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2009.04.18
ガウディ三昧の一日
スペイン:バルセロナ

 10年以上前にバルセロナに来た時にはサグラダ・ファミリアとグエル公園を見学するだけで時間がなくなってしまった。ご存知のようにガウディの奇妙奇天烈な建築物は理屈なしに面白い。今回はその他の建築物を見てみたいと思って、今日1日をバルセロナ市内に点在するガウディの建築物見学にあてることにした。

 まずはランブラス通りの南端近くにあるグエル邸から。現在改装中で入場料金は無料なのだが、1階ロビーと地下しか見られないにもかかわらず、朝10時過ぎに到着するとすでに10人ほどの列ができていてガウディの人気の高さを物語っていた。入り口のファサードからして既にガウディ。重くて硬い金属素材をまるで紙を扱うようにぐちゃぐちゃぐちゃーっと曲げて折って巻いて作った装飾はとても迫力があった。地下は教会のような列柱が並んだ場所で、夫いわくガウディのような鉄筋コンクリートのない時代に上からの重力構造だけでこうしたアーチを作るのは難しかっただろうにそれを作り上げている所がミソってことになるらしい。そう言われればなるほどと思うのだが、単純に見て面白いってものではない。それよりもショップで見かけたガウディのデザインをモチーフにした樹木の形の置物13.5ユーロにはかなり心が引かれた。ま、置く場所も持たない私ゆえ当然買わなかったけどね。

 さてさて、お次はガウディではないのだがガウディにも建築を教えたLuis Domenech i Montanerが建てたカタルーニャ音楽堂に徒歩で向かおう。

 「今日は建築物を見る!」という気持ちでいるせいか、いつもよりも建物がよく目に入る。こうして見るとランブラス通り沿いにもちょっと変わった素敵な建物がいくつか見つかって、あらためてバルセロナという町の魅力を再認識した。Ciutat Vellaの北西部分を通ってみると昔ながらの細い石畳の路地があり、迷路のように歩いて抜けると突然に広場が広がったりしる。いかにもヨーロッパ的な町並みが面白い場所になった。偶然にも結婚式を目撃することができたが、スペインの、いやカタルーニャの花嫁は超元気。満面に笑顔を浮かべながら大またで周囲を闊歩して友人知人に喜びの挨拶をしまくる姿が思いっきり喜びを表していて可愛らしかった。しかも彼女の着ているドレスが素敵!前はミニドレス丈で後ろ側に向かって丈が長くなっている。そういえば、今回バルセロナに来て私の興味をひいたのはDesignalというブランド。町に出て歩くたびに思わず店内に入ってしまう。基本的にトロピカルな色合いにインドテイストも薄く入っていてサマードレス、欲しいなぁ。しかし高いんだよね、これが。ずーっとスペインを旅して再びバルセロナに戻ってきてオフェルタ(バーゲン)になってたら買おう。

 Ciutat Vellaを通り過ぎてVia Laietanaを北上していると右手に大きく屋根がウェーブした建物が目に入った。ガイドブックを見るとMercat de Santa Caterina。15世紀の修道院を改築して19世紀に市場になったこの場所は2005年にエリック・ミラリェスというカタルーニャの新進気鋭の建築家によってリニューアルされたとある。

 歴史ある建物が時代と共に姿を変えながらも人々の生活の中に息づいている。ありきたりのフレーズだが血潮を持って感じられるのは旅の醍醐味の瞬間でもある。

 ほどなくカタルーニャ音楽堂に到着。ガラス窓から中をのぞいてみるとキンキラキンに装飾された内部が見えてなかなかゴージャスな感じだ。しかし、時刻は正午。ちょっとここまで時間がかかりすぎてしまって、ここでゆっくり見学していると他のガウディの建物に入れなくなるだろう。音楽堂内部見学は次回へのお楽しみとして残しておくことにして、今回は場所の確認と外観の見学のみで終わらせることにした。

 さっき垣間見た内部に負けず劣らず外観も絢爛豪華。これがモデルニスタと呼ばれる人たちの作品の特徴なのだろうか。外観は色はそんなに派手ではないが、もう至る所に細々とした装飾や彫刻がほどこされていて愉快な気分になってくる建物だ。そうそう、これも世界遺産なんだって。

 ここから次の目的地バトリョ邸までは徒歩圏内。お昼ご飯を探しながら歩いたんだけど、バトリョ邸に近づけば近づくほど「や、やばい」という気分が高まる。というのも周囲の店はどんどんと高級化していき、ついにグッチだのエルメスだのの文字が見え始めてきてしまったのだ。そういう事は最初に言っといてくれなきゃ、ロンリープラネット。ということで救世主だけどあんまりお近づきにはなりたくないマクドナルドにてやむなく昼食となった。ま、たまに食べるのは旨い。

