この廃墟を使って夏のコンサートが行われるらしく、奥のステージでは舞台設営の人々が忙しく働いていた。まだプログラムの看板もなくコンサートは先の話のようだった。それにしてもこんなに青空が見える教会というのも他に類を見ない。
で、気になるのが隣の小高い丘の上にある教会内にあるという剣の突き刺さった岩だ。「12世紀、武将の誉れ高かったガルガーノが、戦と決別して神に帰依するために自分の剣を岩にぶつけたところ、剣は岩に吸い込まれたという伝説の剣(「地球の歩き方より」)」という逸話があるそうだ。小じんまりした円柱形の教会に入ると中央にガラスケースに守られた剣が見えた。本当に岩にささっている。一体どうしてこうなったのだろうか。ガルガーノは後に聖人になったそうな。教会の一角にある土産物店で教会特産のジャムやはちみつなんかを眺めていたら、店番をしていた老人が誰かに呼ばれてすーっと店を出ていった。万引きなんかする人はいないと信じているようだ。聖人をまつる教会で岩に突き刺さった剣を見て、万引きが存在しないと考える老人のいる教会は、なにか浮世離れしたおとぎ話のような場所に感じられた。
車を停めたレストランの駐車場に戻ると、レストランからはますますいい匂いが漂っている。でもまだ朝10時だ。レストランの開店までの2時間半をここで過ごすわけにはいかない。後ろ髪を引かれる思いでモンタルチーノに向けて出発したのだった。
シエナ南部も丘陵地帯が続きなかなかいい風景でドライブを楽しめる。
のどかな道ばかりのコースなので短い距離なのに1時間40分もかかってやっとモンタルチーノに到着した。モンタルチーノは小さな町で、町の外れの駐車場から中央の広場まで徒歩で10分も歩かないで到着してしまうような町だったがさすがにワインショップは多い。ちょっとのぞいて見てみると豊富なワインの商品棚の半分くらいがブルネッロ・ディ・モンタルチーノの商品だ。こんなワインショップは他ではありえない。こんなに多くのワイナリーでブルネッロ・ディ・モンタルチーノっが作られているとは知らなかったのでビックリ。ある店では有料試飲マシーンを導入していて、ワインを選んで決められた金額を入れると試飲分のワインが注げるようになっている。グラス1杯で9ユーロなんていうブルネッロ・ディ・モンタルチーノもあった。
途中に観光客があまりこないようなレストランで良さそうな場所が見つかったのだが時間が早すぎて開いていなかったので、中央広場近くのカットピザ屋で昼食。ここもなかなかおいしかった。
中央の広場といっても時計台と教会があるちょっとした広場でこの町が本当に小さい事を物が建っている。町の規模の割には観光客が多い。みんなどこに向かっているのかというと、城塞のある高台。ここには市が経営するワインショップがあるのだ。
高台にある城塞は景色もいいので有料で城塞の上にのぼることもできるが、私たちはワインが目的なのでショップへと直行した。市直営と下の町のワインショップの違いは市直営ショップではとても小さなワイナリーのワインも販売しているということだろう。職員に25ユーロより安くてお勧めなワインを聞いたら、国内でも他に出回っていない小さなワイナリーの物を勧められた。それにしてもこのショップのワインは上質かもしれないが町の下の方にあるワインショップに比べると値段のレンジがやや高めだったので、さんざん迷ったあげくにここでは購入しないことにした。ここで得た情報としては2004年のぶどうがここ最近では最高のできだったということだった。確かに2003年や2005年と比べると2004年のボトルはトンと値段が高い。ふむふむ、2004年がいいってわけだ。因みにここでも有料の試飲、また食事もできる設備がある。
城塞の門をくぐった中にショップがある |
食事もできる場所あり |
うーむ、ここもたくさんあって悩む、悩む |
こんなにたくさんのワイナリーが存在している |
城塞の坂を下りて中央広場にある場所から洒落たレストランが数軒並ぶ通り沿いに。ここに至る道のりにはそれこそ5軒に1軒くらいの割合でワインショップが並ぶ。あまり規模が小さいと店員さんと一対一で買わざるを得ないような状況になりそうなので、ちょっと大きめなショップで物色することにした。結局、最初に見たお店で3本を選んだ。しめて51ユーロ也。
いつも飲んでいるワインが5リットル入りで8ユーロだから1リットルあたり1.6ユーロ。今日買ったワインの平均価格は1リットルあたり22.67ユーロ。ひえー、いつものワインの15倍もしている。とか考えるとものすごい贅沢をしている気分になるなぁ、でも折角モンタルチーノにきたんだもの、これくらいの贅沢をしてもいいだろう、うん、そうだ、使う時は使わねば!などと二人で話していたら、隣でワイングラス一杯9ユーロもするワインを試飲マシーンから出して、「うん、これがいいね、これ頂戴!」と即決しているアメリカ人カップルがいて、がくっと腰が折れそうになった。買い物のしかたも色々である。
そんなわけで目的通りブルネッロ・ディ・モンタルチーノも手に入ったし、あとは帰るだけだ。最後にモンタルチーノ村からの景色を楽しんで帰途についた。
で、帰ってから早速コルクを開けて飲んだかというと飲まない、飲まない。こんな疲れた時じゃなくて、もっと体調万全にワインに合った食事の時に飲まなきゃ。というわけで、我が家の宝となったモンタルチーノの栓が開けられたのは、この後だいぶたってからだった。テントの寝室に毎日ワインを移動して、エアーマットレス2枚をピラミッド状にたてかけて上から寝袋をかけてワインセラー状態を作り出していたお陰で、夏の暑いキャンプ場だったにもかかわらずおいしく飲めた。安いワインと確実に違うのはグラスに注いだ瞬間に立ち上る香りの強さ、口に含んだ時のふくよかさだろうなぁ。やっぱりおいしいです。
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