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2010.06.09
フィレンツェ観光(6)〜サント・スピリト地区 その2
フィレンツェ観光6日目の今日は、昨日ピッティ宮で行けなかった銀器博物館、衣装博物館、ボーボリ庭園、陶器博物館(全て見られるチケットで一人10ユーロ)。一度キャンプ場に戻ってコムナーレ劇場でクラシックコンサートという内容だった。
朝9時44分にキャンプ場を出て戻ってきたのが午後4時40分。午後7時55分にキャンプ場を出て戻ってきたのが午後23時15分。コンサートには車で行ったので、今回の帰りはスムーズ。
さて、詳細は・・・。
昨日に引き続きピッティ宮通いだ。今日も朝から晴れているが逆光。
ピッティ宮は「パラティーナ美術館と近代美術館」というチケットと「銀器博物館、衣装博物館、陶磁器博物館、ボーボリ庭園」という2種類のチケットがある。ガイドブックに紹介されていた2つのチケットを合わせたコンビネーションチケット(ばらで買うより6ユーロも安い)はなくなっていたので、昨日12ユーロ、今日10ユーロと合計22ユーロをピッティ宮に費やすことになった。
最初に銀器博物館、続いて衣装博物館に午前中を費やした。例によって入口から先は撮影禁止のため写真の記録がない。
銀器博物館には銀器のコレクションが少なくて象牙の壺や装飾品の方がボリュームがあり素晴らしかった。
衣装博物館はコジモ一世(16世紀)が着ていた衣装が残っているのが一番印象的だった。例えば教会にイエス・キリストが着ていたかもしれない着物の布切れとかいうのは見た事があるが、それよりはずっと信憑性がある。
「これをコジモ一世が着ていたのねぇ」。
フィレンツェを観光しはじめてからというものその名前を聞かぬ日はないくらいのメディチ家の有名人中の有名人、そのコジモ一世が身に着けていた物が残っているというのはかなりインパクトがあった。しかも当時の男性の洋服で下着にあたるものが残っている。革ひもの真ん中にバナナ状のサックがついたものだ。「革」。っつーことは洗っていない。うーむ、洗ってなかったのかぁ。いよいよ気になる展示品だった。
また数々の中世以降の貴婦人の衣装にジャンフランコ・フェレのドレスが数点展示してある。フェレって博物館物な価値のあるデザイナーだったんですね、知らなかった。
ここでお昼。今日は昨日目をつけたピッティ宮の目の前の路地を入って2ブロック目左角にあるGUSTO
Pizza。基本的にテイクアウトの店で店内に4つくらいテーブルがあって店内で食べることも可能。テイクアウトも店内で食べるのも同じ値段というのが嬉しい。
レジで注文して会計してから順番を待つ。注文が入ってから生地を成形して焼くので混んでいる昼時はちょっと時間がかかるがこれが抜群においしかった。マルゲリータ直径25cmくらいで5ユーロだった。
午後からは午前買ったチケットでピッティ宮に再入場してボーボリ公園の見学だ。ピッティ―宮(左の写真で左下の赤い建物)を背にして庭園は右手方向に三角形に伸びた形をしている。
土地はピッティ宮からまっすぐ上に向けて登り斜面、左側から右側にかけては下り斜面になっている。どうやってもどこかで坂をのぼらないとならない運命だ。
ということでまずは一番急な斜面、ピッティ宮からまっすぐ上に伸びる道を歩いた。一番上の場所には陶磁器博物館がある。最初にオベリスク、そしてきれいに刈り込まれた植木、噴水のある池と目線が上がる度に振り返る風景が変わって見えてくるのが楽しい散歩道だった。登り切った先には美しいバラ(ちょっと終わり気味だが)園を前に前庭に持つ陶磁器博物館があり、その先の眼下に緑の森と赤い屋根の市街地が見えた。ここからの景色も気持ちいい。
陶磁器博物館は4部屋くらいの小さな博物館で、セーブルやマイセン、もちろんジノリなどお決まりといえばお決まりの陶器が飾られていた。素敵なのだが、注目したのはこれらの常設展示に混じって飾られていた現代陶芸家の作品だった。Paola
