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2008.08.23
ミラノ散策〜「最後の晩餐」、地下鉄Cadorna駅、スフォルツァ城、ブレラ絵画館
イタリア:ミラノ

 今日はレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とブレラ絵画館を訪れた。両方をつなぐ道のりはゆっくりと散策しながら途中でピザも食べてミラノ観光的な一日だった。

 「最後の晩餐」は12年前になるだろうか、冬のミラノを訪れた時に一度見ているが、まだ修復中だったこの有名な壁画は薄暗い教会脇の食堂で色も薄く壁を飾るものだった。当時は入場に際して人数制限はあるものの事前の予約は必要なく、1組くらい待ったらすぐに入れたのだった。ところが修復後にリニューアルされた「最後の晩餐」を見るのはなかなか大変なことになっている。まずインターネットか電話で事前の予約が必要なのだそうだ。キャンプ場から電話してみると、オペレーターは電話の向こうで端末をかちゃかちゃといじって「1週間後に4名の空きがあります。3日後ですと3名しか空いていません」という。どうしようかと迷っていると「あ、今3日後に空きがでました。それではクレジットカード番号をどうぞ」という。電話でキャンセルもできるので状況は刻一刻とかわっているらしい。ところが公衆電話から電話していた私はクレジットカードを持ってきていない。すぐに折り返し電話するからこの予約だけ保留してもらえないかと聞いたのだが、クレジットカードがないと話が先に進まないと言われ、一旦受話器を置いてクレジットカードを取りに戻ったのだった。

 クレジットカードを手に再度電話。別のオペレーターが出て「3日後には空きがありません」という。さっき出たキャンセルはもう他の人に取られてしまったのか。「10分前には予約が取れたんですけど、おかしいですねぇ」と、今回はもう駄目かと思いながらも粘って説明していると、再び「あ、大丈夫になりました」という。そんなに激しく予約とキャンセルが入っているのだろうか。今度はクレジットカードも持っているし、さっさと4人分を予約。もらった予約番号を控えて準備終了。同行している友人の話によると、日本からお兄さんがミラノに遊びに来て予約を取ろうとしたが空きがなくて見られなかったという話を聞くと、今回は本当にラッキーだったのかもしれない。

 さて、そんな事前の準備があって9時15分からのツアーに参加すべく教会に向かった。8時55分には教会脇の受付窓口に来てくれと言われていたので、8時40分に到着。予約番号と名前を告げると入場券を渡してくれた。入場料金6.5ユーロと予約料金1.5ユーロは既にカードで引き落とされているという。その左側では日本語もあるオーディオガイド(一人2.5ユーロ)の受付もしていて、友人二人はそれぞれガイドを借りていた。



 待合室は今回の修復の主導者なのだろうかオリベッティーという会社の修復の歴史と技術についてのパネル説明が壁に貼ってある。ここのベンチに座ってツアー開始を待っていると、続々と私たちの前のツアーが入っていく。朝も早くからこの名画を見るために世界中から人が詰めかけているんだと思うと、絵を見る前からレオナルド・ダ・ヴィンチのすごさが感じられた。


 ここから先はもちろん撮影禁止。以前はなかったガラス張りの扉はツアーメンバーが入るとスーッと閉まってこれ以上の人を入れないようになっている。廊下を歩いて教会脇の絵画のある食堂へ入る。以前はこの食堂への入り口から入ってすぐに壁画を見るという感じになっていたのに、リニューアル後はディズニーランド並みにご大層なことになっていた。

 食堂に入ると右手に「最後の晩餐」、左手には別の画家の絵画が見られる。以前と違って色もはっきりとして、かといって真新しい絵のようにはっきりとし過ぎていないので時代も感じられる。なるほど、優秀な修復というのはこういう物なのねぇとそんな所にも感心した。色がはっきりしているので細部もよく見える。キリストを裏切ったユダ、女性的に描かれているヨハネ、その前に置かれている誰の手かわからない包丁を握った手。ヨハネとキリストの人物が作るVの字の謎。この絵画には色々と謎も含まれているという話も聞いていて、生で見ているとそういう聞いた話が思い出されて面白い。ダ・ヴィンチの絵と向かいの絵画を比べると彼の天才ぶりがよくわかる。人々の表情、構図が向かいの絵と比べると更に素晴らしさが引き立って見えるのだった。見学時間は20分くらいに限られていて、皆ひたすらこの一枚の絵画を見続けることになる。時間になると「はい、出てくださーい」と言われて土産物屋に続く別の扉から出ることになっている。

 土産物屋で物色する友人を置いて、私たちは教会内部も見学しておくことにした。こちらは入場無料、予約なし。

 外では日本人の団体観光客に対して日本人ガイドがダ・ヴィンチの絵画に対するレクチャーを行っている。最近は観光客にイヤホンが渡されてガイドはインカムで小さな声で話すので、部外者に声は届かないようになってしまった。昔はこういう解説も聞けて良かったのになぁ。ガイドはA2判くらいの大きなフリップをめくりながら説明。お盆の時期のミラノへのガイド付き観光なんて年間で一番高いんじゃないだろうか。高級ツアーの日本人は洋服もピカピカでまぶしいねぇ。

