|
2009.06.09
タラゴナ観光
キャンプ場の目の前にタラゴナ行きのバス停がある。バスは各地のキャンプ場前を通りながら観光客を拾ってタラゴナのバスターミナルまで行く。
私たちのキャンプ場は値段が安いこともあって庶民的なスペイン人が多く宿泊しているのだが、海沿いの5つ星などを名乗っているキャンプ場からは裸足に柔らかそうな皮の靴を履き、白いパンツにピンクのシャツを着たドイツ人のおっちゃんなんかが乗ってくる。もちろんそういうドイツ人の嫁は寄せた胸の谷間がくっきり見えるワンピースとか着ている。いやー、お金持ちっていう感じですねぇ。いつかあんな風に夫がピンクのシャツを着るのを見てみたいものです。
終点のタラゴナバスターミナルの2つくらい手前が観光の中心地になるのだが、キャンプ場からそこまで約40分くらいかかっただろうか、停まりながら行くので時間がかかる。
タラゴナはローマ遺跡が町中に残っていることで有名な町だそうだ。今日の観光の目的はそれらローマ遺跡を見ることなんだけど、まずバスターミナルで友人の帰りの便の確認を行って、観光案内所で地図をもらってから私たちが向かったのは市場だった。久しぶりに海沿いの町に来たんだから、まず市場をチェックしておかなくちゃね。
市場に向かう途中の大通りにはこの地方で年に一度(6/23)行われる人間の城祭りを彫刻にしたオブジェがそびえていた。実物大ほどの彫刻はなかなか迫力がある。もう少し遅く来れば見られたんだけどなぁ。市場は大通りから数ブロック入り込んだ場所にあり、古い建物が改装中らしく仮のプレハブが建っていた。プレハブとはいえ絵を描きこんで楽しくしている発想がスペインらしい。中は魚売り場が大きく取られていて予想通り海産物が豊富だ。中でも南仏の市場でよく見られる「スープ用雑魚」という魚コーナーが数店で見つかったのは収獲だった。この雑魚でスープを作るとまことにおいしいのだ。いつか使おう。
再び大通りRambla Novaに戻って海に向かう。今日は衣料品の市が立っていて幅の広い大通りの中央分離帯にはぎっしりとテントのお店。主に女性衣料品が多いせいか女性市民が大量に繰り出し、ワンピース、下着、水着を手にとっては品定めしている。安売りコーナーで女性が殺到してパンツをひっくり返している図は本当に世界共通で笑っちゃう。
そんな景色を楽しみながら400mもぶらぶらと歩くと海に到着する。大勢の人が海に向かって立っているので何かあるのかなぁと私たちも見てみたが、特に見えない。どうやら修学旅行生たちの待ち合わせ場所になっているようだった。それにしても地中海が美しい。いよいよ夏に近づいてきて、海にも入れそうな気候になってきたのがますます海を魅力的に見せていた。
海沿いを左手に歩いて行くとすぐに眼下にAmfiteatre Romaの遺跡が見えてくる。ローマ時代にグラディエーター(剣闘士)がお互い、あるいは猛獣と死ぬまで戦った場所だそうだ。今は風化して海の色を背景に穏やかな遺跡になって、そういう血なまぐさい感じは当たり前だが全くない。
海沿いの遊歩道からAmfiteatre Romaへと降りて裏手の道を進むと、そこから先がローマ遺跡がよく残っている地帯となる。
崩れかけた遺跡の右側の坂道を上がった広場が考古学博物館だ。坂道を上がると崩れかけた遺跡の内部がフェンス越しに見える。
この建物も遺跡のように古い。ここにも学生がたくさん。どうやら今日は学生の修学旅行日らしい。中学生たちは考古学よりも私たちアジア人の方により興味があるみたいで、先生の説明もそっちの気で手を振ったり「ニーハオ」と言ってみたりとこちらにコンタクトを取ってくる。さっきすれ違った日本人団体観光客は全くこちらを無視していたので、スペイン中学生の方がよっぽども人間味があるなぁ。
崩れかけた遺跡の内部Pretori i Circ Romans。
300mの長さの場所先頭馬車の競争が行われていたらしい。 |
左の崩れかけた遺跡の内部をフェンス越しに見る |
考古学博物館の外観 |
細い路地の建物は今でも使われているがどことなく遺跡っぽい。 |
広場から更に細い道を伝っていくと、また別の広場に出る。ここの広場にはローマ時代の城壁跡が残っているのだが、それがまるでオブジェのようにカッコいい。というか人工的に作ったオブジェではこういう味は出せないから、オブジェ以上にカッコいいという表現が適切だ。
それでもって、この先にあるカテドラル、これはローマ遺跡ではないのだがここが観光のメインとガイドブックに書かれている。内部の宝物を見てまわるのに1.5時間はかかるんだそうだ。確かに広い。中には入らなかったが外周をずっと歩いてその広さを実感した。広いだけでなく外周の様々な角度から見るカテドラルはとても美しくもあった。カテドラルはちょっとした高台にあるので周囲は坂道の多い風景になる。全体的にセピアがかった風景に坂道はよく似合って、そこに新しい真っ白なパラソルを建てたレストランなんかがあるのはとても魅力的だった。
レストランといえば、お腹が減った。カタルーニャ地方に入ってきたのだからカタルーニャにしかない料理を食べたいなぁとこの周辺のレストランの昼の定食を聞いてまわったのだが、チキングリルとか魚のフライとか豚肉のソテーとか通り一遍のメニューしか出していない。空腹を抱えながら市場までさまよってきたのだが、市場周りもピザくらいしかないんだなぁ。適当な値段のランチが食べられない町だ。そろそろシエスタも迫ってきて市場も閉まりかけている。まずい。
結局、市場近くのデリカテッセンでお惣菜を買って市場前のベンチで食べることになったわけだが、冷めているし、さしておいしくもないのに安くもなく。あー、失敗だ。外食は難しいねぇ。
ということでお昼ご飯を食べたら観光終了。再びバスに乗ってキャンプ場に戻ったのだった。
|