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2009.05.05
妄想を抱えてプエルト・バヌスとマルベーリャ
スペイン:マルベーリャ

 マラガから東に車で1時間のマルベーリャのキャンプ場に移動してきた。ガイドブックによればマルベーリャは1950年代にメキシコ人とオーストラリア人のハーフであるアルフォンソ・フォン・ホーエンローエがマルベーリャ・クラブホテルを建ててからその繁栄が始まったとある。

 ブティック、バー、レストラン、カジノ、まぁまぁのビーチがあってナイトライフの充実度はコスタ・デル・ソルで一番というこの街は、90年代から始まった土地の開発に対してマルベーリャ市政が建築許可証を発行することになったために汚職が生じ、2005年には41人がヨーロッパマネーロンダリング絡みが逮捕されたり、旧ソ連のマフィアのボス28人が逮捕されたりしたという。読めば読むほどダーティーなイメージのマルベーリャが私たちの頭の中にできあがっていった。

 高速道路を下りてから国道に入ってマルベーリャ手前のキャンプ場に向かうのだが、ここが入りにくい。国道は高速道路並みにスピードアップして走る車ばかり。そこに側道もなしにいきなり飛び込めというのだ。そして誰もスピードを緩めようともしないし車の流れもなかなか途切れない。阿呆のようにじーっと5分くらいも睨んでからやっと国道に入ることができたのだった。この状況からしてもう「乱開発→汚職→むちゃくちゃな都市計画及び大量マフィア在住」という構図が頭に浮かんじゃう。

 もう妄想は止まらない。

 マルベーリャの街に近づくと斜面に真っ白な壁の真新しい住宅が斜面に広がり「発売中」の文字が躍る。乱開発しているなぁ、やっぱりロシアンマフィアが入ってきているのかなぁ。

 気が付くとベンツの比率が増えてきたような気がするし、走り方も荒っぽくってヤクザな走りの車を見かける。(まぁ、今までもそんな走り方の車は度々見かけてきたんだけど、一度妄想が始まるととまらない)

 もう私たちの頭の中はマルベーリャ=ロシアン・マフィアの巣窟くらいなイメージができあがって、その妄想でアホ話を盛り上げながらマルベーリャのキャンプ場入りしたのだった。

 恐怖の国道にこりごりした私たちはキャンプ場からはバスに乗ってマルベーリャの街に向かうことにした。キャンプ場のフロントのお姉さんがマルベーリャに行くならプエルト・バヌスにも是非足を延ばした方がいいと言う。プエルト・バヌスはマルベーリャから6km離れたマリーナで「海に浮かぶパレス」とも言うべきクルーザーがゴロゴロ停泊しているというのだ。

 私たちはまずマルベーリャのバスターミナルまでバスで行き、そこからすぐにプエルト・バヌス行きの別のバスに乗り継いでゴージャスなクルーザーを見学しに行った。バス停から徒歩でマリーナに到着するとあるある。シエスタ時間帯の強烈なひざしに照らされて5000万円から1億円(マリーナでクルーザー販売していて価格をみたらこんな値段だった)というクルーザーがぎっしりと並んでいる。んでもって、マリーナ沿いに並んでいる車はおベンツ、おポルシェとこれまた高級車。ひゃー、マネーロンダリングだわ、汚職だわ、マフィアだわとここでも妄想が炸裂。

 豪華クルーザーが並ぶマリーナと言えば、昨年夏に南フランスのサントロペもそうだった。女優ブリジット・バルドーが裸足で歩き回っていた街サントロペは今でもヨーロッパのVIPが集まる場所として有名だそうであそこのクルーザー達はすごかった。街もサントロペは中世からの建物が残った歴史を感じさせる町並みでプエルト・バヌスには出せない味わいがある。ということで、プエルト・バヌスは頑張っているけれどサントロペほどには魅力的ではなかった。

 とはいえ、マリーナからホテルのある岬を隔てた向こう側にはわりと美しい水のビーチがあるし、マリーナ周辺はこざっぱりとして気持ちのいいレストランやカフェがたくさんあってやしの木が南国な雰囲気を出している。通りには気軽なブティックからカルティエまでショッピングを楽しめる機会も多い。歴史というテクスチャーには欠けるものの、気軽にバカンスで滞在する拠点としては格好の場所だなぁ。歴史のある街へはここからエクスカーションで行けばいいしね。そう思ったら、やっと朝から走り続けていた妄想が止まった。妄想なしに見れば、プエルト・バヌスはコンパクトにまとめられた近代的で気持ちのいいビーチリゾートだ。

 さて再びバスに乗ってマルベーリャの街に戻る。人口10万人以上を抱えるマルベーリャは街としての規模は大きいけれど見所は16世紀の市役所周辺の200m×300mくらいの範囲に限られている。車の入らない細い路地に真っ白な壁の家が続き、シエスタに入ってしまった今の時間帯はお店は閉まり観光客も少なくてひっそりとしていた。

 こんな時のお楽しみはタパスだ。

 ガイドブックでおススメするタパス屋が2軒存在する旧市街のCalle Saan Lazaro通りを訪ねるととても狭い路地で両脇にはタパス屋が並んでいた。何て魅力的な所だろう。

 ここもシエスタ時間とあって人通りは少なく何軒かの店は閉まっていたがガイドブックで勧められていた店は開いていたのでビールとタパス数品を楽しんだ。

 セビリアの大雑把だけれど安くて盛りがいいタパスに比べると、こちらは器もスタイリッシュで量が少なめでお値段も一皿3ユーロくらいと1ユーロ高かった。ぶっきらぼうなセビリアに比べると、こちらは店員さんの感じが良かったけどね。


 旧市街からぶらぶらとマリーナに向かってみる。

 マリーナがあって、隣には大衆的な大型リゾートホテル、その前にビーチ。マリーナから続く歩道沿いにはレストランが並んでいるのはプエルト・バヌスに近い構造なのだが、マリーナは先ほどのプエルト・バヌスに高級クルーザーを取られてしまったのだろうか小さなボートやクルーザーしか停泊していなかったし、海の水の色もこちらはあまり美しくもない。ちょっと熱海を思い出す。

 熱海と違うのはマリーナから少し東に歩いた場所に旧市街に続く広い遊歩道Avenida del Marがあって、そこにガウディの彫刻作品が普通に展示されていることだ。

 芸術は凄い。そこにあるだけで周囲の環境意イメージをがらっと変えてしまう力があるんだから。


 ほんの150mほどの遊歩道が終わるとPlaza de la Alamedaという大きな樹木がたくさん生えている公園になった。ベンチも置いてあって気持ちのいい場所だ。

 公園を抜けるとキャンプ場まで続く大通り。ここの街路樹もたっぷりとして美しい。スペインの街路樹は大胆で斬新なデザインだと感じる事が幾度かあったがマルベーリャの街路樹もカッコいい。

 街としての観光ポイントはあまりないのだが、滞在先として機能的に美しくできているなぁという印象の街だった。

 この後、キャンプ場でお隣のキャンピングカーのイギリス人旦那とフィリピン人夫人のカップルとお茶することになるが、イギリス人旦那からコスタ・デル・ソルにはイギリス人が50万人(本当か?)も住んでいるという話を聞いた。となれば、マルベーリャが短期の観光リゾート地というよりは生活に適した機能を備えた街という印象を持ったのも当然だろう。

 私たちはこれから、マルベーリャを滞在の拠点にして先日のフリヒリアナに続く白い村第二弾ミハス、そして第三弾カサレス、ガウシンを訪ねる日帰り旅行を行うことになる。


 
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