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2009.04.27
アンダルシアが肌に染みてくる、セビリアの街歩き
スペイン:セビリア

 人気の高いアンダルシアの中でも、特に人気のある町セビリア。古い街並み、今にもフラメンコを踊りそうな黒髪の女達、タパス屋でワイン片手に談義する男達。そんな風景を求めて、今日は一日セビリアを散策してみることにした。

 まず向かったのは旧市街の南側にあるスペイン広場。噴水のある広場を取り囲むように長い廊下が半円状になっている建物のある場所で、見ていると次から次へと観光客が大型バスで到着しては広場に吐き出されている。私の持っているガイドブックにはそんなに大した説明もないのにこの人気ぶりはなんだ?

 確かに朝日を受けてすっくとそびえる塔はデコレーションケーキみたいで素敵だし、回廊は天井が高くて気持ちのいい空間を作り出しているが、見るべきものはそれくらいで終了。一体観光客はどこに行っているというのだろうか。

 ふと見ると、スペイン人観光客は回廊の足元にあるタイルの装飾の前でガイドさんがの説明を熱心に聞いている。タイルはスペイン各地によってデザインが異なっていて、どうやら観光客はここで自分の街のタイルを見て歴史の説明を聞きに来ているようなのだ。説明を聞いては大きくうなずき、神妙に写真を撮っている。自分大好き、ひいては自分の街も大好きと思われるスペイン人らしいこの朝の光景に思わずうふふと笑いがもれてしまった。

 広場を出て北部の旧市街に向かう。スペイン広場を出てすぐの場所には観光客目当ての土産物屋が出ているが、フラメンコのスカーフ、帽子、扇子、フラメンコ衣装を模したエプロンなどフラメンコづくしで、浅草の仲見世通りを彷彿とさせるこの風景にまたもや笑いがこみあげてくる。グラナダではあまり感じなかったが、セビリアに来るといきなり南スペイン丸出しで「朝からとばしてるねー」という感じだ。

 旧タバコ工場の脇の通りを抜けて向かう旧市街は、古い建物を利用して洒落たカフェやレストランが並ぶ。歩道には丁度写真のエキシビションなのだろうか、大きな黒人の写真が距離を置いて展示されていて、古い街並みとスタイリッシュな黒人の写真があいまって、かなりカッコいい風景を作り出していた。

 旧市街にあるツーリストインフォで情報を収集。世界中からの観光客にいい意味で慣れているインフォメーションで、インフォメーションがお勧めするタブラオ(フラメンコが見られる場所)リストは価格別になっていて広告一辺倒のフリーペーパーよりもずっと親身な情報だった。場所によっては「お答えできません」とつっぱねられる危険性のある「お勧めのタパス屋は?」という質問も、担当してくれた若い女性がよく行っているという場所を丁寧に教えてくれた。うーん、感じいい。ついでに闘牛をやっているらしいという情報を得て、この次に行くサンタクルス街の後、闘牛場まで様子を探りに行くことに決めた。

 右手に教会、左手にアルカサルの赤いゲートが見えてきたら、次に目指すバリオ・デ・サンタクルスBariio de Santa Cruz(サンタクスル街)はもうすぐだ。参考にしているガイドブック「ロンリープラネット」は「地球の歩き方」に比べると圧倒的に文字による解説が多い。しかも英語ときているもんだから、こっちのボキャブラリーと想像力を総動員しても、いつもどういう場所なのかビジュアルに思い描くことなく突入するケースが多い。このサンタクルス街もその一つで、「とにかくレストランが多くて、細い路地が多い古い町並みなのね」という認識はあったものの、こんなにこちゃこちゃとして迷路のようになった場所だとは思っていなかった。

 細い路地沿いにはびっしりと低階層の家が並び、1階が土産物屋やレストランやお店、2階から上がホテルやら住居になっている。漆喰のように白い壁に通りによって赤や黄色に統一されたアクセントカラーが塗ってある。でも、それだけではすぐに迷子になってしまいそうだ。映画のセットの街の中を歩いているようなテーマパークの中にいるような楽しい雰囲気の場所だった。ここは観光のメッカでもあるらしく、団体観光客がガイドの説明を聞くために狭い通りを埋めてしまうと説明が終わるまでこちらも通れないってくらい狭い。ついでにガイドの説明も聞けちゃうから、悪いばかりではない。

 まだ朝早い(といっても午前11時前だが)ということもあり、レストランはまだ眠そうな雰囲気。夜になったらさぞや盛り上がってくるのだろうなぁ。遠いキャンプ地からバスで来ている私たちにはサンタクルス街で夜遊びすることは難しいけど、セビリア市内に宿を取っていたら絶対に夜来てみたい場所だ。

