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2008.08.04
コルニッシュドル(黄金の断崖)ドライブと海水浴
フランス:サントマクシム

 今日はちょっと遠くまでドライブ。カンヌから南西に下ってくる海岸線はコルニッシュ・ド・レステレルという名前だが、別名コルニッシュドルと呼ばれているのだそうだ。青い海に突き刺すように入り込んでいる断崖絶壁が赤い土でできていて、夕日に照らされて黄金に輝いているように見えるところからこの名前がついたらしい。この海岸線沿いの途中にル・トライヤという村があり、そこから裏手の山にのぼってコルニッシュドルを高い所から見下ろすというハイキングが紹介されていて、最近の運動不足解消も兼ねてこのハイキングに挑戦するというのが今日の目的だった。

 キャンプ場のあるサントマクシムからル・トライヤまでは約50km離れているので、朝8時に朝食も摂らずに出発した。この時間なら、まだ海水浴客は宿泊地でコーヒーなんかすすってゆっくりしているはずなので道路が空いているはず。思った通りにいくつもある海岸線の町は車もなくすーいすーい。

 アゲイAgayという町を過ぎる頃には、赤い岩山が青い空に突き出している風景が見えてきて、展望台のように車が駐車できる場所があったので停車してみることにした。ここまで1時間だった。

 ここから見るアゲイの町(たぶんそうだと思う)は丘の上に紙ふぶきを散らしたように家が白く張り付いて見えた。あんなに急斜面に暮らすのは不便なんじゃないだろうかという疑問が沸いたのが最初で、ここから見る風景に「おお、これがコルニッシュドルか」と思わせるものはまだ出てきていなかった。まぁ、むくむくと子犬の前足のように茶色い岩が青い海に突っ込んでいる風景は面白くはあったが、驚くほどじゃない。

 駐車した場所から少し先には左手に大きな岩があり、カーブした道路のその向こうにも更に大きな岩山が見える。コルニッシュドルっぽくなってきたではないか。

 私たちはもう少し車を走らせることにした。




 4分後に再び車を停車してアゲイの町の方面を見てみると、さっき自分たちが立っていた場所が面白く海に突き出す半島になって見えている。岩の色はオレンジ色で青い海に入っていった先が白く見えるくらいに水の透明度は高かった。夏にも関わらず、この水を見ているととても冷たそうな気分がしてくるのが不思議だ。

 ここからの眺めが今日ドライブした中では一番見事な風景だった。


















 次の展望ポイントでは左手、つまり東側にビーチが見えていて、浅くなった岸辺のエメラルドグリーンから深い場所の藍色へのグラデーションが楽しめた。ここは細い半島が海に突き出している場所で、その断崖の波打つ様や、その向こうにも海が見える全体の風景も面白いが、先ほどの迫力ある景色と比べるとやや魅力に欠けた。



 こうして何度も車を停めながらコルニッシュドルの景色を楽しんで、途中で朝食休憩も取りながら、ル・トライヤに到着したのは9時52分だった。ル・トライヤは国鉄駅のある村だが、幹線道路は線路よりもずっと下の海岸沿いを走っている。ル・トライヤの国鉄駅に上がる坂の手前にうまく無料の駐車場を見つけられたので、そこに車を停めて駅まであがってみることにした。

 駅はとてもひなびた無人駅で「世界の車窓から」というテレビ番組に出てきそうな感じだった。駅員にながめの良い山への登山口を聞こうにも、村の観光案内所の場所を聞こうにも誰一人いやしない。いやー、困ったなぁ。

 しかし、線路を渡って何気なく左手を見るとあった、あった。山への上り口はこちらという表示。この表示に従って線路沿いの道を少し歩いて行くと道は山の中に入っていく散策路へと続いていた。しかしこの森への散策路は踏み切りのようなバーで遮断されていてどう見ても山への立ち入り禁止の雰囲気だ。やはり夏は山火事の危険性があるので閉山しているのだろう。

 メインの目的を失ってしまった私たちは、それでも別の入り口から入れるのではないかととりあえず村に行って情報収集してみることにした。

 しかし、この村、急な斜面にへばりつくように存在していて進めど進めど急な坂ばかり。

 しかもまだ村の姿は何も見えてこない。

 かなり登った所で、民家はまだ見えないが展望台のある場所があった。いやー、暑い。普通にしていても強いひざしなのに、運動したから余計に暑い。眼下に広がる青い水は魅力的で、すぐ下には魅力的なビーチが目に入ってしまった。「もう、今日は上に登るのではなく下で水に浸かることにしようよ!」という私の軟弱な発言に、夫は「そんな気弱でどうする!もう少しあがってみよう!」と言う。はいはい。それじゃ、もう少しあがってみましょう。

