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2008.09.03
友人を見送りがてらベルガモ観光
3週間に渡って一緒にキャンプ生活をしてきた友人が帰る。ヨーロッパ国内を格安で飛ばすスカイオイロパSky
Europeという航空会社を利用してきたのだが、この会社のいう所のミラノの空港は実はミラノから50kmも離れたベルガモという町の空港なのだった。
滞在しているガルダ湖のペシエラからベルガモまでは70kmくらい。ベルガモも北イタリアの中では観光都市として名前のあがっている場所だし、オペラ「愛の妙薬」の作曲家ドニゼッティの故郷でもある。彼女を通じて様々なクラシック音楽文化に触れられたイタリアの旅のしめくくりとして最後に一緒にベルガモを周るのは悪くないと考えて、見送りがてらベルガモを観光することにした。
ペシエラのキャンプ地を9時半に出てベルガモに到着したのが11時25分。ベルガモの空港に午後3時にチェックインすればいいので2時間半くらい観光できることになった。ベルガモは丘の上に旧市街がありそこから急な坂を短い距離で下って新市街がある。私たちは丘の上まで来るまであがって旧市街のはずれに車を駐車した。
駐車場は旧市街の中では一番低い場所にある道路沿いにあるのだが、その道路から反対側はどーんと下がって眼下に新市街の赤い屋根が見えている。旧市街と新市街の間にはバスも走っていて今いる道路の駐車場前にも停留所があるのだが、フニクラもあって一直線に行き来もできるようになっていた。旧市街はここから更に坂をぐるーっと上がっていくことになる。(帰りはもっと真っ直ぐに降りる階段の道を発見したので近道となったが)
ベルガモの旧市街(アルタと呼ばれている)は斜面に並行しているメインロードが500mほどあり、その真ん中に中心となる広場がある。以上。という簡単な作りの場所だった。中心となる広場から西側にあるゴンビト通り100mくらいがお店の入った華やかな通りであとはとても静か。ゴンビト通りから広場に向かって行くと細い石畳の道の両側に4階建てくらいの家が迫っていて時代がふっと遡る気持ちになる。途中に小さな教会があり、その前に時代を経てやや黒ずんだ石造りの噴水などを目にすると、その気持ちがますます高まるのだった。
メインロードの途中でぶつかるヴェッキア広場には「市の塔」と呼ばれる塔がある。この広場の裏手には華やかな作りのサンタ・マリア・マッジョーレ教会、美しい8角形だったか6角形だったかの洗礼堂、ドゥオーモがある。教会の内部は外観のシックな色調とはうってかわって白と金が基調の華やかなものになっていてやや驚いた。ドニゼッティのお墓があるのもこの教会だ。
教会の裏手に入って右手方向に進むと目的のドニゼッティー博物館にたどり着いた。先日訪ねたヴェルディの邸宅と比べるとかなり質素な感じ。観光客も私たちくらいしかいなかったし。私たちもこの旅でドニゼッティの家を訪ねるとは思っていなかったもんね。「愛の妙薬」は2006年にウィーンの市庁舎前のフィルムコンサートで主役がヴィジャソンのDVDを見たのだが、ヴィジャソンの歌ったアリアがあまりに素晴らしかったのでオペラの途中なのにアンコールが出て、同じ曲をもう一回歌ったという珍しい公演だった。ヴィジャソンはこの出来事に対して感動のあまり2回目にはやや涙ぐみながら歌っている姿が感動的で、ドニゼッティーというとどうしてもヴィジャソンのあの姿が思い出されるのだった。あれからヴィジャソンはとーっても売れっ子になって世界中の音楽ショップで彼の顔を見かけるようになった。ウィーンは言うに及ばず、日本でも中国でも。ってことで、ドニゼッティーに関する私の資料はそれだけだけ。この家に来てみたものの解説が全てイタリア語だし、あまりよくわからなくてヴェルディの家に行った時のように楽しい!ってわけにはいかなかった。もっとお勉強してから来ないとね。
さぁ、もうお昼ご飯を食べたら空港に行かなくっちゃ。ドニゼッティの家はともかく、ベルガモのアルテ自体はとっても感じがいい。古い町並み、石畳なんだけどパン屋、ワイン屋、レストランなどおいしそうな食べ物屋さんが数多く入っていて生き生きとしているのがいい。
野菜と果物を売る店のショーウィンドーには早くもポルチーニ茸が並んでいて「おおお」と一同釘付けになってしまった。ここで出ているんならガルダ湖でも出ているかもと買わずに帰ったのが悔やまれる。ここでしか見かけなかったからだ。
お菓子屋さんに必ずおいてあるのが、この黄色いスポンジの上に鳥の形のチョコが乗ったお菓子。ベルガモの郷土料理にポレンタ(とうもろこしの粉を練ったもの)の上に野鳥のローストを乗せた料理があるそうで、それを模したお菓子もまた有名なんだって。ベルガモはなかなかグルメな町なのかもしれない。
中でも長い行列を作っているカットピザのお店で私たちもピザを購入。生地が厚めでピザというよりフォッカッチャピザ風な感じなのだが、この生地がまたパンではない。モチモチとしてちゃんとピザ生地なのに感動すら覚えた。パンじゃないんだ・・・。
こうしてざっくりとベルガモ観光を終了した私たちは空港へ。友人はアルテからバスで空港まで行けるのでいいと言っていたのだが空港はどうせ帰り道だし、天気もあまり芳しくなく残す見所のサン・ヴィジリオの丘に行っても実りが少ないだろうと私たちも空港に行ってみることにしたのだった。
ベルガモの空港は国際空港というよりは忙しい国内線空港の雰囲気。広くないベンチにも通路にもカフェにも人が溢れていた。私たちはようようベンチに空き席を見つけてカフェでコーヒーを買ってきて出発を待った。今回の旅でおおいにショッピングも楽しんだ友人は何とイタリアで圧力鍋も購入。これが機内に持ち込めるかどうかが最大の悩みだったんだけど無事に手荷物審査で通過して大きくガッツポーズを送ってきたのを最後に友人とお別れだ。彼女のお陰で変化に富んだ楽しい毎日を過ごすことができた。明日から寂しくなるなぁ。
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