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2010.06.06
フィレンツェ観光(3)〜サン・ロレンツォ地区
イタリア:フィレンツェ

 フィレンツェ観光3日目の今日は、朝一番で人気のアカデミア美術館(一人6.5ユーロ)を目指し見学。メディチ・リッカルディ宮(一人7ユーロ)を見学。持参のサンドイッチで昼食後、メディチ家礼拝堂(一人6ユーロ)、サン・ロレンツォ教会(一人3.5ユーロ)を見学。サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場でサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会と捨て子養育院美術館の外観を見学して今日の観光終了。帰り際に老舗ジェラート屋ヴィヴォリでジェラートを食べてキャンプ場に戻るという内容だった。

 朝8時50分にキャンプ場を出て戻ってきたのが午後4時。昨日の夜コンサートに行った疲れと日中の暑さで、キャンプ場に戻るなりビールを飲んで眠ってしまった。疲れたけど今日も充実。

 さて、詳細は・・・。

 サン・ロレンツォ地区はメディチ家にゆかりの深い見どころが多い場所だが、今日の一番人気スポットはアカデミア美術館だ。ミケランジェロのダビデ像のオリジナルを所蔵している美術館だ。朝8時15分から開館しているということだが、9時22分に到着した時には50人待ちくらいで25分待ちで中に入る事ができた。

 ダビデ像はミケランジェロ広場にもシニョーレ広場のヴェッキオ宮前にもあって、それこそ日に3度も4度も見ているはずなのに、やはりお金を支払って見学するとなると気合いが入って今日はまじまじとダビデ像を観察してきた。身体の割に手と足と顔が大きいので、意志が強くて力が強そうに見える。ここの所、素晴らしい彫刻をたくさん見せてもらったが、リアリティーの追求の他に「顔」がとても大切な要素なんじゃないかと思ってきた。いわゆる一流といわれる彫刻家のそれは表情が素晴らしいのだ。ダビデもクッと遠くを見つめる視線の強さがとても魅力的だった。後ろにまわるとちょっとお尻が垂れているのは残念だった。ドミニカ共和国で男女ともども素敵なお尻の人々をたくさん見てきたから、この部分はダビデ像は負けている。もうちょっとあげりゃぁよかったのに。

 次に向かったのはアカデミア美術館からほど近いメディチ・リッカルディ宮。この建物はメディチ家が住んだ後にリッカルディ家の所有となったのでこういう名前になっているが、一番の見所は屋敷内にある礼拝堂だ。ここにはB.ゴッツォリの描いたフレスコ画が壁面をゴージャスに埋めている。

メチディ・リッカルディ宮の外観

メチディ・リッカルディ宮の中庭

 入場券を買って中に入ると、新しいメディアを使った美術鑑賞コーナーがあった。スクリーンの前に立ち、目の前のメニューを指すと次の項目に進んだり、絵画を指さすとその部分が拡大されて人物の説明になったりする。丁度、コンピュータのマウスがタッチパネルになったような感じだが、タッチもせずに指さしで動くのが新しかった。

 対象になっているのが、礼拝堂のゴッツォリのフレスコ画だった。「ベツレヘムに向かう東方の3賢人」で白馬に乗っているのがメディチ家のロレンツォ・イル・マニフィコだとか、他の絵でもあれがロレンツォだ、これがコジモだと解説してくれるのだった。

 この技術を使えば、将来的にはオーディオガイドじゃなくて特殊メガネを使ったヴィジュアルガイドもできるようになるかもしれない。絵画の特定の場所に立ってボタンを押すと、これと同じように解説してくれたらもっと面白くなるだろう。

 このメディアで十分に遊んでから館内の見学に向かった。洗礼堂のフレスコ画は初めにメディアで見るよりも色彩が鮮やかでとても美しく見いってしまうものだった。フレスコ画というと退色してあまり鮮明でないようなイメージがあったが、この作品は今生れたてのようにつやつやと美しく人物も活き活きと描かれて引き付けられた。

 洗礼堂以外の部分は思ったよりも質素で人目につかぬように、目立たぬようにすることで成功をおさめてきたメディチ家の家訓を感じさせるなぁなどと思っていたらものすごい天井画の部屋が出てきた。ナポリの画家ルーカ・ジョルダーノの作品とガイドブックにあるのがこれだろう。確かに登場人物が多くて絵の素晴らしさもさることながら、一人ひとりに注目して見ていくと面白くて見入ってしまう天井画だった。



 あとこの宮殿を歩いていてふと目にとまったのがガラスケースで覆われた絵画だった。フィリッポ・リッピの作品で柔らかな人物の表情と色遣いがとても心地よい。ふぃりっぽ・リッピはボッチチェリの先生だから何となく共通な画風だが、ボッチチェリよりも妖艶さがなくてあまりドキドキしないで安心して見ていられる作品だった。