 この展望台から少しあがった場所から民家が始まった。どうにも大きくて豪華な家が多い。コート・ダジュール近くにあるこの村もお金持ちたちの別荘地帯だと思わせる家ばかりだった。豪邸外観拝見になるとは思ってもいなかったので、これはなかなか面白かった。といっても豪邸だけに門から長く上がるアプローチの小道と丈の高い樹木に隠されて建物はわずかにしか見られないのだが。

 これらの豪邸の中で、一際目立つ赤い花の房を垂らした建物があり、見ると郵便局。まぁ、何と洒落た郵便局だろう。ここの局員に聞いたら情報が得られるかもしれないと思ったら、夏季は週3日くらいしか開いていなくて今日はお休みということ。郵便局がそんなに休んでいいのか!と唖然としていたら、住民らしき男性が車で乗りつけ、彼も扉のメッセージを見て肩をすくめていた。この男性は英語が話せるようで、「何かお困りか?」と尋ねてくれたので、ありがたく登山口が閉まっているようなのだがと聞いてみると、やはりこの時期は山火事の危険があるので閉まってしまうということだった。

 この男性は親切にも、山に上らなくともこの下の道を西方向に走ればコルニッシュドルの景色を楽しみながら快適なドライブができるから、今日は予定を変更してドライブにしたらどうかとまで提案してくれた。どうやら私たちが東側のカンヌ方面から来たと思っているらしい。もうコルニッシュドルのドライブはやってきちゃったんだけど、ありがたく助言を受けて別れた。

 この男性は車に乗り込むと、大きなゲートのある住宅エリアで自動で門を開け、更に小高い丘へ続く坂道へと走り去ってしまった。

 丘の上に目をやると今まで見てきた豪邸を更に上回る大きなお屋敷ばかりが並んでいる。コート・ダジュールに近づいて来ると、私たちの知らない世界を垣間見ることもできるんだなぁと妙に感心してしまった。

 さて、山登りへの道もきっぱりと断たれた今、夫も泳ぐことに賛成。登ってきた坂道をゆるゆると下って車に戻り、水着や着替えを持ってビーチに行くことにした。さっき上から見ていたのとは別の場所だが、駐車場の近くにビーチに下りていく階段がある。下りて行くと、こじんまりとしているが多くの人が楽しんでいるビーチがあった。

 両方に赤い半島が突き出した入り江になっているので、ほとんど波がない。そのためか小さな子供連れの家族が多く、聞こえてくるのはイタリア語が多かった。アフリカのケニアの東海岸にイタリア人がごっそりと集まるワタムというビーチがある。そこも、半島と海が入り組んだ面白い地形になっていて、イタリア人っていうのはこういう地形のビーチがお好みなんだろうなぁと思われた。

 それにしても、こんな狭いマニアックなビーチをこの人たちはどういう情報網で探し当てたのか。おそらくおしゃべり好きな国民なので他の国よりも口コミの力が強く、口コミで来ているに違いないというのが、私の勝手な予測だ。

 さきほど上から見ていた時も、ずいぶんと赤い浜辺だなぁと思っていたのだが近づいてみると、これが赤い小石でできているからだということがわかる。赤い小石に混じって1割ほどの割合でコバルトブルーの石があり、これらが日に当たって微妙な色合いをかもし出していたのだった。小石は丸いが少し海に入るとごつごつしたものもある。私たちはクロックス型サンダルを履いてきていたので、サンダルのまま海に入れて便利だった。

 入り江に点在する岩の上から海に飛び込んだり、浜辺から海に入ったりと人それぞれに楽しめるビーチで私たちも海水浴。ついでに持ってきたサンドイッチも頬張って、最初の目的とはかなり異なる、お気楽な海水浴デーとなった。

 私たちがサンドイッチを食べ終わってしまった頃、朝から来ていたと思われる家族が退散して、次に午後からの組がゾクゾクとやってきた。ここのビーチは午前午後関係なく人が集まるようだ。ただし、日陰があまりないのでパラソル持参でない限り1日中滞在するのは少し厳しいかもしれない。私たちはこういう状況に慣れているので、暑くなったら身体を海で冷やしてもう少し長く居られそうだったのだが、この場所がキャンプ地から少し遠く、夕方になると海水浴客の帰宅ラッシュが始まってしまうのを懸念して午後1時に去ることにした。

 案外とすいすい帰れて午後2時前には近所まで戻ってきてしまったので、アウトドア用品のDECATHLONという店を冷かしたりする余裕もあり、なかなか楽しいドライブ。それにしても、近隣のビーチは海水浴客で大賑わい。この人たちが帰り始める前にキャンプ地に戻れて大正解だったろう。イタリア人ではないが、私も大型の広々したビーチよりも入り江のように囲まれているビーチが好みで、今日の場所は隠れ家的でもありとても気に入った。


 
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