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2008.08.25
マッジョーレ湖一日観光
先日のコモ湖に引き続いて湖水地方のマッジョーレ湖を訪れた。
コモ湖は人という文字型の湖だったがマッジョーレ湖は数字の「1」の字のように南北に細長い湖。その南側から3分の1くらいの場所にあるストレーザという町から目の前に浮かぶ3つの島、ボッロメオ諸島へフェリーで出かけるのが一般的な観光らしい。ボッロメオ諸島の3つの島のうち2つには宮殿や庭園がある。私たちはストレーザに車を停めてベッラ島のロメオ宮殿を訪ねることにした。
ストレーザへの道は2通りあって、湖の一番南あたりで高速を降りて湖沿いに走って行く方法と、もっとストレーザに近い場所で高速を降りて湖に向かってストレーザに近づく方法だ。地図上で見落としがちな事の一つに高低差がある。この時もできるだけ高速で近づいた方が早く到着できると思えたので後者の方法で行ったのだが、高速を降りてから湖まではとても急な下り坂。ストレーザに近づくに従って道も細く曲がりくねってとても走りにくかった。
でもいい事も2つある。高みから徐々に湖に向かうので景色が楽しいこと。赤い屋根の家々の向こうに湖が見え、やがて島に浮かぶボッロメオ諸島も高い場所から見ることができる。これがいい事の1つめ。そして、こちら側からストレーザに向かって町まで降りて右手にあるスーパーの裏手の駐車場は無料だったこと。これがいい事の2つめ。湖沿いの道からやってくると湖沿いの有料駐車場が最初に目に入るのでそこに駐車せざるを得ない。無料の駐車場に来るには駅まで走ってから左折して町の裏側に回りこまなくてはならないから、初めて来る人には見つけにくいだろう。
スーパーの裏手の駐車場は無料だけに常に満杯。だが買い物を済ませた人を素早く見つけられればスペースを確保できる。
無事に駐車場に場所を確保してから、駐車場脇のパン屋で昼食用のパンを購入し、いざストレーザの町に潜入。
ストレーザの町は先日訪れたコモに比べるとずっと規模が小さいようで、中心地と思われる広場にレストランが固まってあり、そこを抜けると湖沿いの大通りに出る。広い有料駐車場の右端に公共のフェリー(ベッラ島まで片道2.5ユーロ)の乗り場があるのだが、そこに至るまでにボートタクシーのブースがいくつか並んでいる。客引きが来てすぐに出る船があってベッラ島まで一人往復10ユーロだという。
さっきパンは買ったもののレストランでの食事を見ていたらストレーザでお昼ご飯を食べたくなった私は、午後1時までにここに戻って来ないとシエスタでレストランが閉まってしまうと考えた。現在午後11時近く。公共フェリーの倍額だが、ここは一つボートタクシーを使って行くことにしようとチケットを購入した。
ボートは最初にペスカトーリ島に立ち寄り、私たち以外の客を全員下ろしてからベッラ島に向かった。ペスカトーリ島はそもそも漁師の住む島だったらしく宮殿はないのだが、他2島の観光が盛んになるのに従って土産物屋やレストランが増えて、ここも観光ルートの1つになっているそうだ。私たちはベッラ島だけ訪れるのでここはパス。
ペスカトーリ島を経由してもベッラ島到着は11時5分。ストレーザから10分で到着してしまった。近い。ボートは毎時00分に迎えにくるので気の済むまでベッラ島にいて好きな時間に乗って帰ればいいと言われた。
ベッラ島には宮殿の他にレストランや土産物屋もある。小さな島なのですぐに急な階段で上に上がる斜面に沿ってこうした店が並んでいるのが面白い町の風景を作り出している。といっても基本的に宮殿のための島なので店の数は全部で20軒にも満たないように思われた。
宮殿の入り口で入場券を買って(一人11ユーロ)宮殿の内部見学。
宮殿内部は絵画や調度品が所狭しと並べられた部屋が続いたり、凝った欄干の向こうにペスカトーリ島が見えたりしながら進む。一部には更に追加料金を支払って見るキンキラキンのゴージャスな部屋があるのだが、私たちとドイツ人家族は「さっき11ユーロも支払ったのにねぇ」と肩をすくめてここは素通りすることにした。こういう時はドイツ人と話が合う私たちだ。
