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2008.08.27
クレモナでストラディバリとご対面
イタリア:サルソマッジョーレ・テルメ

 現在ヴァイオリニストの友人たちとキャンプ中。ってことでミラノを離れてサルソマッジョーレまでやってきた理由の1つはクレモナ訪問だった。クレモナはヴァイオリンの工房が軒を連ねており、かの有名なストラディバリを始め名だたる名器を生み出したことで有名になっていった町なのだ。私たちだけなら「あ、そう」で終わるこの町もヴァイオリンを弾く彼女たちにとっては思い入れが違う。こういう人たちと一緒に訪れたら面白いだろうというこちらの興味もあった。

 キャンプ場からクレモナまでは車で1時間だった。旧市街の外側の無料駐車場に停車。最近、無料駐車場に恵まれているのは田舎ばかり回っているせい?ここから徒歩で旧市街に入ることになった。

 コルソ・マッテオッティCorso Matteottiからコルソ・マッツィーニCorso Mazziniと名前を変える大通りを歩いて行くとパステルカラーに彩られた壁の家が続き、家と家の間の小道を見上げると聖人だろうか何かのオブジェがついていたり、開け放たれた扉から中に入るとアーチ型の柱廊に囲まれた中庭があったりして昔から変わらない町に入り込んでしまった錯覚に陥る。

 途中で左に折れると赤レンガ色のドゥオーモの裏手に出る。今日、水曜日は市の立つ日らしくドゥオーモ周辺およびドゥオーモの正面とコムーネ宮の間にあるコムーネ広場、その先もずっと様々な屋台が軒を連ねていた。ドゥオーモの裏手には野菜と果物の店が多い。値段を確認すると今までミラノで買っていた値段より安い!観光ついでに今夜の夕飯の食材も調達することができたのだった。

 コムーネ広場に行くと植木や花の鉢などの園芸の店から始まり、奥の方は魚介類のトラックでの移動販売の店。その合間には屋台ではなく常設の店舗もあって、チーズ、サラミ、乾物屋などが並んでいる。宮殿や教会もいいけれど、食いしん坊揃いの私たちはどーにも興味がそっちに向いてしまうのだった。魚介類の移動販売の車からは揚げ物のいい匂い。フラフラと誘われるように行って見ると、イカ、海老、タコなんかを唐揚にしてスナックとして販売しているのだった。中でも今日の特売品「ミックスフライが何と1ユーロ!」というちらしにひきつけられ、1ユーロ分購入して皆でつまむ。そんなに量は多くないのだが、まだ午前11時過ぎだし1つか2つずつ口に入れてにっこり。内陸の町だがなかなかおいしかった。

 サラミ屋ではパルマハムやサラミを物色。部位によって脂身の多いサラミや赤みの多いサラミなど種類も様々で、1本丸まる買うこともできるし、少量ならスライスして売ってくれるそうだ。サラミとチーズを一緒に扱う店というのをイタリアではよく見かける。サラミ、チーズ、魚介のマリネなど前菜一般の店だ。カウンターのショーケースにチーズやマリネなどを並べ、後ろの棚にサラミってのが一般的な陳列なのだが外国人、特にイタリア語の話せない者にとっては棚の中にある物を注文するのはなかなか難しい。手にとって見られるといいんだけどなぁ。

 ヨーロッパでちょっと意外な感じがしたのは、食品について、フランスでは何もかも手にとって指でぐいぐい押して確かめてから買えるのだが、イタリアでは店によってはカウンターの後ろに野菜が陳列してあって目で見て商品を決めて購入。買うまで商品は触れないことがある。フランスとイタリア、逆のような気もするのだがそうなっている。

 乾物屋ではポルチーニを乾燥させた物が友人の興味をひいていた。カルフールで買うよりも安いとわかったのは後のことで「買っておけばよかったなぁ」と悔しがっていた。ポルチーニはイタリアでマツタケ的地位を占める高級きのこ。スライスして乾燥させた物は年中手に入り、リゾットやパスタに使うととてもいい味が出るのだ。ここでポルチーニ病に取り付かれた友人に私はポルチーニリゾットをリクエストして、後で作ってもらうことになった。

 赤レンガ色のドゥオーモの裏手からコムーネ広場に回りこんで町のシンボルであるトラッツォ(塔)、その隣に大理石の立派なドゥオーモの正面、その隣に八角形の礼拝堂。向かいには13世紀初頭に建てられたコムーネ宮。この一角に来ただけでクレモナの観光の半分は終了ってことになる。

 ひとまずマーケットを堪能しつつ、これらの建物を楽しんだ後、コムーネ宮の広場に面した側にある観光案内所で情報収集。町の地図を入手してストラディヴァリ博物館やコムーネ宮内見学の時間の確認などを行った。イタリアはシエスタがあるので開館時間の確認と観光スケジュールを立てるのがかなり大切なことなのだ。と勢い込んだのだが、どちらもシエスタなしで開館しているという。これでかなり自由な気分になって観光の後半スタートだ。因みに市立博物館とストラディヴァリアーノ博物館とコムーネ宮の共通入場チケットは観光案内所の裏手の本屋で販売されていて、10ユーロで購入した。市立博物館にはあまり興味がなかったのだがストラディヴァリアーノ博物館単独のチケットというのはないらしい。

