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2008.08.12
エズ地域へ移動とエズ村訪問
コート・ダジュールで数ある鷹ノ巣村の中でもニースとモナコの間に位置するエズ村が一番人気があるんだそうだ。人気のある2都市の中間に位置して行きやすいのがその理由だろうかと漠然と思っていたのだが、今日、エズ方面に移動して村の位置にも理由があると思い当たった。
モナコにはアンティーブから行こうとも考えたが、エズ村の近くにキャンプ場があるのでそこに移動してエズ村とモナコを観光してからイタリアに入ることにして、早速出発。
東に進んでいくので大きくてぎらぎらした夏の太陽に向かって走るようになって眩しい、眩しい。しかし、アンティーブを過ぎると高速道路は山がちになりトンネルも多くなってきた。華やかなニースの横を通過している時も車の多さがニース近くを通っていることを物語るだけで、コート・ダジュールの海さえも見えないでエズまで来てしまった。つまり、それだけ海から急に切り立って平地が少ないということで、エズは急に切り立った山の上に村があり、そこからすぐ急激に下に落ち込んで海が見えるという景色の面白さに人気の理由があるのだろう。
高速道路はラ・デュルビーLa Turbieという小さな村のインターチェンジで降りてから、ニースに引き返すように山の端を走る細くてうねる道路を進むようになる。この道はグランド・コルニッシュと呼ばれる断崖にある道路で、ひょいと曲がった向こうから対向車がやってきたりして運転するには神経を使う場所なのだが景色は素晴らしくいいし、運転の腕に覚えのある人にとってはスリリングでたまらなく楽しい場所だろう。私たちにとってはスリリングで楽しいどころかドキドキの道だったが。
エズ村に下りていく道を過ぎ去って尚もニース方面に進んだ道沿いにキャンプ場があった。道路から少し下がった場所に駐車場があり、そこからレセプションは更に階段を降りた斜面の下にある。キャンプ地はレセプションから海に向かって下る斜面に沿って作られている場所だった。
レセプション兼オーナーハウスの前のテラスからは眼下に高級別荘が建ち並ぶサン・ジャン・カップ・フェラの岬が見えている。キャンプ場も斜面になっているのでテントにいながらにしてこの風景を楽しめるキャンプ地が多く、素晴らしく眺めの良いキャンプ地だった。眺めの素晴らしさでは今回の旅の筆頭になるだろう。
どこにテントを張るかと考えた場合、レセプション近くだと景色は劣るがシャワー・トイレ棟に近く駐車場に行くのにも苦痛が少ない。景色を優先すると毎回坂を上がらなければならない。ここに張り付いて景色を楽しむわけでなく観光も色々と考えていた私たちは景色よりも利便性を優先した場所にテントを張ることにした。
朝早く出発してテントを張り終えて滞在準備完了してもまだ11時前。これなら余裕でエズの観光に行けそうだ。
ということで、移動日は通常観光しないのだが今日はエズ観光に出かけることにした。
エズ村はキャンプ場よりも低い場所にある。エズ村への道を折れると坂道になってどんどんと下り、途中からは村のある小山が見渡せた。本当に海の目の前にちょーんと突き出た山の上にこちゃこちゃと見えて変わった場所に作られた村だった。
ここから九十九折の坂道をどんどん果てしなく下ってエズ村の小山の麓に到着。ここで車を停車して村へは徒歩で入ることになる。
村への入り口にスーパーがあってキャンプ地から一番近いスーパーがここだということだったが、値段が高い割りに品揃えが薄く鮮度も低い。あんまり長居はできないなぁ。
あまり大きくもない駐車場は待ちが出るほどに込んでいたが、しばらく待って空きが出て停めることができた。この後、午後2時過ぎに帰る頃にはもっと行列ができていたのでエズ村への車での観光は早い時間に始めた方がいいようだ。
ニースやモナコからのバスは駐車場脇のスーパーの前に停車する。バスでここまで来る多くの観光客の中には日本人の姿も少なからず見られた。
