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2008.08.30
ガルダ湖のシルミオーネ観光
イタリア:ガルダ湖のペシエラ

 今日はパルマ近くのキャンプ場から北部イタリア湖水地方で一番大きな湖ガルダ湖沿いのペシエラという町にあるキャンプ場に移動してきた。そんなに遠い移動ではないので2時間で到着し午前11時半からテント設営開始。インスタントのリゾットで簡単に昼食を済ませると、午後1時には自由に行動できる体勢になった。

 ペシエラの西側にシルミオーネという有名観光地がある。友人は以前訪れたことがあるというのだが、何とヴェニスからバスでやってきて(200kmくらい離れているのだ!)30分だけ滞在してヴェニスに戻るという強行軍の旅だったそうで、もう一度ゆっくり見てもいいという。それじゃぁ午後の時間を使ってシルミオーネ観光としよう!

 シルミオーネはガルダ湖に1kmくらいの幅で5kmも突き出している細長い半島の先っちょにある。美しい水の色と一番先っちょにあるローマ時代の遺跡が観光の目玉として有名なのだそうだが、友人いわく「町自体もとにかく可愛らしい」のだそうだ。あんまり先まで行くと駐車場料金が高くなりそうなので、観光案内所の徒歩5分くらい手前の大型バスも停車している駐車場に停車。ここは無料というわけにはいかなかった。1時間単位の駐車料金で高めの料金設定なので時間を確認して出かけた方がいい。私たちは2時間ちょっと過ぎる滞在で6.6ユーロ支払った。これは3時間分の料金だ。しかし、一番先にある駐車場は事前に時間を確定して料金を支払って、領収書を車のフロントに置くシステムなので観光にどのくらい時間を割いていいのかわからなかった私たちには不都合だったので、場所としては正解だったといえる。

 さて、駐車場からぶらぶらと先っちょに向かって歩く。観光案内所で詳細な地図をもらったりしながら進むと、13世紀に建てられたというスカラ家の城塞が見えてくる。半島がお堀のように削られて、ここから先に進む者は誰でも城塞を通らねばいけないようになっていた。

 ここで初めてガルダ湖の湖面を目にしたわけだが、噂どおりエメラルドグリーンの美しい色合いの水で、これまでに訪れたコモ湖やマッジョーレ湖と比べるとこちらの方が心浮き立つ湖の色だった。天気がいいってこともあるが、そもそもの湖の水の色がガルダ湖だけ色つきになっているようなのだ。

 この城塞を潜り抜けると、狭い道幅に店が並んで急に人通りが多くなって見える。暑い夏の午後とあってジェラード屋が特に目に入ってきた。盛んに花を付けたつる草に壁を覆われた家から道が左右に分岐してまた一つになったり、道をまたがるように建てられた家の下を潜り抜けたりして、タイムスリップした感覚も楽しめて、たしかに雰囲気がとてもいい町だ。
  

  

 この町並みを通り過ぎて、静かな通りをしばらく進むとローマ時代の遺跡にぶつかった。

 観光案内所で既に買っていた入場券を見せて中に入ると、まず小さな博物館があって遺跡の出土や歴史などについての説明がしてある。1階を見終わって2階に上がって見終わると、そのまま遺跡に誘導されるような順路になっていて、簡単な事かもしれないが、こういう所がヨーロッパは気が利いてるんだよねーと感心した。

 遺跡は思ったよりも広く、普通に歩いて見て周ったら40分くらいかかった。この遺跡には所々に簡単な解説がイタリア語、ドイツ語、英語、フランス語、日本語の5ヶ国後でされている。「浴場。温浴のために温められていたゾーン」。わかったような、わからないような説明だが、何もないよりはいい。この解説のスポンサーは遺跡を出て少し歩いた右手にある高級スパ「テルメ・ディ・シルミオーネ」らしく各看板の一番下にスパのロゴが入っていた。シルミオーネなんてミラノなんかと比べるとちょっとマニアックな場所だと思っていたのに、ここにも日本人は大挙して来ているようだ。あんな極東の小さな国の言語がここに書かれているのを見て、あらためて日本というのは経済大国なんだなぁと、遺跡というよりそちらに感心してしまった。