 ガイドブックには市立博物館とストラディヴァリアーノ博物館の入り口が異なると書かれていたのだが、今は一緒になっているようで市立博物館を全部見終わった奥にストラディヴァリアーノ博物館を見学する順路になっていた。この市立博物館ってのがボリュームが多い。ヴァイオリンはまだかなぁ、まだかなぁと思いながら見ているものだがら余計に作品数が多く感じられるのだった。置いてあるのは15世紀から18世紀のクレモナ派の絵画だそうで、よぉーく絵画の事前お勉強をしていないと厳しいものがあった。

 そしてやっとお目当てのストラディヴァリアーノ博物館に到達。初めの部屋ではヴァイオリンの作り方を各部品ごとに説明してあった。ヴァイオリン、ヴァイオリンといっても私なんか詳しく構造を考えたこともなく、こんなにたくさんの細かい部品から成り立っていることやあらゆる部分に使われている曲線が、あるものは削ることによって、あるものは引っ張ることによって形作られるなんて本当に驚きだった。

 同行の友人たちに聞いたら、プロのヴァイオリニストが使うヴァイオリンは17世紀、日本でいったら江戸時代に作られたものだったりして、お値段も200万円とかそれ以上するんだそうだ。そんな高価なものが家にあったら大変だねぇと言うと、友人の一人は「家の鍵、ちゃんと閉めてきたかなぁ。ヴァイオリンの置き場はベッドの下にすればよかったかなぁ」と急に不安になり始めていた。いやー、余計な事言っちゃったなぁ。すまん。すまん。

 もう一つの部屋は仕上がったヴァイオリンの展示室だった。私たち素人ではどこがどのようにいいのか、ヴァイオリンを見せられてもよくわからないのだが、こんなにたくさんのストラディヴァリを見られるというのはめったにない事なんだろうなぁ。音色については2006年の夏、オーストリアのザルツブルグでモーツァルトテウムというモーツァルトの奥さんが作ったオーケストラのコンサートを聴きにいった時に、ヴァイオリン協奏曲でソリストの音が素人耳にもあまりに素晴らしいので後でインターネットで検索したら、彼女の引いているヴァイオリンがストラディヴァリだったということがあった。因みにこのヴァイオリンの所有者は日本財団の下部組織である日本音楽財団で、世界中の若手有能音楽家に貸し出しているものの一つだった。

 どこかで音色が聴けないものだろうかと思っていて、1つ目の部屋に戻るとテレビがおいてあって、その前に椅子が並んだ場所があった。テレビの下に「ビデオをご覧になりたい方は係員まで」という注意書きがあり、近くにいた係員にお願いするとビデオを流してくれた。それはコムーネ宮に毎日ヴァイオリンの調整に訪れる男の姿と調整して音出しする場面から始まってヴァイオリンの歴史をドキュメンタリー風にまとめたビデオだった。ここでビデオの中だが音を聴くことができたのは良かったと思う。ビデオはお願いしないと流さないし、英語他各国語あるので(日本語はなかった)言語を指定して流してもらうといい。

 見学を終えたら、ジェラードターーーイム!2スクープで1.5ユーロ。ミラノでは2ユーロが標準だったけど、ミラノを離れると1.5ユーロばかりになってきた。

 メロンと洋ナシの組み合わせにしてみたが、どちらもジューシーでフルーツの味そのものなのは他と変わりなし。今の所、洋ナシ、モモが私の好みだなぁ。


 お次のコムーネ宮は先ほどのコムーネ広場にあるので、再びドゥオーモ前に戻る。午後になってからはドゥオーモ側に日が当たって大理石の真っ白なファサードと隣の塔のレンガ色が美しかった。

 コムーネ宮の見学はいきなり階段を上がって2階に行くようになっていた。係員にチケットを手渡すと係員はおごそかに一つの部屋の鍵を開けた。写真撮影は禁止。この部屋がヴァイオリン展示室といわれている部屋で、ストラディヴァリのみならず、アマティ、グァルネリなどクレモナで作られたヴァイオリンたちが展示されていた。入り口でもらったパンフレットには各器がここに至るまでの経緯が書かれていて、誰によって使われていたのか、どうやってここに来たのかなどが説明されていて読みながらヴァイオリンを見るのは楽しかった。あるものはクレモナ市が買い取り、あるものは遺言で寄贈されたりしている。友人たちはそれこそショーケースに張り付いて食い入るように見つめて、「あの部分のカーブの具合がどうの、本体の木の色合いがどうの」と話していた。ヴァイオリンは一つ一つ微妙に大きさが異なるので、同じ音程でも押さえる場所が異なってくる。管楽器のように首の部分の抜き差しで全部の音が調整できるわけではないので、楽器を変えると正しい音程を1から把握し直さなくてはならないのだそうだ。作るのも大変だが、弾き手にも高い技術が要求される楽器なんだなぁ。あまりにじっくりと見ていたら、どうやら次のグループが来てしまったようで係員に「もういいですね、いいですね」と退出を促されてしまった。コムーネ宮は他にも見所があったのかもしれないのだが、私たちはもうお腹一杯。で、これにてクレモナ観光を終了として帰途についたのだった。


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