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2008.07.24
旧市街散策
午前中にアヴィニヨンからエクス・アン・プロヴァンスに移動してきた私たちは、キャンプ場のセッティングを終え、昼食を食べてから、午後2時過ぎにキャンプ場からバスでエクス・アン・プロヴァンスの中心地に向かったのだった。
エクス・アン・プロヴァンスの旧市街は環状になった道路に囲まれている。バスは環状線をほぼ一周するように走って目的地のド・ゴール広場に到着。
美しく立派な噴水のあるロータリーがある広場には観光案内所もあり、まずはここを訪れて情報収集だ。案内所には英語が話せるスタッフがいるので地図をもらったりスーパーマーケットの場所を聞くなど、必要な情報がスムーズに得られて便利だった。「南仏にいったら英語が通じないかもしれない!」という心配は、今の所杞憂に終わっている。キャンプ場では皆英語が話せるし、観光案内所の人も話せる。もう少し小さな村の土産物屋などに行って、特別な品物などを買おうと思うと困難になるのかもしれないが、私たちレベルの旅においては南仏といえども問題なく英語が通じるようになっていた。
この広場のそばには、この町にアトリエを構え数々の名作を生み出したセザンヌの銅像が立っている。当たり前だが在住者にとっては単なる銅像であって、友達とのカッコウの待ち合わせ場所だったり、立ち話するのに丁度いい木陰だったりするわけで、「ほー、これがセザンヌの銅像か!」とわざわざカメラを構える自分がアホらしくなるほど日常的な風景の中にセザンヌがいた。
ここからほど近いミラボー通りというプラタナスの並木が美しい大通りがある。今夜の食材探しと明日のバゲットを調達するために探していたスーパーマーケット「モノプリ」はこの通り沿いにあり、場所を確認してから左手の旧市街に潜入することにした。
この通りにはエクスで一番古いカフェ、レ・ドゥー・ギャルソンもあり、セザンヌ初め各時代の有名人が通ったそうで、通りで一番賑わっている店だった。このカフェの近くにミラボー通りの真ん中にでーんと構えた緑に苔むす岩がある。これは実は噴水。大きな岩のてっぺんからちょろちょろと水が吹き出ていて変わっている。エクスには泉や噴水が100以上もあるとガイドブックに書かれていたが、これもその一つだ。
ミラボー通りに並ぶ店は新しいタイプのチェーン店が多く、店構えはビシッとプロによる外装、内装がなされているが、どれもどこかで見たような感じで面白みにかける。やはりもっと細い裏通りに行った方がいいようだ。
スーパーの場所を確認してから、私たちはレ・ドゥー・ギャルソンの脇からミラボー通りの北側に広がる旧市街へと入っていった。やっぱり、こっちの方が趣があって面白いし賑わっていた。細い路地の向こうにオークルのピンクに塗られた家の壁が見えてきたり、人通りがぱったりとだえた裏道に忽然とオブジェのような噴水が現れたりする。
可愛らしいフランステイストの雑貨を店前にディスプレーした店があれば、広場にはカフェが数軒所狭しとパラソルを広げている。ミラボーよりも生活の香りのする場所が旧市街だ。
旧市街の真ん中あたりには時計台を備えた市庁舎があり、隣にある建物も随分と歴史を感じさせる立派なものだった。こうした重々しい建物が魅力的に見えるのは周囲に花をたくさん飾ったレストランがあったり、色あでやかなケーキをショーウィンドウに飾ったパティスリーがあってこそ。新旧、軽重の微妙なバランスがあって「ああ、プロヴァンスって素敵ね」ってなことになっている。
旧市街の真ん中北側にはサン・ソヴール大聖堂や旧大司教や貴族の館が並ぶ場所がある。今までのくだけた町並みとは少し違って居住まいをただしたような建物がどーん、どーんと並んで現在は美術館や語学学校になったりしている。これらの器をいかして夏の間は音楽祭が開かれたりしているのだが、残念ながら私たちが訪れた時期にはすでに終了。もう1週間早く来ていればコンサートに行けるチャンスもあったかもしれない。もっともチケットはEUR200くらいするらしいので、チャンスがあってもお財布的に行けるかどうかは定かではない。
こうしてミラボー通りから北上して大聖堂まで名所を見て周ってから、今度はブラブラと気の向くままに小道裏道を通って再びミラボー通りに戻ってきた。そうそう、観光案内所ではエクス・アン・プロヴァンスの旧市街の地図と解説をつけた1枚の紙をくれる。これが何と日本語版があるから驚きだ。この町にはよっぽど多くの日本人が訪れているようだ。この解説があったので私たちも随分と楽しみながら散策させてもらえた。ありがたや、ありがたや。
午後6時過ぎのミラボー通りには、夜はこれからと言わんばかりに工芸品などを売る店が立ち始めていた。この町に滞在したら夜の散策も面白いかもしれない。私たちは最初に立ち寄ったスーパーで夕飯の買い物をしてキャンプ場に戻ることにした。今夜のメインは、か・も・に・く。フランスでは鴨肉はやや高級だが手の届く範囲の値段だ。外食しない分、ちょっと自炊を贅沢にしてみた。
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