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2011.05.06 Vol.1
WWOOFerになってみよう!〜WWOOFerって何?
ここ数年、出会う旅人からWWOOFer(ウーファー)体験談を何度か耳にしていた。彼らの話から、ウーファーとは農家に滞在して仕事をする代わりに、食事と滞在場所を農家から提供してもらうというシステムだという事は知っていたが、農業をする事に格別の興味もなかったのでかなり他人事として話を聞いていたものだった。
ところが今年、フランスを旅するにあたって年初にガイドブックを開いてみると、なんだかがっくりきてしまったのだ。つまり、昨年イタリアで圧倒的な建築物、美術、彫刻が夜空にまたたく星のごとく全国に散りばめられているのを見てしまった目には、フランスのガイドブックに掲載されている教会やら彫刻は全く魅力が感じられないのだ。もちろん、歴史的な出来事が起こった場所や、その出来事が後世に与えた影響を考えるとそれらの観光スポットは文明として高い価値がある事は頭じゃ理解してるんだけれど、どうにも目が満足できなかったのだ。
この欲求不満を解消するには、どうしたらいいのだろうかと考えていて、至ったのが「ウーファーをやってみる!」ということだった。なぜか?ガイドブックの中でイタリアを凌ぐ魅力といったら「食文化」だった。各地方ごとに異なる名物料理、ワイン、チーズ。いつものようにキャンプしながら自炊しても十分に楽しめるとは思うが、今年はもっと深くフランス人家庭の中に踏み込んだら、より一層面白くなるんじゃないかと思ったのが、今回ウーファーをやってみようと思ったきっかけだった。
まさか自分がウーファーになるとは思ってもいなかったので、どうやったらなれるのか、何をすべきなのかという事がさっぱりわかっていなかったので、最初から調べていくことになった。
まず、WWOOFとはなんなのだろうか?
WWOOFはWorld Wide Opportunities on Organic Farmsの略称で、有機農業を広めようという目的で、有機農業を行う農家と有機農業に興味のある人を引き合わせる組織のようだ。世界的に展開されているWWOOF団体のホームページを訪れると、各国のWWOOFへのリンクが作られていて、各国ごとに会員になる必要があることがわかった。
早速、フランスのWWOOFのホームページを訪れてみると、フランス語と英語で解説があってかなりわかりやすい。印刷された冊子を自宅に郵送してもらう会員とインターネット上でパスワードを入力すると農家のリストが見られるネット会員の2種類があり、ネット会員の方が安い。しかも私達のように2人で一緒に会員に申し込むと二人で20ユーロだった。因みに一人だと15
ユーロだ。冊子の会員もネットのリストを見られるとも聞いたが確かではない。ネット会員になって度々農家のリストを見て気付いたのだが、農家リストは割と頻繁に変更されている。最新の情報が見られし、会員費用も安いということもあり、私はネット会員になることをお勧めする。
さて、このまま申し込んでいいのか?この会員費用はどのくらいの期間持続するのか?農家に申し込みを行う際には会員ナンバーなどを相手農家に知らせるべきなのか?
こうしたいくつかの疑問があったので、フランスWWOOFのサイトに記載されていたメールアドレスに向けて英語でメールを送ったのだが、まったく返答が得られない。
なんだか不安になってきたので日本のWWOOFサイトに行ってみると、日本WWOOFサイトを通じて他国のWWOOF組織会員になったり、滞在先農家のリサーチを手伝ってくれる有料サービスを行っていた。これは便利。しかし、便利な支援の費用は私にとっては莫大な金額に思えたので、「ええい、ままよ」とフランスWWOOFのサイトでクレジットカード番号など必要事項を入力してカード決済して会員になってみた。
会員になって発行されたパスワードを入力して会員のページに入ってみると、いよいよ農家のリストを開く事ができた。フランス全土を細かく行政区別に区切っている地図があり、地図上の行政区をクリックすると農家のリストが見られるようになっているのだった。
ほとんどの農家はフランス語で紹介文を書いている。おお、”ぼんじゅーる”の世界だ!
いよいよ生のフランスとご対面ということになり、物言わぬネットの画面を前にしているにもかかわらず少々焦った。これで本場のフランス人家庭に入り込んだらもっとドキドキするんだろうか。生のフランス人はどんな人々なんだろうか?会員になったのは2010年の12月。実際にWWOOFerを始める5ヵ月も前なのだが、思いついてトントンとここまで進んできてしまって、いきなり目の前に未知のフランス語の世界が広がって見えてきた気がした。
大学生の時に初めてアメリカ人家庭に3週間滞在したのが人生初めてのホームステイというやつだった。あの時のワクワク感を思いだす。あの時は必死にアルバイトして貯めたお金をドーンと語学学校とホームステイにつぎ込んでいたので、ワクワクしながらも「これが失敗に終わってはいけない」と悲壮な決意ともいうべき意気込みがあったのだが、今回は何のお金もかかっていないどころか、滞在無料で食事まで出してもらえるとあって、非常にお気楽にワクワクしていた。まぁ、お仕事をしなければいけないということだが無賃で「滞在と食費のみ出してもらう」レベルの仕事といったらそんなにキツイわけではないだろう。もし、あまりにも仕事が多すぎたら話しあいで減らしてもらうなど、なんらかの処置をとればいいだろうし。この年になると日本で仕事をした経験があるので、どのくらいの仕事が妥当かという見当がつくし、旅の暮らしが長いと自分の主張を躊躇せずに言えるようにもなっている。
一番のネックはフランス語ということになる。これから5ヵ月で到底できるようになるとは思えないが、せめて努力してきたことがわかってもらえるくらいにはなっておこうと勉強を始めることにした。
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