 遺跡自体もさることながら、そして日本語の解説もさることながら、この半島の先っちょの遺跡を印象付けているのは取り巻く海の色ではないだろうか。半島は海から底だけ持ち上がった地形になっていて、足元は棚田のような岩が波に見え隠れしている。その部分だけが水深が浅いので海の色、そして下の岩の色が透けて何とも美しいグラデーションを作り出しているのだった。朽ち果てて色もない遺跡を見てふと外側に目を落とすとこの美しい色の海がある。これがシルミオーネを忘れがたい場所にさせているマジックだと思う。ニュージーランドにカイコウラという町があり町外れに一周5時間くらい歩く半島がある。この半島も同じような地形で眼下の波に現れる岩が美しかった。地球上では時々こういう地形が発生するようだ。


 岩棚になった浅い部分では泳いでいる人もいる。泳ぐというよりは水に浸かっているという表現の方が適切だろう。さわさわとやってくる波を岩の上で受けて、それは涼しくて気持ち良さそうだった。この後9月に入ってガルダ湖周辺の気候がガクッと崩れて再びシルミオーネに来るチャンスがなくなったのだが、もっと夏の時期にここに海水浴に来たらさぞかし気持ちがいいだろうと思われた。

 遺跡の敷地を出てから、にぎやかな町に戻るまでの静かな道を歩いていたら、右手の壁にかかったレリーフの文字を熱心に読んでいる人がいる。何だろうと思って見てみると「Maria Callas、マリア・カラス」と書かれている。マリア・カラスってあのマリア・カラスのこと?読んでいた人に聞いてみたら、このヴィラにはマリア・カラスが住んでいたことがあるのだそうだ。気付かずに通り過ぎてしまったので、もう一度少し戻って門からのぞいてみれば、クリーム色のヴィラは目立たないけれどかなり大きな家だった。今は分割してマンションになっているようなのだが、ここにマリア・カラスが住んでいたのはそんなに遠い昔のことではないと思うと感慨深い。最近見たドキュメンタリーでマリア・カラスは船舶王のオナシスに本気で恋をして報われなかったという話が思い出され、この美しいガルダ湖でどんな思いで暮らしていたのだろうか、エメラルドグリーンの湖水を見てギリシャの海を思い出していたのだろうかと様々な思いが心をよぎった。

 ここを通り過ぎると、遺跡に解説を出していた高級スパ「テルメ・ディ・シルミオーネ」があった。ちょっと中に入ってみよう。シルミオーネのにぎやかで少し下町風とは違って、ここの中は近代的でまずまずの高級な雰囲気を漂わせていた。でっぷりと太って色白でとても肌の美しい韓国人女性と連れが妙に気取って中に入って行く。韓国人も日本人に勝るくらい美肌に気合を入れている国民だ。そのうちに遺跡の解説に韓国語が加えられる日も来るのかもしれないなぁ。

 町に戻って湖岸沿いに出てみると、空の額縁が置いてあって借景の絵画が楽しめるオブジェがある。イタリアぽいなぁ。

 夫と友人の合作で現代アートを作ってもらった。タイトルは「アリヴェデルチ、シルミオーネ」?




 散策の締めくくりはやっぱりジェラード屋。シルミオーネはジェラード屋がものすごくたくさん並んでいて、値段や味も様々だった。値段がそこそこでジューシー度が高そうな(人口着色っぽくない色合いの)お店を選ぶのも楽しい。まぁ、どこで食べてもはずれはなさそうなんだけどね。

 ゆっくり周ってもシルミオーネ観光は2時間くらいで終了する。30分しか見なかったという友人の発言に驚いたけど、超特急で周れば30分も可能なくらい小さな町だが、時間があれば遺跡の下の海岸で泳いだり、小さなお店をゆっくり物色したり、カフェでお茶したり、それこそスパで全身マッサージなどしてもらっていたら1日遊べる所かもしれない。今回巡った湖水3つの中で一番気に入った町だった。


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