このキンキラキンの部屋は後に通路からちょっと垣間見えてしまったりする。おお、追加料金の場所は素晴らしいと写真を撮影していたら、ちゃんとお金を支払って内部で見ている人が係員に「ここは写真撮影禁止です」と言っているのが聞こえてコソーッとその場を離れたのだった。調度品の中で私が気に入ったのは細密な花の絵が描かれたテーブル。モザイク調で描かれているのでもしかして石のはめ込みかと驚いたのだが、そうではなくてはめ込み風に描いているのだった。まぁ、ここら辺がメディチ家とかなるとはめ込ませるんだろうなぁ、権力で。
宮殿の地下にはゴツゴツした岩でできた洞窟(グロッテgrotte)風の部屋があってちょっと変わっている。こういう洞窟風の装飾はここで始めて見たので「何じゃこりゃ?」とかなり不思議に思ったのだが、この後にミュンヘンの宮殿でも目にして、流行だったのだと知った。壁に気持ちの悪い妖怪風の顔を描いたり彫刻を付けるグロテスクも流行したヨーロッパでは、時々妙な趣味が流行るようだ。
宮殿の見学が終わるとお次は庭園。まず緑の芝生に大きな石のオブジェ、そして白い孔雀がお出迎え。これで白いタイツを履いた王子様が出てきたら完璧ってくらい宮殿チックな始まりの庭園だ。芝生の向こうには先ほど宮殿内の地下室で見た洞窟風のテイストの続きだろうか、ゴツゴツした岩と貝殻など海モチーフの装飾に彫刻がたくさん立ってうおーっと迫ってくる迫力の壁が三角形に立っている。細部を見ながら階段を上りながら上に到達すると、眼下にとても美しく刈り込んで整備された庭が広がっていた。芸術的にウネリをつけた緑の木が4つに区切られた中にビシッと納まっている。こういうの、イタリア人は大好きなようで「ケ・ベッロ、ケ・ベッロ(何て美しい)」と声に出して言うおばあちゃまが多数。確かにとても美しい庭園だ。
先日訪れたコモ湖のカルロッタの庭と比べると、こちらは規模が小さいけれども細部にまで神経が行き届いて全体的に統一感があり、断然こちらが気に入った。
ストレーザを午前11時に出て、帰りのボートは午後1時になった。宮殿と庭園が案外見ごたえがあって2時間も滞在することになった。ストレーザに戻って、朝目を付けていたオステリアに向かった。ぶどう棚が気持ちの良い木陰を作っている店で、いかにも観光客が集まる広場から一本内陸に入った静かな通りにある。広場の店はハンバーガーとか出しちゃっていて、たとえピザを出しているにしても興ざめだったのだ。この店はロンリープラネットに紹介されていたので、値段はまぁまぁ安くて雰囲気が良いのはわかるが、味はどうなのかちょっと心配だった。
しかし、他のお客さんの食べているのを見て大丈夫だろうと判断して入った。いやー、旨いです。ボロネーゼとマルゲリータというパスタとピザの基本的な2品を食べたけど、パスタは生麺、ピザももっちもちの生地で誠においしかった。どうして他の国でこのピザ生地が再現できないんだろうか。フランスでバゲットを食べても思うことだ。ピザとパスタと水で17ユーロ。私たちにしては豪遊だ。(詳しくはこちら→)
昼食後はストレーザの町を散策。湖に沿って細長く伸びる街だが、本当に小さい。土産物屋をのぞいたりして湖沿いの公園で休憩して帰途についた。
ストレーザから少し北に行った場所から沿岸の山に上るケーブルカーがあり天気が良ければアルプスも見えるとロンリープラネットに説明があったのだが、少し薄日が差すとはいえ雲の多い今日では楽しめないと断念した。9月近くなるとこの辺りは雲が多くなるようで、湖水地方はやはりもっと夏に来ないとね。
帰りは湖に沿って南端まで行って、そこから高速に乗った。湖沿いのドライブは運転が難しい所もなく快適。もっと天気が良くて時間があれば途中のカフェで休憩してもいいかもしれないと思った。
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