 サンタクルス街から闘牛場に向かう道中で、街の電気屋さんを発見。実は私たちは電気コンロを探していたので、立ち寄って聞いてみるとあるというではないか。しかもスペイン唯一のデパートに置いてあるカッコいい高級電気コンロじゃなくって普通のなので、お値段もこなれた25ユーロ。おお、買いたい。しかし、この値段が他でも同じかどうか確かめたくなった私たちはとりあえずニッコリと「また来るね」と店を後にしたのだった。


ダフ屋のいる門を入る

TAQUILLASがチケット売り場の意味
 闘牛場の近辺になると「闘牛チケットあります」と看板を出した店をよく見かけるようになった。事前にインフォメーションのお姉さんから「チケットは必ず闘牛場に直接赴いて買うように。周辺のお店はマージンを上乗せするので高いですから」と注意を受けていたので、お店は素通りだ。闘牛場の敷地内に入ると「チケットを買うのかい?あるよ!」と声をかけてくる男達は明らかに素性がダフ屋っぽい。久しぶりに南米チックな雰囲気にムラッと闘志を燃やしかけたが、ダフ屋っぽい連中はそんなにしつこくなく退散していったのだった。

 セビリアでの闘牛は通年行われているわけではない、この時期の闘牛は華やかなフラメンコの衣装の女性とマタドール(闘牛士)が馬車に乗って会場に入場してくるなどと聞くとついつい見たくなったのだが、一番安い席は遠い先まで売り切れ状態。だからダフ屋が登場してきたのね。ダフ屋から買うほど興味はないし、ま、次回ですね。とあっさり先送りを決定して闘牛場を後にした。

 さて、時刻はもう12時を越えている。朝から動き回っているのでお腹がすいて仕方ないのだが、闘牛場のある川沿いはいかにもツーリスティックなお店ばかりでどうにも入る気になれない。空腹を抱えながら、さっきインフォメーションの姉さんに教えてもらったタパス屋までちょっと急ぎ足で向かうことになった。川沿いの道を北上して大通りのCalle Reyes Catolicosを北東方向にのぼっていく。この通りは旧市街の外周にあたり既に観光客というよりは地元の雰囲気が漂う繁華街だった。そして、ここでも電気店を発見。お腹がぐーぐー言っているものの電気コンロへの欲望が勝って店に入る。そして、ここでも25ユーロでほぼ同じ形の電気コンロがあることがわかった。やったー!即、購入を決意。

 スペインのキャンプ場では大抵電気料金は別途徴収になっている。しかも電気料金は昨年、フランスやイタリアでキャンプした時よりも随分高くて1日の4ユーロくらいする。コンピュータとテント内用の照明くらいしか電気を使っていない私たちには非常に不利な料金設定だったのだ。

 これを打破し、ついでにガスコンロ用のガスを節約するという意味でも電気コンロはすごく欲しかった家電製品だった。グラナダでも探したのだが、一流デパートのエル・コルテ・イングレス様では60ユーロもするスタイリッシュなデザインのしか置いていなくてがっかりだった。それがセビリアに来たら頻繁にみかける。いやー、いい町だ。

 電気コンロは直径24cmの鍋を乗せたらぴったりのサイズ。これ以降、私たちのキャンプ生活は電気コンロ使いまくりで食生活は前回のガスコンロのみのキャンプ生活に比べたら、各段に豊かで楽しいものになった。

 因みにこのコンロの最大電気使用量は1600Wと書かれている。この国は220Vなので7.28A以上が必要になる(1600/220)。キャンプ場によっては一つの電源は5Aまでと表記されている場所もあり、電気コンロのスイッチを最高温度にするとブレーカーが飛ぶ恐れがあるんじゃないかと恐る恐る使ってみたのだが、5Aと書かれていた場所も問題なく使えた。これは例えば4箇所の電源の総要領が20Aで一つあたり5Aになっているような場合が多い。だから真夏の混雑した状況で4つとも電源がふさがって、みんなが大容量の電気を使った場合はブレーカーが飛ぶのかもしれない。それにしても、昨今のキャンピングカーで来るキャンパーは電気コンロ、電気BBQ調理器、果ては電子レンジまで持ち込んでいる人もいるくらいだから、キャンプ場としてもある程度の大容量電気使用は見込んでいるに違いない。料金も高いしね。キャンパーとキャンプ場の電気料金はいたちごっこみたいなもので、年々上がっていく傾向にあるのかもしれない。

