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2011.06.09
ワイナリーツアー選びとディジョンの町
2軒目のウーファーも終了して、更に北部へと移動。いよいよ、ワイン文化華やかなりしブルゴーニュにやってきた。次のウーフ農家までの短い休憩滞在場所に選んだのは、ディジョン郊外のキャンプ場。ディジョンはかつてブルゴーニュ公国の首都として栄え、現在ではブルゴーニュワインを知るためのワイナリーツアー出発地として、またはディジョンマスタードの発祥地として観光客でにぎわう町となっている。
ディジョンを拠点に、ディジョンの町見学、それからワイン文化に包まれる小さな町ボーヌ見学、そしてワイナリーツアーができる。いやー、たった5日しか休憩日を取っていなかったから、大変に忙しい日々となった。
ってなわけで、ディジョンのキャンプ場に到着した昨日から明けて翌日の今日は、とりあえずディジョンの観光案内所に行ってワイナリーツアーにどんな物があるのかの調査と町見学をすることにした。
ここのキャンプ場は郊外といっても30分も歩いたらディジョンの街中に到着できるという場所にある。町からキャンプ場を通りすぎた場所にキールという湖があり(そういえばカクテルのキールと同じ綴りだった)、街の外れからおそらく湖まで続く運河沿いは住民の素敵な散歩道になっているようだ。
この道をポツポツと歩いて、途中から駅の方に曲がるともう街中に行けるということになる。こういう住民しか知らないような、観光地ほどきらびやかではないのでガイドブックに紹介されないがそこそこ素敵な場所に出会えるというのは、キャンプ場生活ならではの面白さだ。
国鉄駅の中を抜けて、町に面した駅出口を出て右手にド派手な黄色で飾られたツーリスト・インフォメーションが見える。この辺り一帯から街中に向かってトラムを作る工事中で道路はひっくり返したようになっていたが、駅建物はリニューアルが済んだばかりのようで洒落たカフェやブーランジェリーが入っていて、列車を待つ人がコーヒーを飲んでいた。
この時に目にした観光客は、とても「こぎれい」だった。パリッとしたシャツとパンツを来た紳士や素敵なワンピースなぞをお召しになっているご婦人。出発とあって大きな荷物を脇に置いているが、ワインボトルを持っている人も多い。そうなのだ。ブルゴーニュといったら(英語でバーガンディーと言われる)高級なワインの産地の代名詞とも言える場所。かの「ロマネ・コンティー」(オークションで1本50万円とか値がつくやつ)やらナポレオンの愛した「シャンベルタン」はブルゴーニュワインだった。アメリカ文学の日本語翻訳物などで「バーガンディー」という言葉が出てくると洒落た場面やら会話運びになるというイメージがあるものだから、尚更そういう色眼鏡で見ているのかもしれないが、初めてやってきたディジョンの町は「観光客がすかしているなぁ」というのが第一印象だった。
案内所では期待通りにディジョン発の様々なワイナリーツアーの英語のパンフレットが揃っていた。
ワイナリーツアーを行っている会社は3社ほどあり、各社数種類のツアーを出している。こんな多くのツアーからどれにしたらいいかと悩みそうだったが、私たちは以下の方法で絞り込むことができた。
まず、ツアーは毎日行われているわけではないので、自分が滞在する曜日に行われているツアーだけを選ぶとガクッと候補の数が減る。催行曜日はパンフレットに書かれていない会社もあったので、案内所の人に教えてもらった。
あとは、ボーヌの町見学が含まれているのとワイナリーだけのを分別すると更に候補は半分になる。私たちはボーヌは別途行くので必要なく、できるだけ多くのワイナリーを回り、かつ値段の安いツアーを選びたかったので、ボーヌ行きのツアーをのぞき、チョコレートやチーズの試食が入っているツアーをのぞいていくと、候補はたったの3つくらいになってしまった。
こうして絞りこんだツアーは、観光案内所のデスクで申込んで支払いも同時に行った。当日は待ち合わせ場所にバウチャーを持って行くだけでツアーに参加できるようになっている。さすが観光立国フランス。情報提供からツアーの販売まで全てツーリスト・インフォメーションで事足りるようになっていて、あれよあれよと決まって行く。あれよあれよとお財布からお金も出ていくのだが、あまりにスムーズになっているし、誰も押し売りするわけではないので、ちっとも不愉快にならないうちにフランス国に支払いを行っているというのが凄腕を感じさせる。
駅から東に1kmくらいの範囲に広がる部分がいわゆるディジョン旧市街で、観光のみどころが集まっている場所だった。
ディジョンでは道路に写真のようなフクロウマークのプレートを埋め込んで、観光順路を示している。2.5ユーロでフクロウマークの見所ガイドと順路を示したパンフレットを買えるが、観光案内所に順路がはりだしてあるので手持ちの無料地図に書き込んで、解説は手持ちのガイドブックを読むという方法で回ったら、かなり充実したディジョン散策ができた。フクロウマークの見所については、その場で解説がプレートになっている場所もあった。
フクロウマークの散策路はかなり充実していて忠実に歩いてみたら、かなりクタクタになったが、それなりに収穫があって面白かった。印象的だったのは、木組みの家。南ドイツの物という印象があった木組みの家はディジョン以降、ストラスブールでもノルマンディーでも目にする事になった。お昼ご飯は木組みの商家の2階を使ったレストランで楽しんだ。
他に印象的だったのは市場だ。この近辺の赤かびチーズエポワス、スマントランや白かびチーズのシャウルスの極上品が1000円以内で買えるし、ブレス鶏も生でたくさん売られている。うーん、何と魅力的な食材達だろうか。後日、この市場でブレス鶏を買って丸ごと蒸し焼きにしてみたが、肉汁が素晴らしくおいしくて、この肉汁をご飯に絡めたら卵かけご飯の味になったのには驚いた。
凱旋門のようなギョーム門が立つダルシ広場 |
立派な郵便局の建物 |
見所じゃないけど通りかかった古い家 |
美食の殿堂、市場 |
絵葉書写真になっているスポット |
古い木組みの商家は今は1階が土産物屋、2階がレストラン |
立派な木組みの家だがひしゃげて傾いている。大丈夫か? |
マスタードの老舗マイユ。 |
ディジョン最後の見所は、中心部から西に30分ほど歩いた所にあるシャンモル修道院(現在は病院)の敷地内にある六角形の井戸に掘られたモーゼ(スリューテル作)。ガラス張りの建物の中に入るのは有料だったので、外から見学してみた。
隣が宿泊しているキャンプ場だから、この彫刻を見てすぐに帰れたからよかったものの、この彫刻をわざわざ往復1時間歩いて見に来るという物ではないと思う。ただし、先に記した運河沿いの遊歩道を伝っても来られるので、市内でおいしいワインで食事した後に「ディジョンお散歩」という気軽な気持ちでくるならいいと思う。
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