 さて教会を出て大通りのボッカッチオ通りまで出たら右折して歩いて行く。この道沿いの右手にミラノ在住の日本人から教えてもらっていた最近人気のジェラード屋があるのも今日の目的の一つだった。というか真実に楽しみなのはこっちだったりして、あはは。ショコラChocolatという名前のジェラード屋は先日訪れたGROMの大人な辛口スタイリッシュに対して、可愛いデザインのお店だった。

 正確にはジェラード屋ではなくチョコレート屋さん。店内にはちょっとしたカフェコーナーもあり、ここで飲み物を注文するとカウンターに置いてあるチョコレートを食べてもいいってことになっているらしい。朝10時15分の店内には近所のおばあちゃま3人組がペットのわんちゃんと一緒に朝のお茶を楽しんでいた。私たちはここでお勧めのチョコレートジェラートを食べたかったのだが、早すぎた。フルーツ系のジェラートしか出ていなくてチョコレート系は11時を過ぎないと出揃わないのだそうだ。とりあえず友人はフルーツ系ジェラート、私たちはホワイトチョコのジェラードにした。友人のを試食させてもらったが、チョコレートが得意とはえフルーツ系もものすごくおいしい。果物の味そのままだ。この後二人の友人はここに数回通ってマグカップも買ったらしい。

 ジェラードの味も盛もいいし、店内も牛をトレードマークにした統一された可愛いデザインで人気が出るのがうなずける店だった。

 ここからボッカチオ通りを更に進むとCadorna駅に当たる。左手にはミラノ北(ノルド)駅がある場所だ。中央駅の荘厳で偉大な建物に比べると北駅は現代アートを配したポップな駅だった。更に道なりに進むとスフォルツァ城にぶつかる。今は博物館となっているこの建物は15世紀に城兼要塞として建てられたガイドブックにあるように、宮殿という華やかさよりも要塞という堅牢さの目立つ建物だった。


 晴天に恵まれた今日は博物館を訪れる団体観光客以外にも散歩を楽しむ人も多い。城の前の広大な敷地にセンピオーネ公園があるからだろう。要塞前で地下の通機構から上に向かって風が噴出している所があり、そこでマリリンモンロー的写真を撮ろうとしているアホアホ白人カップル発見。フワーッとスカートが持ち上がることを期待していたのだが、案外風が強くて大衆の面前でパンツ丸見えになってゲラゲラと笑っていた。見えてもいいんかい!


ピザ、ビスマルクは卵とハムのピザ。とても大きくて女性なら2人で
1枚でもいいかもしれない。12ユーロくらいだったかと思う。
 スフォルツァ城から右手に大きく折れてドゥオーモ界隈に戻ってきて昼食。パンツェロッティーで有名なルイーニが夏休みで休業のため隣のピッツェリアに入ることにした。ピッツェリアという気軽な名称の割りにはリストランテ並みの給仕。ピザとパスタを注文したのだが、ここはパスタは今一つだった。イタリアでパスタが今一つなんてあり得るのかと仰天したのだが、ピッツェリアでパスタを注文したのがいけなかったのかもしれない。ここはピザを頼むべき店だった。


 午後からは友人たちとは別行動。私たちはブレラ絵画館へと向かった。絵画館前のブレラ通りは学生が集まる気軽な場所で夏休みなので閉まっている店もいくつかあったが感じの良いレストランが何軒か店を開けていた。ドゥオーモ界隈の気取った店よりもこっちで昼食を摂った方が値段は同じくらいでも寛げてよかったかもしれない。

 ここの絵画館では15世紀から18世紀のイタリア絵画を中心に作品を展示している。私たちが一般的な美術館でよく素通りする年代(あんまり興味ない年代)なので、来るかどうかはやや迷ったのだが、見てみることにした。

 マンテーニャ、ジョヴァンニ・ベッリーニ、ティントレット、ラファエッロなど作品数は入場料5ユーロにしてはおびただしい限りで、今朝のダ・ヴィンチの絵一枚見るのに8ユーロ支払ったのに比べたらお徳間あふれる美術館だ。

 今まで苦手、苦手とあまりよく見たことのない時代の作品ばかりが並んでいる。ガイドブックを頼りに有名な作品を中心に見ていくと、確かに有名とそんなに有名ではない作品の間に技術的な隔たりがあることがわかる。なるほど、有名な絵画は色使い、人々の表情などが秀逸で、そうでない作品は人間の顔や身体のバランスがおかしかったり、表情が乏しかったりする。自分なりにこの時代の作品に強制的に触れることで、少しずつ親しみが沸いてくるのだった。でもやっぱり、現代アートの方が素直に面白いと思えるなぁ。音楽は15世紀から18世紀の方が面白くて現代音楽は理解不能なのに美術はその逆になる。どーゆーことだかわからないが、そういう風になっている。

 苦手な絵画をびっしりと2時間。よく頑張りました。ぐったりと疲れました。

 ということで本日のミラノは終了。スーパーに立ち寄って夕飯の買い物をして地下鉄とバスを乗り継いでキャンプ場まで戻ったのだった。


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