|
2009.05.04
ヨーロッパのバルコニー「ネルハ」と白い村「フリヒリアナ」
マラガから56km東に位置するネルハNerjaという小さな町は海岸線が崖になって立ち上がった地形を持ち、高い位置から海を眺めることができることから「ヨーロッパのバルコニー」と呼ばれているんだそうだ。ネルハから車で10分北上した場所にあるフリヒリアナFrigilianaの2つを訪ねる日帰り旅行を行った。
「アンダルシアといったら白い村だろう!」
バルセロナの日本人宿で見た「地球の歩き方」から強烈な印象を受けた夫はアンダルシアに入ってから「白い村、白い村」と言い続けている。ところが手持ちのロンリープラネットは地球の歩き方ほどに白い村には熱心ではなく、今回訪れるフリヒリアナについてもロンプラには一言も記載がなかった。地球の歩き方や日本の旅行代理店のあまりに加熱した「白い村」の取り上げ方とロンプラのトーンダウンした調子の差に私は「白い村」に対してとても懐疑的だった。
「本当にいいのか白い村、行っていいのか、フリヒリアナ?」
東に向かう朝のドライブは太陽がまぶしく右手の海は朝日に光ってきらきらと輝く。そんな海沿いのワインディングロード沿いには朝日に輝く白い壁の家々が立ち並ぶ。
「ほら、ここも白い村、あそこにも白い村がある、白い村なんて珍しくないんじゃないの?」と皮肉る私に夫はだんだん弱気になりつつも、とにかく30分のドライブでネルハに到着。
ネルハについては地図もない。うまい具合に路上に無料の駐車できる場所が見つかったので車を停めて歩き始めた。ここはどこ?ヨーロッパのバルコニーはどこ?
素敵な4つ星ホテルがあったので道を聞くと見所がマーキングされたわかりやすい街の地図を1枚くれた。これだけでネルハ、好印象だ。ネルハの街は海岸とメインロードにはさまれた海沿いに細長い街で私たちは西端に車を停めたようだ。街の中央にある観光案内所、そしてその目の前がヨーロッパのバルコニー。ここから1kmくらいで十分に歩ける距離だった。
海沿いの道はホテルやアパートが並び、長期で滞在しているらしいイギリス人達が朝のパンを抱えて立ち話していた。
時々海沿いに張り出した公園から見ると、向こうに断崖絶壁が見える。あそこだな、きっと。
近づくにつれてレストランや土産物屋が出てきて街が繁華街になってきた。
見えていた断崖絶壁には次々に大型バスで団体観光客が訪れて、かなりの観光スポットになっているらしかった。
バルコニーと言われるだけあって突き出した断崖の上に半円状の手すりの展望台が作られている。ここから左右に美しい海岸線が続いているのはとても美しい風景だった。海の水もマラガと比べると泳ぎたくなる美しい色合い。海水浴目当てで長期滞在するなら絶対にこちらがおススメの場所だ。
ネルハはこのバルコニーがハイライトで裏手左右300mくらいに商店街が2本走っていておしまいの小さな町だが、人が大勢訪れて活気が感じられる楽しそうな所だった。地中海マダムがビーチ沿いで羽織りそうなシースルーのミニドレスに魅かれたがお値段60ユーロを見て瞬時に100歩くらい引いてしまった。あー、アジアが恋しい。
ということでネルハ1時間の観光を終えて、次の目的地フリヒリアナに向かう。
海岸を背にして道はすぐに上り道。どんどんと高度を上げながら右へ左へと曲りくねる道を山の中へと入っていった。といっても5分も走ると山間に真っ白な家々が立ち並んでいるのが見えてくる。近い、フリヒリアナ。
村に入る手前の路上に駐車スペースがあったのでそこに駐車。ここは無料のスペースだ。村まで行くと有料の駐車スペースがある。スペインの町はこういうパターンが多い。有料もあるのだが少し手前に無料の駐車スペースがある。有料になると途端に高額の駐車料金が発生し、これまで何度か駐車料金を支払ってやっと無料スペースのコツをつかんできた。
今日はうまく無料で停車し続けている。いい感じだ。
ここから坂を登ると村が始まる。村の入り口右手に観光案内所への矢印があったので地図でももらおうと訪ねてみると「10分ほど席を離れますのでしばらくおまちください」の張り紙。そこにいたオランダ人一家のお母さんが「もう20分くらい待っているんだけど帰ってこないのよねぇ」と苦笑。これもアンダルシアな感じだなぁ。丁度昼時なので持参のサンドイッチを食べながら待っていると、ようやく係員が戻ってきたのだった。
で、フリヒリアナの地図をもらいたいというといきなり笑いだした。小さい村だからそんな物はないんだそうだ。笑っちゃうって所がまたスペインらしい。村の地図はもらえなかったが、フリヒリアナを含むLa
Axaruqia地方に点在する白い村の情報と地図をもらうことができたのは収獲だった。村に入ると地図の掲示板があったので見ると、本当に簡単な村だ。
右上が村の入り口で胃袋上に左下に下がる形の村は中央にメインストリートが1本通っていて、時々枝道がある。見所が解説してあるが実際に見に行くと見所を見るというよりは白い村の雰囲気をブラブラ散策して楽しむことに観光の主眼があると思われた。
それではメインロードに沿って歩いてみよう。村は斜面にへばりつくように作られているので坂道を登ったり下ったりしてあまり平らな場所がない。それが景色に変化をつけて真っ白に塗られた壁と美しく飾られた家々の花鉢に彩られてとても可愛らしい町並みを作っているのだった。いやー、前言撤回。白い村は素晴らしい!ロンリープラネットに掲載されていなかったのは白い村が公共の交通機関でいきにくい場所にあるからだったかもねぇ。というのも白人観光客もたくさん訪れているから、ヨーロッパでも人気があるようなのだ。
それにしても真っ白な壁、美しい花、本当に丹念に手入れされている村で住んでいる人の村に対する愛情や意気込みが感じられる。ここに来ると写真が上手になったような気になり、あくまでも被写体がいいってことを忘れさせてくれる心地よさもあった。
こうして村を散策すること1時間、白い村第一弾に大満足して帰途についたのだった。
|