Staccioli、パオラ・スタッチオーリと読むのだろうか、この人の作品は日常のようで非日常であり、ヨーロッパのようでアジアのような絵柄で柔らかい色遣いが何ともいえず面白くポップで可愛らしかった。実際に使ってみたいと思わせる作品で、これが一番面白かったな。
陶磁器博物館の中はひんやりしていて見学しながら休憩するにはもってこいの場所だった。ここから上の見取り図右手方向にずーっと坂を下りながら森林の散策を楽しむ。途中には現代アートのような大きな顔の彫刻があったり、坂の一番上ではスケッチのグループがキャンバスを広げていたりして普通に公園を楽しむ人の姿が見られた。一番右端にはジャンボローニャの「大洋の噴水」があるが、ここまで来ている人はあまりいなかった。他にも噴水や植物園があるのだが柵が閉まって入れなかったりして、まだシーズンじゃないのだろうか。
ということで、一通り公園を散策して再びピッティ宮前に戻ってきた。ここから左手にはドゥオーモのクーポラとジョットの鐘楼が見えて美しい。ここから左に進んで坂を下るとバッカスの噴水がある。このバッカスの子供体型にしてふてぶてしい顔立ちが何とも憎らしい。最後にブオンタレンティのグロッタという人工的にグロった(洞窟)を作った場所を見て本日の見学は終了だ。
さて、今夜はコムナーレ劇場でコンサートがある。今日のギドン・クレメルは夫も名前を聞いた事がある知名度のある人なので、事前にチケットを買った方がいいという判断からピッティ宮から歩いてコムナーレ劇場まで行くことにした。あまりに暑いので途中で昨日見つけたアジアマーケットでビール立ち飲み。ニコニコと愛想のいい店員さんで「バールに行って飲めばいいのに」などと嫌みも言わずに非常によろしいのだった。
カッライア橋を渡ってコムナーレ劇場は左手方向。今日は雲の感じが良くて橋の上からの景色もいつもにも増して素敵だ。橋を渡ってすぐ左側にはオーニッサンティ教会がある。正面入り口の上にロッビアの彩色テラコッタが美しい教会だ。月、火、土の朝9時から正午までしか開いていないという入るのが難しい場所で、昨日は時間切れ、今日は開いていない。中にはレオナルド・ダ・ヴィンチが参考にしたというギルランダイオの「最後の晩餐」やボッチチェリの作品もあるとガイドブックに書かれていて魅力的だった。外部からロッビアのテラコッタだけながめて終了。それにしても少し歩いただけでこんなに貴重な文化遺産にぶつかるというフィレンツェは何と素晴らしいのだろうか、とあらためて思うのだった。
首尾よくチケットを買って、キャンプ場まではさすがにバスで戻って夕飯。今日は車で会場に行くことにした。前回、バスを待って夜11時に30分も人通りの少ない場所にいて嫌になったからだった。
コムナーレ劇場に徒歩2分くらいの駐車場は夜8時から翌朝までなら何時間駐車しても駐車代金が2ユーロになる。コンサートが8時半開演でぎりぎだが、時間をうまく見計らって午後8時過ぎに駐車場に入る事ができた。
今夜のギドン・クレメルはバイオリンを弾きながら指揮もして、曲もアレンジをきかせるという離れ業をやってくれた。曲目はヴィヴァルディ、ピアソラ、チャイコフスキーだったがどの曲もかなり編曲されていてエンターテーメント性に満ちた演奏会に観客は大いに盛り上がった。
幕間にたまたま日本人の男性と知り合ったのだが、この方は日本でアマチュアといってもかなり知名度の高いオーケストラのビオラの主席を長く勤めていたという。仕事も辞めてオケもやめて長期でイタリア旅行しようとしたらフィレンツェで5月祭を知って、すぐに全チケットを購入。アパートも借りてフィレンツェ滞在1ヵ月になるのだそうだ。こういう人でさえ全て聞きたくなる5月祭はやはりレベルが高い。私達も前回の夜も、そして今夜も一番安い25ユーロの席だが大満足の演奏を楽しんだのだった。
帰りは車でご帰宅。といっても一度ロータリーで間違えて2周した場所もあったし、夜のフィレンツェのドライバーは昼間にも増してスピードアップして走るので正直ヒヤヒヤしたのだが、何とか無事に帰る事ができた。よかった、よかった。
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