 バトリョ邸はグエル邸にも増して分かりやすい。だって周囲の建物とは全然違うからだ。残念ながら昼過ぎのこの時間は建物に日が当たっていないのであまりよくない写真なのだが、外壁には様々な色タイルが使ってあり、日があたったらそれが虹のようにきらきらと輝くってことになっている。各部屋のバルコニーはドクロみたいな形だし、1階のファサードはサグラダ・ファミリアにも使われているアメーバみたいにタラーッと垂れた柱が何本も走っている。もう一度みたら忘れられなくなりそうなガウディの作品だ。




 オーディオガイド付きとはいえ一人16.5ユーロの入場料金というのはかなり高額だけど、ここまで来て見ないわけにもいかない。私たちも行列に並んで中に入ることにした。バトリョ邸は「邸」というだけあって集合住宅で今でも普通に人が住んでいる場所なので、観光客が見学できるのは1階から2階への螺旋階段をあがった場所にあるリビング2つ、そこから階段沿いに見られる吹き抜けの部分、最上階の洗濯物干し場所と屋上だ。

 オーディオガイドは日本語を選択したので、まぁ内容がよくわかること。

 リビングのどこに目を移してもクネクネとした曲線ばかりのデザイン、今では少しレトロな感じのするガラス窓など建築の素人の私が見てもとても面白い建物で、かつよくわかる日本語の解説が聞けるので楽しい。強いて言えば、あまりに観光客が多くてどこにカメラを構えても10人は人が写ってしまうことがちょっとした問題といえば問題だ。それもまぁ、部屋のスケールがわかるからいいか。



 2階のロビーからは中庭に出られるようになっていた。明るい日差しが降り注ぐ中庭もまた壁から半球の飾りが突き出たりしてガウディらしい。

 そこから最上階までは吹き抜けに沿った階段を登る。吹き抜け部分は水色のグラデーションタイルが張りつめてあるのだが、上の階に行く程濃い色を使って、窓は小さくしてあり面白い効果を出していた。






 最上階は縦に細長い楕円の柱が続いて、魚の骨の中に入ったような気分になる。妙に通気がいいなぁと思ったら壁が途中で途切れて雨は入らないが外気はうまくはいるようになっている。この最上階は住民が洗濯物を干すのに使われていた場所なんだそうだ。

 それまでの建築ではデザインや構造などに重きが置かれていて、実際に住む人の事を考えた通気や日の光が入るかどうかということは軽視されていたのを、このガウディさんは考慮したという説明だった。

 ガウディ、偉い!

 以前にパリ郊外にコルビジェ氏が建築したサヴォア邸を見学した時に、デザインの斬新さに驚きつつも使い勝手の悪そうなキッチンだなぁという感想を持った。バスルームも部屋の真ん中にあって、湿度の低いヨーロッパだとしてもそりゃぁあんまり良くないんじゃないかとも思っていた。そういう事を考えるとガウディはちゃーんと洗濯物の事を考えていて、私はとても気に入ったのである。このあまりに小市民的な意見には自分でもちょっと嫌気がさしたのだが、まぁ、正直にそう思っちゃたんだから仕方ない。

 更に上は屋上。煙突もガウディの手になるとこんな風に楽しいオブジェに変身してしまう。屋上の端にある小さな部屋はうろこのような瓦に覆われているし、十字架の足元はにんにくのように膨らんでいる。その一つ一つに意味があって、そういう説明を聞きながら奇抜な建築物を見ていくのだ。こりゃぁ、かなり面白い。

 全ての解説を聞きながら見学するのに丸々1時間かかった。16.5ユーロはそれでもちょっと高いとは思うけど、これだけ楽しめたから後悔はなかった。

 そこから15分ほど歩いた場所にカサ・ミラというガウディの別の建築物がある。午後2時過ぎのカサ・ミラには長蛇の列ができて最後尾40分待ちとディズニーランド並みのプラカードが出ていた。いやぁ、今日はもうガウディお腹一杯になっちゃったし、もう次回への楽しみに取っておこう。




 ここまで来たらサグラダ・ファミリアの外観も拝んでおこう。地下鉄に乗ってサグラダ・ファミリアへ到着すると、ここも長蛇の列。10年前の記憶を手繰り寄せても確かに建築は進行していて、着実に完成に向かっているというのが確認できた。いつまでも工事しているように思われたこの教会も2035年には完成するとかいうことも聞いて不思議な気分だった。私が生きている間にはできないような気がしていたからだ。

 最後にグエル公園も見に行こうかと思ったが午後3時になっているので、ここで今日の見学は終了。ガウディの建築物を追いかけて町を歩いているだけで、他の奇抜な建築物、バルセロナの流行ファッション、素敵なレストランなんかも視界に入ってきて、知らずと町歩きになってくる。ガウディ以外のそうした町の風景もかなりカッコいいからバルセロナは人気があるんだろうってのを実感した一日だった。


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