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2011.06.21 Vol.1
WWOOFerになってみよう!〜 Transition Townのお手伝い
フランス:モンティニー・シュル・アルマソン

 昨日と今日の2日間はアンドレ氏の知り合いの家に行ってお手伝いをするという出張作業が舞い込んできた。場所は車で20分ほど離れたスミュール・アン・オーゾワの町はずれのお宅だ。

 初日の昨日は、今アンドレ氏の所にいる6人全員が手伝いに行くことになり、ついては私たちも車を出すことになった。万が一アンドレ氏の車を見失った場合を想定して、行き先のお宅を地図に書き込む作業から開始。

 道中でスーツケースをひきずりながら親指を立ててヒッチハイクしながら歩く青年がいた。少し通り過ぎてから、「ええ?今のダン(ダニエル)じゃない?」と皆で気付いて私たちの車だけ引き返したのだった。

 ダンはこの週末にディジョンn町に遊びに行っていて、今朝一番のバスで帰ってくるのでアンドレ氏にバス停まで迎えに来て欲しいと連絡していた。ところが、アンドレ氏がバス停で待っていたバスにダンは乗っていない。時間もなくなってしまったので、ダンを置いて皆でお手伝いをするために家を出てきてしまっていたのだった。

 ダンいわく、乗っていたバスが予想していたルートを通らなくてスミュール・アン・オーゾワに停車したのでそこから歩いて来たというのだ。私達が彼を拾ったのが町から4kmくらいの地点。1時間くらいも歩いていたことになる。ダンもすぐにアンドレ氏に連絡すればよかったのに、彼が持っている携帯電話がアメリカ経由での通話になるのでバカ高い料金になってしまうのが嫌で、それなら歩いちゃえとヒッチハイクしながら歩き始めたのだそうだ。ダンは現在、アメリカの大学生。自分も大学生の頃は電車代金とかケチって歩いたりした割には、飲み会でザラーッとお金を使っちゃったりして、優先順位がめちゃくちゃだったなぁなんて思い出したりしておかしくなってしまった。

 朝から疲れてぐったりのダンに誰も同情もよせず笑い飛ばしながらスミュール・アン・オーゾワに到着。先に行ってしまったアンドレ氏は「どうしたの?」と近寄ってきて、ダンの姿を見つけて「ややや、どうしたんだ」とビックリ。私たちは、ダンのヒッチハイクを拾った話をしてアンドレ氏ともう一度大笑いになったのだった。ダンもこの頃には苦笑いし始めていた。

 ここで今日の作業するお宅の御主人ムリエール夫妻と対面。お二人とも教員をされているという夫妻はパリからここに引っ越してきたという人たちだった。今回、私達が呼ばれたのは、この家を会場にして行われるTransition Townというミィーティングの準備のためだった。「Transition Town」とは2005年くらいからイギリスで始まった循環社会を作ろうという運動だそうで、草の根的にタウンミーティングベースで世界中に広まっているそうだ。明日からのミィーティング開始に先立って、椅子やテーブルを掃除したり、食事用のオーガニック野菜を下準備するのが仕事だそうだ。

ムリエールさんの家はとても広かった。

庭にはえているベリー類の収穫。

こんな量、すぐに集まってしまう。

プチポワ(グリーンピース)のさやむき。

グロゼイエの枝取り

ちょっとした土木作業をムリエール氏の指導のもとで。

 2日目は私たち夫婦だけが手伝いに呼ばれて、色々と食事の準備をする事になった。これはアンドレ氏の私に対する配慮があったと思う。私がアンドレ氏の所をWWOOFerとして訪れるにあたって「フランスの食文化に興味がある」と書いていたのに、アンドレ氏自身は全く料理をしない事を彼は最初からとてもすまながっていたのだった。そこで、今回の機会に乗じて少しでもフランスの食文化に触れる事になればいいと、ムリエールさんに話を持ちこんでくれたらしかった。

 今日からはミィーティング開始とあって、私達が訪れた時には既に大勢の参加者が集まり始めていた。テーブルに出されていたのはヘーゼルナッツ(ノワゼット)とクルミ。ノワゼットはヌテラの原料になっているナッツでフランスでも家庭の庭でよく採れるようだ。
 

 このナッツ類とコーヒーで軽くおしゃべりして、ミィーティング前にみんなで顔見世してもらおうというのが意図らしい。私たちは本来、裏方なのだが一緒になってコーヒーなどすすりながら交流を図らせてもらった。まぁ、こういう時は年をとっていると図々しくなれるのが年の功というやつだろうか。

 ここで一人、やけに日本語が流暢な男性と知り合いになった。聞けば日本人の女性と結婚して日本に15年も住んでいたというのだ。この後、この男性のお言葉に甘えてお宅に遊びにいかせてもらって、奥さまやお嬢さんともお友達になることができた。いやー、アンドレ氏のお陰で面白い人と知り合う事ができたのだった。

 さて、今日のお仕事はまずお昼ご飯用の野菜の煮物調理。昨日、私達がここでお昼に出されたものだ。人参、じゃがいも、玉ねぎ、セロリ、グリーンピースなど庭で採れた野菜を洗って、皮をむいて、適当に切って、次々に鍋にぶちこんで塩で煮るだけ。ブイヨンも肉類も入らない。だからビール酵母フレークをアクセントに使っているのかもしれないけれど、あのフレークをかけると野菜のうまみがぐっと引き立つから不思議だ。

 サラダには庭から採ってきたユリの花を添えた。この花はエディブルフラワー、つまり食べられる花の1つだそうだ。食べてみると、ピリッとコショウのような刺激と少しの苦味とナッツのようなコクが感じられて、とても面白いアクセントになる味をしている。ふーん、これは勉強になった。




 ランチもミィーティング参加者に混じって食べさてもらった。ゴミが出ないように循環社会を作るというミィーティングに参加している人たちだけあって、環境問題に関心の高い人が多かった。

 今回私達が体験したAMAPという小農家の生産物を直接、消費者が買えるようにしている組織について話したところ、この考え方の基礎となったのは日本が作った組織だということを教えてくれたのも、このミィーティング参加者の一人だった。

 午後からは夕飯用のイラクサのクレープ作りをお手伝い。イラクサは昨日のうちに庭から若芽の柔らかい部分だけを摘んできて陰干ししてあった。

 フードプロセッサーにミルク、小麦粉、イラクサを入れて生地をつくって数時間休ませ、フライパンに薄くひいて焼く。焼いている間に帰る時間となり試食できなかったのがとても残念だった。

 ということで、アンドレ氏が予想した通り「食」についての収穫があり、またタウンミーティングに参加している人々とも知り合えて非常に有意義な出張お手伝いだった。環境問題に関心を持って集まっているフランス人となんて、なかなか話ができるものではない。やっぱりウーファーならではのディープな体験といえる。


 
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