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2011.05.15
WWOOFerになってみよう!〜ヴィクトワール山へハイキング
フランス:エクス・アン・プロヴァンス

 2度目の週末の日曜日、エクス・アン・プロヴァンス郊外にあるヴィクトワール山にハイキングに行く計画を立てていた。この家のB&Bに長期赴任で宿泊しているアンリと一緒に行こうと思っていたのだが、アンリはあいにく天気がいいので行けなくなった。個人事業主でエンジニアとしてある会社のプロジェクトで仕事をしている彼は、晴天の日に丸1日かけて行いたい実験があるとずっと言っていたのだった。まさか、今日こんなに晴れちゃうとはね。残念、アンリ。

 ってなわけで、相変わらず夫と二人ででかけることになった。

 ヴィクトワール山はエクス・アン・プロヴァンスに住んでいたセザンヌの家からも見える山でよく題材に使われている。以前エクスに来た時にはセザンヌの足跡をたどったのでヴィクトワール山についても耳にし、セザンヌが描いたとされるポイントから山も見てみたが、今回は山そのものに登ってみることにしたのだ。実は、前回も登ってみたかったのだが訪れたのが夏で、夏の間は山火事防止のために山が封鎖されてしまうので登山できなかったのだ。

 ヴィクトワール山は色々な所からスタートできるハイキングコースがいくつもあるが、私たちはアンリお勧めのビモン湖畔Lac du Bimontの駐車場に車を停めて、湖の南側で山頂まで行って戻ってくるというループのコースを歩くことにした。アンリはエンジニアらしくオーナーから借りてくれた地図をもとに、コース説明と道の特徴と難易度などを解説してくれ、とても助かった。ビモン湖はエクス・アン・プロヴァンスから東にのびるD10の道を20kmほど行って右手の細い道を入ったところにある。D10から細い道に入る所には看板も出ているが、そんなに大きな看板ではないので、地図を持っていて確認しながら走っていて正解だった。

 細い道の一番奥に駐車場があるのだが、広大な駐車場(無料)には既に思ったよりも多くの車が停まっていて、やる気まんまんのストックを手に持ち頑丈なトレッキングシューズを履いたお年寄り軍団などが闊歩している。かと思うと子供を背負った若いお父さんとお母さんハイカーもいるし、まさかのハイヒールで「ちょっとダム湖だけ見に来たのよ」とおすまし顔のお洒落さんもいる。各々のペースで楽しめる人気の場所らしかった。駐車場の目の前のダムにかかる橋を渡った向こうからハイキングが始まるが、行く手には既に見覚えのあるユニークな形のヴィクトワール山が見えていた。

 私たちはアンリのお勧め通り、山頂までは湖から遠い道を歩き、山頂まで行ったら尾根伝いに湖を見下ろしながら歩く道を下った。このコースだと山頂間際の1時間くらいが急な登りになり、その後はゆるゆると美しい湖を見ながら帰ることになる。ポイントは2点。行く時に湖を楽しみたいか、帰りに楽しみたいかという点と、急な坂道部分を登りたいか下りたいかという点。アンリの考え同様、私達も急な坂道は登りに使うべきだと思ったので、この順路で歩いた。もちろん尾根伝いに登って同じ道を帰ってくるのも可能だからそういう人もいるが、同じ道を歩くより異なる道を歩く方が山をいろんな角度から見られてよかったと思う。

 山頂までの1時間はアンリの言葉に嘘がなく、軽いハイキングに来たという気分が吹き飛ばされるきつい登りだった。こういうきつい登り坂は、日本だと「山好き」と呼ばれる人だけが訪れるレベルのように思うのだが、ここではお散歩気分の人がたくさんいるのに驚く。みんな大声でおしゃべりしたり笑いあったりしながら登っている横を、ダラダラと汗をかき、ぜいぜいと息をあげながら登る自分がひどく運動不足に思えた。フランス国民って普通にアスリートなのね。

 そうそう、アスリートといえば、こういうお散歩程度のハイキングでも本格的なジョギングスーツに身を包み、背中にしょったスマートなリュックからお水を飲みながら走ったりするスタイリッシュなハイカーが見られるのもフランス、特にショーアップが大好きなエクス・アン・プロヴァンス郊外ならではの光景かもしれない。

 登り切った場所からの光景はこんな感じだ。山頂まではまだ距離があり、ここから右手に登って行けば行けるようだったが、私たちはこれで満足。

 ここからは左手に尾根伝いに下山することにした。

 登り切ったからといって展望台があるわけでもなく、カフェも売店もなく、本当に自然があるのみの場所。手持ちの飲み物や食べ物は必要だけど、こんなに多くの人が訪れる場所とは思えないほど、自然がそのままに残されている所なのだった。

 下りは右手にダム湖を見ながらおりていくコース。登ってくるほどには急な坂道ではないが、ゴツゴツした岩の道なので湖に気を取られて歩いているとつまづきそうになるので、用心、用心。

 と、ここで急に湖から山肌を駆け上がるように強くて冷たい風が吹き始めた。これがプロヴァンス地方特有のミストラルだと、帰ってからオーナーが教えてくれた。ピーター・メイルの「プロヴァンスの12ヵ月」に出てくるミストラル。冬の間だけのものかと思っていたら、こんな時期にも起こるのだそうだ。本当に強い風で、吹き飛ばされるかと思うほどだったし、汗ばむほどに熱かった体も一気に冷めて長そでが必要になった。ヴィクトワール山の登山は薄着から軽く羽織る物まで必要なようだ。

 美しい湖を見ながらの下山は距離が短い事もあり1時間くらいでダム湖まで降りてこられた。

 間近で見る湖はコバルトブルーが心に染みる美しさで、南米パタゴニア地方で見た湖やニュージーランドのトンガリロトレッキングで見た湖を思いだした。どちらも長い時間ハイキングした末に見られる湖なので、こうしたコバルトブルーの湖は苦労しないと見られないという思いがあったのに、ここでは簡単に見る事ができてしまう。うーむ。嬉しいようなちょっと寂しいような・・・。複雑な気分だ。

 ということで午前10時にハイキングを開始し、途中でお弁当を食べたり休憩も入れて戻ってきたのが午後2時。所用4時間のコースだった。ミストラルを余儀なく体験させられたものの、お天気もよくて気持ちのいい週末となった。

 更なる写真はfacebookにて。


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