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2009.04.29
アルカサル、春祭り、夜はフラメンコショー
観光案内所でお勧めしてくれたフラメンコショーの中から、飲み物や食べ物が一切つかないショーのみを見せる場所に行ってみることにした。ショーは午後9時から1時間ということなので、ぎりぎりキャンプ場への最終バスに間に合うだろうと考えてバスで街へ。
夜9時の予定に合わせて午後2時から街に繰り出し、見残しているアルカサルの見学、再び春祭り会場、そしてタパス屋で軽く夕飯を取ってフラメンコショーという盛りだくさんな午後から夜の計画だ。
アルカサルは昨日訪れたカテドラルの向かいの赤い壁の門が入り口だ。
913年に城塞として建築されてからイスラム教の指導者が宮殿として住み、その後増築を繰り返しながら、レコンキスタを経てキリスト教指導者の宮殿としてさらに増築されていった複合建築物だそうで、様々な時代の様式と2つの宗教の影響が交じり合っている不思議な建物だった。アルハンブラ宮殿ではそんなにキリスト教の影響を感じなかったが、こちらは建物ごとにくっきりとその違いが見受けられ、同じ建物群の中でこんなに毛色の違う建物が混在しているという点で非常に面白かった。
庭園もかなり広くて見ごたえがある。といっても1時間でざっと全ての見学が終了した。アルハンブラには5時間もかかったので(まぁかなりゆっくりだったので3時間もあれば終了すると思うが)、そういう意味ではアルカサルの規模はあまり大きくないのかもしれない。
さて、そこから徒歩で再び春祭りの会場へ。旧市街とスペイン広場の間から会場行きのピストン輸送のバスも出ているが歩いて行けない距離ではない。
昨日よりも天気が良くて、衣装がますます日の光に映えて美しい会場だった。昨日よりも時間が遅いせいか学校が終わったようなティーンエージャーが多い。着飾っているのが嬉しくてたまらないという表情で闊歩している。
会場を歩き回っていたら、あっという間に午後7時をまわってしまった。ショーは9時からなのだがチケットの前売りが午後8時開始なので、そろそろ旧市街に戻らなくっちゃ。
今日の会場はALVAREZ QUINTERO 48というシアター。昔ながらの家を使っているのかと思いきや、天井がない。実は家と家の間の屋外を室内風に改築して帆布で屋根がかけられるようにした場所だったのだ。入場料は一人16ユーロ。伝統的な食事付フラメンコショーでは一人50ユーロくらい取る事を考えると、ショーだけを見せてくれる場所は貴重だ。
8時から続々と人が集まってきて、9時の開演前にはほぼ満席の状態になった。
最初に司会の女性が出てきて、今日の演目は3部構成になっているのだが最後の部のみ写真撮影が可能で、最初の2部は撮影しないでくれという注意事項が言い渡された。
ギター、歌い手、ダンサーの3人による第一部。撮るなっつーのに皆、密かに隠し撮りしている。でも結局、照明が足りなくて写らないんだけどね。
昨日、今日と春祭りの会場で見かけた盆踊り的な楽しいフラメンコでは全くなくて、眉間にシワを寄せて深刻な表情で踊られるフラメンコは力強い手の動き、タップの響きで物凄い迫力だ。しかも一番前の真ん中に席を取っているのでダンサーの振り回すドレスの裾の風を感じるくらいに近いからなお更だ。
撮影しないという状況もたまにはいい。踊りを見る方に意識を集中できるからショーを堪能した気分になる。
私も2部までは撮影せずに踊りを見るのに集中し、3部になってから撮影に乗り出した。衣装が裾3mはあろうかという長いドレスで踊るフラメンコで、後でフラメンコを習っている京子さんに聞いたら、あの裾をうまく絡ませずに踊るには高い技術が必要なんだって。本当によく転ばないなぁと感心するし、裾さばきで表情に幅がでるのでより迫力が感じられた。
素晴らしい、素晴らしいと大喝采で第3部が終了すると、照明が明るくなり歌い手の女性が「ここから先が第3部なのでここから撮影が可能です。今までは撮影してはいけなかったのです」とちょっと怒りながら言うではないか。あらら、そうだったの?でもね、部分けがわかりにくいのよね。
ということでダンサーは再び衣装変えして、ここからはフラッシュを使う人あり、連写あり、ビデオ撮影ありと大撮影大会になったのだった。確かに初めからこの状況を許してしまうと演者の気が散ってしまうから禁止されているんだろうなぁ。
1部から3部まで踊りの質は変わらずに高い。でも衣装が1部と2部の方が全然ゴージャスだった。どうせ撮影させてくれるなら1部、2部のような衣装が良かったなぁ。今日のは少人数の編成なので玄人向きのショーの雰囲気で、もっとうかれた観光的な明るい大人数のショーを期待するなら、もっとお値段の張るレストランのショーに行った方がいいということになるだろう。
1時間の公演が終了して会場を後にしたのが午後10時10分。最終バスが午後11時半とかだったので随分時間があるなぁと思いつつバス停に行ってみると、午後10時半にバスがやってきた。えええ?もしこれを逃したら、私たちはタクシーでキャンプ場まで戻らなくては行けなくなっていたのだろうか。バスの運行表はキャンプ場が渡してくれたもののみでバス停に運好表はない。日中なら「こういう所がスペインっぽいよねー」とおおらかに笑えるが、こう夜中になってくると笑えない。ふー、危ない所だった。
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