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2010.06.13
フィレンツェ近郊観光(2)〜メディチ家3つの別荘を巡るドライブ
イタリア:フィレンツェ

 郊外ドライブ2日目の今日は、フィレンツェ北東側にあるメディチ家の別荘を3つ見学してきた。最初はプラトリーノPratolino、次にペトライアVilla La Petraia、最後にVilla of Castello。

 朝8時50分にキャンプ場を出てキャンプ場に戻ってきたのが午後3時50分。昨日よりも近場だったし、ショッピングモールなどにも立ち寄らなかったので早く帰ってくることができた。2番目の館内案内のおばちゃんが、かなりいい味のおばちゃんで参った。

 さて、詳細は・・・。

 最初の別荘プラトリーノはフィレンツェの北部に位置する。アルノ川の南、ミケランジェロ広場の隣のキャンプ場にいる私たちはフィレンツェ市街地を突っ切って北上しなくちゃならない。町の北にある城門あとのポルタ・サン・ガッロから正しく北に向かう道を選択するのが難しそうだと思っていたら、案の定違う筋に入っちゃって城門付近を2周してリカバー。

 城門近くにバイク軍団がいて正しい道への入り方を教えてもらえたのが良かった。市街地は運転が難しいねぇ。

 さて、そこからはほぼ一本道なので迷わずにプラトリーノまでたどりついた。目指す別荘が山の上にあるとばかり思って、プラトリーノの町を通り越したら表示が消えた!近所のおばちゃんに聞いたら町に入る手前の右手に別荘があるんだそうだ。確かに途中左手に「駐車場はこちら」という看板を見かけたが、ちょっと商業的に目立つ看板だったので別荘にあやかったテーマパークかと思って通りすぎちゃったんだよね。ということで、戻って別荘に到着したのは9時40分だった。迷ったわりには早かった。

 別荘は朝10時からでまだ開いていなかった。この駐車場は先の森林の奥にVivi l'Avventuraというテーマパークがあってそこと共有になっている。開くまでの時間テーマパークを見に行くことにした。

 森の木を使って木と木の間にロープを渡し綱渡りやキャノピーや色々な冒険チックな事が楽しめるテーマパークになっていた。木の高さによって難易度が分かれていて大人でも楽しめる。大人一人18ユーロだそうだ。

 まだ朝早いので2家族くらいがピクニックの準備をしているくらいだったが、別荘に戻ろうと森林を駐車場に戻る道ではぞくぞくとこのテーマパークに向かう団体に出会った。別荘よりも人気があるなぁ、これ。

 10時を過ぎて開いた別荘は入場無料。入場を待っていた他の観光客とともに入った。

 渡された地図を見ると別荘といっても館の見学はなくて、やたらに広いお庭の見学になっていた。影になっている部分も別荘の敷地だろうが、見学が可能なのは明るい部分のみ。これだけでも十分に広い。

 一緒に入場した人の中には近所のおばちゃん2人組もいて別荘のお庭を散歩しに来たようだ。なんか贅沢な話だ。ここも入場無料だから気軽に散歩に来られるというわけだ。



 最初に目に入るオブジェクトはメディチ家の別荘という名前からは想像できない近代的な物だった。実はこれ「Diamante」つまりダイヤモンドと名付けられたソーラーシステムでパネルに集められた太陽光で蓄電して公園内の照明などをまかなっているんだそうだ。

 ソーラーシステムをダイヤモンド型にしているってところが殿様っぽいと言えなくもないが、こうした新しいプロジェクトも取り入れているのが新鮮だった。

 お庭のハイライトはジャンボローニャ作の「アペニン」の巨像のある池だ。森の中にうずくまるような巨人の前にハスの花が浮き草の生える野性味のあふれる池がある。彫刻という人工物が自然にとけこんで初めからそこに存在しているかのような印象を与える。今までローマ市内で美術館や教会の中でしか彫刻を見てこなかったので、こういう配置のジャンボローニャの作品を見られるというのは、フィレンツェに滞在するからこそだと面白く思った。
 

 園内には管理人の家(通常の日本の建売住宅よりも大きい)やお屋敷がぽつりとあって、間を埋めるのはよく手入れされた緑の芝生だった。お屋敷の外壁には建物には不釣り合いなくらい大きなメディチ家の紋章がついているのが笑えたのとロッビア一族によると思われる彩色テラコッタが美しかった。屋敷付近には巨大な足の彫刻がごろりと転がっていたり、水飲み場が放置されるように置いてある。通路にはよく育った高い木が生えていて、ふと人工の洞窟が作られていたりし、全体的に整然としたお庭の屋敷というよりは、野趣あふれる自然の趣を楽しむ自然公園のような雰囲気の場所だった。

館の角についた紋章が大きい!

