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2010.06.01
世界の人気者、ピサの斜塔
イタリア:トーレ・デル・ラーゴ・プッチーニ

 さーて、今日は傾いたまま立っている塔で有名なピサにドライブだ。

 ピサは南北1.4km、東西1.2kmくらいをぐるっと城壁で囲まれた街で有名な斜塔とドゥオーモなどのあるドゥオーモ広場は北側にあり、南から3分の1くらいの東西にアルノ川が走り、南部城壁のすぐ外に駅があるという町だ。

 私たちは北西の城壁のすぐ外にある駐車場に車を停めた。一番近い門からすぐにドゥオーモ広場に入るという場所である。ここでまず驚いたのは観光客の多さだった。トスカーナ地方に入ったとはいうものの、まだシーズンには早い海水浴場の町ヴィアレッジョやプッチーニの邸宅のあるトーレ・デル・ラーゴ・プッチーニしか行っていなかったので世界のトスカーナ人気のことをつい忘れていた。で、今日のピサを見てあらためてトスカーナの人気ぶり、ピサの人気ぶりを思い出したのだった。

 ドゥオーモ広場は右の写真のようになっている。一番奥の円柱の建物が洗礼堂、真ん中がドゥオーモ(聖堂)、ドウォーモの右側にカンポサント(納骨堂)、そして斜塔という並びになっている。どの建物もまばゆく白い大理石でできていて、間を埋めるのはよく手入れされた芝生の絨毯だ。

 トスカーナ地方に入ってくる時に高速道路の車窓から雪山かと思われるほど巨大な大理石の塊の岩山を見た。カッラーラという町を通過した時だ。あれだけ大理石があったらなんだって大理石で作れちゃうなぁ。贅沢な話だ。

 私達が入った門は洗礼堂の裏手にあるので、まずは白く輝く巨大な円柱の洗礼堂が目に飛び込んできた。予備知識なく見ても、とにかくため息の出る美しい風景だった。ここはひとつ、青空の広がる芝生が緑の時期に来るのが正解なんだろうなぁ。遠い昔、学生旅行で真冬に来たピサで芝生が美しかったという思い出はかけらもなかったから、今回は新鮮な思い出見る事ができた。

 チケット売り場でドゥオーモの入場券2ユーロを購入してから洗礼堂とドゥオーモの間に入りこむとドゥオーモの入り口になる。正面入り口は午前中は逆光になって薄暗いが一応撮影。

 1階が閉じられたアーチが並んで2階から上にデコレーションケーキのように柱が細かく並ぶ階層が上に行くに従って狭まるのをピサ様式のロマネスク建築というそうなのだが、このドゥオーモを皮切りに今日はピサロマネスクをたくさん目にすることになった。

 正面入り口の装飾も細かくて素晴らしいのだが、良く見るとグロテスクというのだろうか奇妙な彫刻も紛れ込んでいるから目が離せない。

 内部はフィレンツェのドゥオーモでは外観に多用されている白と黒の大理石の積み重ねが部分的に使われ天井は金色の装飾で全体的に華やかな雰囲気になっていた。奥に進むと側面に作られた礼拝堂も立派な作りで豪華絢爛な雰囲気だ。これにG.ピサーノ作の手の込んだ説教壇やジャンボローニャの6体の天使の彫刻など一流芸術家の作品が散りばめられていている。フィレンツェでは写真撮影禁止が多かったので、このピサのドゥオーモでジャンボローニャの作品を間近で撮影できるのは貴重なチャンスだった。まだフィレンツェに行く前だったが十分に撮影しておいて良かったなぁ。

(左)ジャンボローニャの天使 (中)G.ピサーノの説教壇 (右)ガリレオがこのランプの揺れで振り子の法則を発明したといわれていたが
ランプ設置は法則発見後だったというエピソードがあり「ガリレオのランプ」といまだに呼ばれているランプ

 まだ朝一発目の観光名所だというのに頭がくらくらするようなドゥオーモ見学を終了し、先に進むと斜塔が目に入ってくる。あまりに大勢の人がこのポーズをしているので我が家もついついこんな写真を撮ってしまった。

 学生で訪れた時は予約なしで何人でも斜塔にすぐに登れたもので、私も上に登っておっとっとという斜面を楽しんだのは記憶している。その後は危険なので登れなくなり、今は厳しい人数制限のもと15日前までに予約しなければ登れないのだそうだ。15日前にここに来る事が予測できていなかった私たちは斜塔への入場はなし。外から見て楽しむだけだ。