村に入るなり平らな道は全くなくなり常に上り坂となる。こんな急坂にできた小さな村にもかかわらず高級シャトーホテルが2軒あるそうで、そのうちの1軒の駐車場にはランボルギーニが停まっていて観光客の注目を集めていた。さすが高級シャトー。「地球の歩き方」によると一泊170ユーロから1080ユーロ。恐らく海が見える側の部屋が高いのだろう。それにしても、そこから見える景色よりも今日自分たちが滞在するキャンプ地の方がより景色がよかったりするから嬉しい。他よりはちょっと高めの一泊32.4ユーロだが、シャトーホテルに比べたら全く安い。いやー、素晴らしいキャンプ地に巡り合えたとエズに来て再認識してしまった。
今まで訪れた「鷹ノ巣村」の中ではサンポールに似ているだろうか。細い路地が数本上に上にと続く石畳の道の両側には同じく石を積み上げた建物が建っていて、夏の日差しに青々とツタを絡ませた中にピンクの花が盛んに咲き誇っていたりしいる。土産物屋やレストランやカフェがあちこちにあって、楽しさを増してくれる。時折、路地の向こうの断崖の下の方に碧い海が見え隠れするのが今までにない面白さだった。サンポールには海がない代わりにギャラリーが多くあり、どちらがより魅力的というのは好みによってわかれるところだろう。
村の一番高い場所には古い城跡に作られた熱帯庭園がある。この辺りで熱帯庭園と言うとサボテンがあったりして異国の雰囲気を出している庭園を指すようで現代の私たちにとってそんなに珍しいものでもないのだが、一番高台にあるためにそこからの景色が見ものなので入場料5ユーロを支払って入ってみることにした。
内部も更に階段や坂道で高台へ登っていく。道中にはやはりサボテンや南国風な植物が植わっていて、途中で振り返るとそれらの植物越しに眼下にレンガ色のヨーロッパの屋根が見えてくる風景が面白い。一番上には城跡と見られる廃墟があって展望台になっていた。ここは視界を閉ざされることなく360度オープンな場所なので景色がとても良い。私たちのキャンプ場に続くグランド・コルニッシュの道が見え、そのずっと左下にサン・ジャン・カップ・フェラの岬が見えた。この熱帯植物園から見える赤い屋根の建物が2つ目にして一番高い場所にあるシャトー・ホテルだろう。
私たちは下のスーパーで購入したハムとパンでサンドイッチを作り、城跡のベンチでお弁当。こういう場所でのピクニックは何を食べるのであれ、とにかくおいしく感じてしまう。食べていると、だんだんと雲が発生して太陽が曇り始めてしまった。さぁ、そろそろエズ観光を終了して帰ることにしようか。エズでの滞在時間は2時間だったが、かなりゆっくりと過ごせるくらい小さな村だった。まぁ、もっとお店をじっくりと見てショッピングしたり、レストランでフルコースの昼食を楽しんだりしたらあと2時間は必要だろうけどね。
車でキャンプ地に戻ると再び太陽が復活して、気持ちのいい午後になっていた。椅子とテーブルを出して午後の風景をたっぷりと楽しみ、夕食を終えた午後7時でもまだまだ夕方の雰囲気なのでレセプション前のテラスにコンピュータを持ち込んでサイト更新の作業。このキャンプ場はテント付近に電源がないということでここしか電源がないという理由もあって、ここに来たのだ。本来、このテラスでは何か飲み物を注文しないといけないのだが、今朝コーヒーとカプチーノを飲んでいるのでオーナー夫人も黙認してくれている。他の人が座ると颯爽と注文を取りに行くのだが。
太陽がゆっくりと沈んで海が赤く染まり、やがて満月に近い月が高く上がって海に銀色の道をつけるころ、岬には華やかなオレンジの街灯が宝石のように灯り始める。夕刻から夜に至るまでのこの一連の風景は誠に素晴らしく、今日のハイライトとも言えた。
エズ村は確かに中世の趣があって良かったが、今日は滞在するキャンプ地に魅力を感じてしまってエズ村は2番目という感じだ。明日の晩もこの光景が楽しめるかと思うと今から楽しみになってくるのだった。
◎エズ地域で滞在したキャンプサイトの情報はこちらから→
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