巨人の足

元水飲み場

美しいテラコッタは屋敷の壁面に何気なくついていた

人工の洞窟

たまにはこういう庭園もあるがあまり手入れされていない

 広大な敷地を散策して1時間半。もとの入り口に向かっていたら、お弁当と飲み物をたっぷりと持った団体が次々と入ってきていた。どうやらここは格好のピクニック場所になっているようだ。かつて芸術家をパトロネージュした一家の遺産が今は市に渡って、こうして一般の人々を楽しませてくれている。



 私達も駐車場に戻って車の中で手早くサンドイッチを頬張ってお昼ご飯終了。

 さて、気になる森林の奥のテーマパークはどうなっているだろうか。

 朝は誰もいなかった木々の上には大勢の人の姿が見えた。難しいレベルの遊具の木には係員がいて全員ヘルメット着用で安全帯もつけていた。高い木などは地上10mもあるだろうか、結構怖い場所で「風雲たけし城」(知っていますか?北野たけしのテレビ番組で一般視聴者参加の障害物競争番組、今でも外国で放映されているらしく外国人からこの番組を知っているかと聞かれることがある)のような綱渡りをしていた。大人も子供もそれなりのレベルで楽しめて大騒ぎで楽しそう。
 

 次の別荘ペトライアVilla La Petraiaに到着したのは午後1時だった。こちらも入場無料だが館内はガイド付きじゃないと歩けない。次のツアーが1時半だというので庭を見学して時間をつぶした。プラトリーノに比べると、こちらの庭園はずっとコンパクトでその分整備されていた。

トルナブオーニ家から買った土地と建物はメディチ家の命で
ブオンタレンティが立て直した。

噴水のヴィーナス像はジャンボローニャ

 1時半に建物入り口に入ると、他に30代前半くらいのイタリア人カップルと一緒にツアーを周ることになった。ガイドは70才に手の届きそうな女性で声がとてもしわがれている人だった。最初にイタリア語は話せるかと聞かれ、英語なら大丈夫だというとわかったと答えた。しかし、いざ説明に入るとぜーーーーんぶイタリア語のみ。時々「ディス・イズ・テーブル、モルト・ビューティフル」「ディス・イス・タペストリー、モルト・ビューティフル」ってそれしか言ってくれない。っていうか、「モルト」ってすでにイタリア語だし。私達とカップルは後ろで顔を見合わせて噴き出すのを押さえるのに苦労しながら館内をまわった。

 ガイドさんの珠玉のジョークは(彼女はジョークだと思っていないが)、「この窓から見える景色は館内でも一押し。庭園が全て見渡せるのです!」と誇らしげに説明してくれた窓が鎧戸で閉まっていて、開けるそぶりも見せずに次の間にさっさと歩いていってしまった場面。鎧戸の隙間をのぞこうとしたが暗くて何もみえず。いやー、これには本当に参った。

 それでも中庭の四方に描かれたとても美しいフレスコ画(「メディチ家の歴史」)は圧倒的だったし、通常よりも大きなビリヤード台が置かれた遊具室は貴族の優雅な日常生活を想像させてくれたし、プラトリーノよりも面白かった。

 30分ほどのツアーを終えて出口を出た4人は顔を見合わせて一気に噴き出した。「あの窓の場面は珠玉だったよねぇ」「全然、英語の説明がなかったねぇ」と口々に言って大笑い。いやー参った。

 ここから次のカステッロの別荘までは300mしか離れていないというのだが、方角を間違えて歩いて疲れてしまったので車で移動。館内の見学はなく、無料で庭園見学のみ可能という場所だった。ここの庭園もビシーっと整備されて美しかった。とても大きな鉢植と彫刻がふんだんに
配置されているのがイタリア庭園の特徴なのだろうか、印象的だった。

 これまでフィレンツェ市内のメディチ家の屋敷や礼拝堂や教会を見て、そういう場所で生きてきた人々が休暇を過ごす別荘を昨日、今日と2日にわけて見てきた。包括的に見ていくことで、ルネッサンスを生きた人々の息吹を感じる事ができるという意味で別荘見学は大変に興味深い。まったくメディチ家づけの日々だ。


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