 空腹を一瞬忘れるくらい電気コンロに狂喜した私たちだったが、やっぱり腹は減った。インフォのお姉さんに教えてもらったタパス屋「El Rincon de Anita」は観光地から少しはずれた場所にあってわかりにくかったが、何とか発見。ようやくお昼ご飯にありつけた。ここはカウンターのショーケースに冷製のタパスが並び、温かい料理はメニューから選ぶことになっている。メニューを見ると一品2ユーロ前後だった。ウェイターの勧める料理の説明がどれもおいしそうなので、彼のお勧めから1品とメニューから数品を選んで注文した。

 くーっ!歩き回った後のビールは最高に旨い。そこに酸味の利いたジャガイモとトマトの冷たいサラダが食欲を刺激してくる。ビール2杯、タパス4品で14ユーロ。パンも付いてくる(1ユーロだったかな)のでランチとして成立する量で一人1000円というのはまぁまぁ納得できる。自炊では思いつかない料理も手軽に試せるというのもタパスの利点だ(詳しくは本日の献立2009/7/27昼を参照ください)。

 タパス屋のある場所からカテドラルに続く道Calle Sierpesやお隣のCalle Velazquesは今朝見たサンタクルス街よりは地元向きの繁華街で車の通らない通りだ。午後2時近いこの時間、店はシエスタのためにばたばたと閉まり始めているが人通りはとても多い。ウィンドーショッピングから締め出されて初めて「そろそろお昼ご飯でも食べるか」というタイミングになるのがスペイン人らしい。

 通りを抜けて広場に出ると異常に人々が集まっていて何事かと思うとバールで飲んでたりする光景を見かけた。なにせシエスタがあけるのは午後5時だ。まずはバールで軽くビールでもひっかけて、その後ゆっくりと昼食をとってもまだ時間があるってわけだ。そんなバールの背景になっている教会やちょっとした建物がまた壮麗な建築様式だったりするから絵になる。こういう場所でゆっくりと時間を過ごすというのはとても贅沢な気分のすることだ。


 とはいえ、「せっかく観光に来たのだからあんまりのんびりするのはもったいない」とか「長年連れ添った女房と積もる話もないのだからバールでゆっくりするのは苦痛だ」とか思っちゃうイギリス人やドイツ人や日本人はどーするのか?そんな人はカテドラルやアルカサルの観光に行くようになっている。もうお昼ご飯も食べて、デザートのコーヒーとケーキも食べちゃった私たちは、これ以上エンゲル係数を増やすわけにもいかないという理由から、カテドラルの観光をすることにしたのだった。

 一人8ユーロの入場料を支払って立派な外観に圧倒されながら中に入ると、中も驚くほど広くて天井が高くて立派な建物だ。巨大なパイプオルガンや金色に光り輝いて壁一面に聖者の彫刻がなされている場所がある。ほのかにステンドグラスを通じて光の入るひんやりした教会内は古い時代からずっと置かれている調度品たちが息をひそめて観光客を見つめているようなちょっとおどろおどろしい雰囲気があった。

 こんな場所に連れてこられて、バーンと大きな音でパイプオルガンを鳴らされて、神父様の声が朗々とエコーする環境に身をおいたら誰でもひれ伏したくなるような空気だなぁ。中央のこういう空気に対して枝になった回廊の部分は明るく華やかな建物や宝物殿や画廊になっていたりする。一番気に入ったのはクリスマスケーキの上に乗っているチョコレートで「メリー・クリスマス」って書いた奴あるでしょ?あれに似たのが乗っかった王冠。一体誰がどんな顔してこれをかぶっていたのか?
 
 

 ここで忘れちゃいけないのがヒラルダGIRALDAの塔。レコンキスタ前に存在していたイスラム教の塔が残っているというもので高さ90m以上もある塔は螺旋階段ならぬ螺旋坂になっていて、みんなヒーヒーいいながら登る。途中に多くの窓がついているので景色を見ながら休憩できるのがいいかもしれない。

 目線が上がって徐々に見えてくる教会の屋上や中庭、そして塔の一番上から見るセビリアの町の眺めが素晴らしかった。





 ということでカテドラルの見学に2時間をたっぷり費やした。こんなに見ごたえのある場所だとは思ってもいなかったので予想外にエネルギーがなくなってしまって、今日の散策はここで打ち切りだ。

 キャンプ場にバスで戻り、目の前のスーパーで夕食の食材を調達。今日買った電気コンロを記念して天ぷらをやろうってことで、またまたエネルギーがむくむくとわいてきた。

 スペイン広場でのスペイン人団体観光客の観察に始まったセビリアの待ち歩き。古い町並みの器を残しつつ、洒落た店が並び、見ごたえのあるカテドラルやちょっと怪しい雰囲気の闘牛場などを見て、タパスも当たりの店だったし、アンダルシアがじーんと肌に染みていい感じ。仕上げに新鮮な魚介類で天ぷらまで食べちゃうと「本当にアンダルシアは好印象!」ってな一日になった。


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