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2009.06.16
キャンプ場から徒歩でシッチェスの町へ
ここのキャンプ場の目の前からもシッチェスの町に向けて公共バスが出ている。シッチェスに行くならバスで行こうかと思っていたのだが、数日前にビーチまで出て歩いた感触ではシッチェスまで徒歩で行けそう。海沿いは潮風が気持ちいいし、暑くなりすぎる午後は厳しいが午前中なら何とか歩けそうだ。
キャンプ場から海沿いの住宅街を抜けるのだが、この住宅街の家がすべからく豪邸だ。広い芝生の庭に大きな邸宅。海に近づくほど敷地も家も広くなっているようだ。海沿いには道路と遊歩道がさーっと長く伸びて平行して芝生が美しく手入れされている。そこに人工的に堤防を作って砂がたまるようになっているビーチがいくつも続いてレースの縁取りのようにシッチェスの町まで続いていた。清々として美しくよく整備されたビーチ、それがシッチェスだった。1つずつ仔細に豪邸を見物して歩くのは楽しい。建設中のコンクリート打ちっぱなしの壁に大きなガラスドアがバルコニーに続く家は特にカッコよくって、私だけではなく他の人も立ち止まってカメラを向けていた。
豪邸見物をしながら潮風に吹かれてシッチェスに向かっていると、やがて個人の邸宅は少なくなりホテル、続いてレストランが増えてくる。
最後にヨットハーバーになって芝生の公園が見える所から階段を上るとシッチェスの見所が集まっている旧市街になる。シッチェスの見所は3つのミュージアム。しかも個人の邸宅や教会を使った小さな規模のもので、これを見に来るためにシッチェスを訪れるよりはシッチェスのビーチバカンスのついでにミュージアムでも行っておくかという連中が大半だろうと思っていた。
しかし、これが大違い。「海なんて行く気がさらさらありません。」という服装のスペイン人のおばちゃま団体客があっちにもこっちにもぞろぞろといるのだ。そんなに人気だったのか。3つのミュージアムは共通券で買うとちょっとお徳になるのだが、どうにも1つしか興味が沸かなかったのでカウ・フェラ博物館だけを見学することにした。カウ・フェラ氏の邸宅を使ったこのミュージアムでは氏がパトロナイズしていたサンティアゴ・ルシニョール氏の作品を中心に氏のコレクションなどが展示されている。サンティアゴ・ルシニョール氏って知らなかったが、ガウディなどが進めたモデルニスムに参堂したアーティストだったそうだ。博物館のある周辺は古い教会、家並みの通りでなかなか素敵だった。
素敵ではあるがいかんせん狭い。博物館1つの見学を含めても1時間半とかからない。見所のある丘を降りて町に下ってみると、古い通りをそのままうまく使った商店街になっていて、レストランもパン屋さんもバーもカッコいい。
裏通りにある気持ちのいい公園で持参のサンドイッチを食べて商店街で名物らしい菓子パンを食べたらもうすることはなくなってしまった。
さて、シッチェスは、モダニストのサンティアゴ・ルシニョール氏がいたせいか、この洒落た町並みのせいか、適度に小さい規模のせいか、ゲイフレンドリーな町でもあるそうだ。昼間の町中を歩いていてもそういう気配はなかなか感じられないんだけれど、見学を終えて再び海岸線をキャンプ場まで歩いている時に、ふとあるビーチの波間を見ると「お、男ばっかりじゃん、海の中」というビーチがあった。浜辺を見るとこちらも男性カップルばっかり。昼間のシッチェスではここのビーチだけがゲイフレンドリーなことになっているのだった。
普段、肩身の狭い思いをされているだろうゲイの人々がゆったりと寛いでいる。このビーチに足を踏み入れるとこっちがマイノリティーになるくらいだから、当然だろう。こういうのもなかなか見られないシッチェスならではの景色といえる。
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