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2011.06.17
WWOOFerになってみよう!〜 一応もがいて腹をくくる
フランス:モンティニー・シュル・アルマソン

 到着して5日目を迎えようとしていた。初日に「この家で大丈夫かなぁ?」と思った気持はだんだんと「やっぱり家を変えよう!」という気持ちに成長していっていた。

 まず、シャワーが満足に浴びられない、家の中が掃除されていないという清潔さの欠如が始まりで、ちゃんとした仕事がない、フランスの食文化を学べるチャンスがない、インターネットがないなど、1つ不満に感じると次々と不満な点が出てきてしまうのだった。

 インターネットはアンドレ氏の友人で近所に住んでいる彫刻家の女性の所に頼んで貸してもらう状態だったので、そこからすぐに受け入れてくれるWWOOF農家を探してメールを出したり、カウチサーフィンで宿泊させてくれる先を探すためにネットで依頼を出したりしてみた。

 そうしている間にも、インゲボルグは次の家を見つけて去っていくことになった。インゲボルグは、この家を訪れるのは2度目だった。最初に来た時にはアンドレ氏の自由な発想、そして何にもとらわれないこの家での作業にとても魅力を感じて、今回2度目の訪問を決意したのだが、2度目に来てみると最初に来た時ほど家はファンタスティックに見えず、よくない点ばかりが目についてしまったのだそうだ。

 かと思うと私達の後に来たアメリカ人の青年ダニエルは大学の先輩からここを教えてもらってきたのだそうだ。かなり面白い老人がいるから行ってみるといいと勧められたそうだ。彼のようにあらかじめワイルドで冒険チックな思いを期待してきている人にとっては、ここは思惑通りの場所らしい。しかも、彼の第一目的は大学で勉強しているフランス語の実用練習。アンドレ氏はそういう意味では、今まで滞在した3軒の家のうちでは一番フランス語教育を熱心に行ってくれる。期限にせまられた仕事があるわけではないので、こちらが理解するまでゆっくりとフランス語で何度も仕事内容を説明しようとしてくれるのだ。

 イギリス人の青年も目的はフランス語の勉強だから、邪険に扱われて仕事だけさせられるよりはアンドレ氏の方がよっぽどもいいという意見。

 彼らの意見を聞いていると、自分が意固地な年寄りに思えてもくる。新しい視点でここに居続けるべきか。いや、でもやっぱり出たい。こんな気持ちの葛藤が続く日々だった。

 皆で庭仕事をしたりおしゃべりしたりするのは面白い。

 草取り作業が続く中、アンドレ氏は私達に庭にちょっとした壁を作る作業を行うのはどうだい?と提案してきた。

 彼流の言い方では、壁も芸術品を作る作業の一部なのだ。緩やかにカーブを描く壁。このカーブを描いているというのが、緩やかに向きを変えて生きていく事に通じる。カーブというのは大切だという思いを込めて、見た目も美しく作っていただきたいと説明された。
 こうして壁づくりの作業も来週から始まる事が予定されている。だんだん、抜き差しならない状況にはなってきていることは確かだった。

 こういう作業をする中でも、毎日のようにネットチェックをさせてもらっていたのだが、立て続けに出したほぼ全てのリクエストが「残念ながら・・・」という回答に終わった。あまりに急なスケジュールであることと、2週間を切っている短い期間であること、また6月に入って世界的に大学生の休暇となり、既に人員が確保し終えていることなどが理由だった。

 こうして一応やるだけの手はつくしたという満足感もあり、私たちは5日目にしてようやくここで残りの日々を過すという決意をしたのだった。

 不思議な物で、ここから抜け出たいと思っていた時には非常に嫌だと思っていたことも、腹をくくってみればたいした問題ではないように思えてきた。そう、壁のように緩やかにカーブを描きながら、今楽しめる事を楽しむに限るのだ。腹をくくった途端、からくもアンドレ氏の名言が思い出されたのには苦笑した。


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