 斜塔のある側からぎりぎり3つの建物が1画面に入る地点がある。ここからの眺めは壮観だった。ここにはカフェもありエスプレッソをすすりながら壮観な眺めを堪能できるようにもなっていた(カメラが広角なので左の洗礼堂も傾いて写ってしまったが実際は傾いていない)。ずーっと見ていると青空と白い建物と緑の芝生のそれぞれがあまりに鮮烈に輪郭をなしているのでCGの中に入り込んだような錯覚に陥る。目の前には生きた人間が往来しているのでとても不思議な光景に見えてくるのだった。


 ドゥオーモを背にしてサンタ・マリア通りを南下していく。ドゥオーモの近くは土産物屋やレストランが賑々しく通りを飾っているが、ドゥオーモが見えなくなるとすぐにもトーンダウンしてフレスコ画のようなパステルカラーが古色をおびた建物が続く落ち着いた街並みになってきた。途中で左に曲がればカヴァリエーリ広場に到達する。
 

 カヴァリエ―リ広場にはヴァザーリの手による建物が並んでいる。ヴァザーリといえばフィレンツェのヴェッキオ宮の内装をメディチ家のコジモ1世の依頼で16世紀後半に改装した建築家・芸術家でヴェッキオ宮からピッティ宮へと続く回廊はヴァザーリの回廊と呼ばれてもいる。そのヴァザーリが手掛けた「時計のパラッツォ」とカヴァリエ―リ宮殿の右側にあるサント・ステファーノ騎士教会がここの広場で見られるのだった。
 

 カヴァリエ―リ宮殿の前に立つ銅像はコジモ1世。メディチ家の先代までは商人として目立たぬように目立たぬようにと生きてきたが、コジモ1世の時代からは政治家としての道を歩むことになり、こうした銅像や有名画家に描かせた肖像画などをトスカーナの各所で目にする。

 コジモ1世は商人としても先見の明があり、政治家としても敏腕だったそうで、堂々とした彫刻は自信にあふれたコジモ1世の内面を確実にとらえているという印象があった。




 広場を抜けてしばらく歩くとアルノ川へと続くストレット通りに出る。アーケードのある通りで、感じのよいカフェやセンスのいいブティックが並んだお洒落通りだった。そんなお洒落通りからふと右手に入る小路で花を盛大に売る屋台があり、その先に入って行くと回廊に囲まれた中庭に安い雑貨や衣料品を売る露天が出ているマーケットが見つかった。取り囲む回廊は軽食を出す店や食料品店が多く、ここはかつては市場だったんじゃないかと思わせる場所だった。手持ちのサンドイッチを食べてしまったばかりだったが、こういう場所でお昼ご飯でもよかったなぁ。魚屋が1軒あったのでのぞいたが、どの魚もキラキラとした目で活きが良くて魅力的だった。ここの露天商は色の浅黒いインド系の顔立ちの人が多い。中国人も少しいる。インド系の店の雑貨は百円均一ショップで扱っているような中国製品が多く、チーズリーナーの値段を聞いたら2ユーロだという。こんなの1ユーロだろうなぁ。買わないというとインド系の人は「ふん」という顔をして横を向いた。うわべの笑顔で彩られたドゥオーモ付近の店よりもこういう正味な対決のある庶民エリアの方が面白い。

回廊に囲まれたマーケット

ピサ様式ロマネスク建築のサン・ミケーレ・イン・ボルゴ教会

 再びストレット通りに戻って川に向かう途中には、ドゥオーモと同じピサ様式のデコレーションケーキのような教会が建っている。こんな狭い通りに突如としてこういう教会が建っているのがいかのもヨーロッパ的で散策が楽しくなる。

 アルノ川の橋の上からは両岸にびっしりとお屋敷が建っているのが見えた。16世紀もさして変わらないのではないかと思われるしっとりとした色合いの風景を作りだしていた。

 川を渡って川沿いを右手に歩いて行くと次の端のたもとに教会がある。サンタ・マリア・デッラ・スピーナ教会というこの教会は通常の教会の上の部分だけをぶったぎって据えたような丈の低い様子が面白い教会だった。



 ロマネスクゴシック様式だそうでとても細かい装飾がびっしりと屋根を飾っていて重々しいのに1階層しかないので頭でっかちな様子がユーモラスな感じを与える。

 この教会は川のぎりぎり端っこに建てられているのだが、これでももっと低い場所から移動されてきたのだそうだ。


 こうしてドゥオーモ広場を出発してグル―っと見どころを回って広場に戻ってきた。約3時間半くらい経過していた。午後2時近くのドゥオーモ正面には陽が当たりつつあったのでもう一度撮影。いやー、本当に美しい。この広場は「奇跡の広場Piazza dei Miracoli」と呼ばれているそうだ。その由来は知らないが本当に奇跡のように美しい広場だった。
 


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