 メディチ・リッカルディ宮の見学を終えるとほとんど正午だった。午前中に2ヶ所の見学ができれば上出来なようだ。





 次の観光目的地のサン・ロレンツォ教会の縁石が丁度いい日陰になっているので、そこに座って持参のサンドイッチを食べた。昨日、一昨日と二日間昼食を持たずに観光に来て往生したので、今日はサンドイッチを作って持ってきたのだ。売っているサンドイッチの3分の1の値段で同じくらいの物は作れる。観光3日目にして、いまだに庶民的なレストランエリアというのにたどりつけていないが、そんなものを探すよりも観光に忙しいので仕方ない。

 さて、午後からはまずメディチ家礼拝堂の見学だ。サン・ロレンツォ教会の裏手にくっついているのだが入口と入場料は別になっている。メディチ家礼拝堂は私のフィレンツェ滞在で常にトップランクに来る印象深い場所で、フィレンツェといえばメディチ家礼拝堂というイメージを持っているくらい素晴らしいと毎回感じている場所だった。いつもは駆け足の観光だが今回は時間をかけてじっくりと見る事ができるので、とても楽しみにしていた場所だった。

 ところが楽しみにしていた「君主の礼拝堂」に入ると、「あれ?こんな物だったっけ?」という思いが正直したのだった。確かに床や壁に刻まれた様々な大理石の装飾は圧倒的だったが、私のイメージの中の君主の礼拝堂はもっともっときらびやかで他を圧倒する場所だと思い込んでいた。

 思うに、今までは駈け足でしかフィレンツェを観光していなかったのできらびやかな思い出が全てメディチ家の礼拝堂だという記憶になってしまっていたのかもしれない。今回は様々な場所をじっくりと見学している。いつもよりもかなり冷静な感覚で見ているといっていい。そういう目で見ると、メディチ家礼拝堂は確かに素晴らしいのだが他にも素晴らしい建築物や絵画をたくさん見ているのでこの君主の礼拝堂だけが突出して美しいとは感じられなくなっていたのだった。今回は逆に「新聖具室」のミケランジェロによる2つの向きあう墓碑の彫刻の素晴らしさに圧倒された。こんなの全然記憶に残っていなかったのだが、ミケランジェロの掘り出す人物の表情の素晴らしさは他を圧していると感じたのだった。

 これがヨーロッパ文化の素晴らしさかもしれない。それを見る年齢によってその時の感性によって、または持っている知識によって何層ものレイヤーになっている文化が切り出されて見えてくるので何度でも楽しめるし、違った自分になった時に再び訪れたいと思わせる期待感を今現在見ている時から感じられるというのは自然を楽しむのとはまた異なる経験だ。

 礼拝堂を出て隣のサン・ロレンツォ教会も見学。ここにはドナテッロの説教壇とフィリッポ・リッピの受胎告知の絵画がある。教会内が撮影禁止で掲載できないのは残念。

 サン・ロレンツォ教会を出て中央市場から続くプッチ通りを東に進む。この通りにはずっと露天が出ていて、観光の息抜きにはぴったりの場所だ。皮製品のハンドバッグを扱う店や衣料品の店が多いが、衣料品はイタリア人以外にもアジア系の人が販売をしている場合が少なくない。

 よく見ると、「これラオスで見たような・・・」「これタイで見たような・・・」と思われるスカーフなどが平気で売りに出されているのが面白い。別にイタリアだからイタリア製品だけを扱わなくてはいけないという理由もなく、気に入ったらどこでどの国の製品を買おうといいわけだがイタリア製品にこだわりたい人は気をつけないといけないようだ。

 プッチ通りとセルヴィ通りの交差する場所で、ドゥォーモが見える。今まで見ていたのとは違って裏手からみるドゥォーモだが、こちらからの角度もなかなか素晴らしい。

 町を歩いていると通りの左右の建物の間から徐々にドゥオーモが姿を現しやがて全体を見える位置まで来る興奮の高まりは街歩きの醍醐味だ。

 今度はドゥオーモを背にしてセルヴィ通りを北上し、サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場まで歩く。広場の手前にあるアルファーニ通りとの交差点にOKという名前のバール・レストランがある。ここが値段が手頃であまりツーリスティックに過ぎないのでいつか来てみようと初めて候補ができたのだった。

 サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場にはサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会とロッビアによる青い背景いが美しい陶器のメダイヨンが外観に見える捨て子養育院美術館が面していて、広場の中央にはジャンボローニャによるメディチ家のフェルディナンド一世の騎馬像が建っている。サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会の前には子供移動遊園地ができていて、あまりよく撮影できなかったのだが、それでもアーチの並ぶ美しさは見てきた。
 

 本日の観光の締めには老舗ジェラート屋のVivoliに向かった。裏道のような静かな通り沿いにあるにもかかわらず大勢の観光客が詰めかけているのには驚いた。中にはガイドさんの案内で団体で来た一群もいる。ピーチが食べたかったので、何と相性がいいかと尋ねるとバジル入りパイナップルはどうかと勧められたのでそれにした。果肉が入った甘酸っぱいピーチと清々しい香りのバジルパイナップルはさすがに相性がよくておいしい。というかバジルをデザートにも使うのが新鮮だった。
 

 キャンプ場に戻ってバールで冷えたビールを飲んで本日の観光終了。いやいや今日も充実した一日だった。


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