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2008.07.09 Vol.1
南米へのチケット手配
世界一周を行う日本人旅行者でスペインから南米というルートを取る人が多いのは、ヨーロッパの他の地域から飛ぶよりも料金が安いからだろう。南米からヨーロッパに飛ぶ場合もマドリッドに飛ぶケースが多いのは同じ理由からのようだ。アルゼンチンのブエノスアイレスからマドリッドへUS$500以下のチケットを購入したという旅人に出会った。
前回の旅で私たちはブラジルのリオ・デ・ジャネイロからマドリッドに入ったのだが、一人US$1000くらい(もちろん片道)かかってちっとも安くなかった。ブラジルからじゃぁだめなのだ。逆にブラジルで出会ったヨーロピアンはヨーロッパ発ブラジル行きのかなり安い往復チケットを入手していた。このように安いチケットを得るには出発地をどちらに取るのか、どの国から出発するのかと色々とややこしい問題があるようだ。
今回私たちは、マドリッドからエクアドルのキトに向かうチケットを購入しようと思い、HISを含む数社の旅行代理店を回ってみることにした。因みにインターネットで一番安く購入できるのがAir
Commetという会社のチケットでEUR621.31(=US$986.21、2008年7月7日現在の換算レートUS$1=EUR0.63を使用)だった。これじゃぁ、あんまり安くない。キトだからいけないのかもしれないが、キトから南米の旅を始めたいんだからしょうがない。この金額を念頭に代理店を探すことになった。
一軒目にHISを訪ねようと、地下鉄2番線のNOVICIADOという駅から歩き始めていると、Calle los Reyesという通りからCalle Alamoに左折して大通りに出る前のやや裏道っぽい通りの左手にに神州旅行社という中国人経営の旅行代理店が目に入った。世界中で薄利多売で商売を行っているトップランナーというと中国人とインド人という気がする。この両国の国民が高いサービスを含めた高価格の商品より、原価に近いもより安い商品を好む傾向にあることに起因しているのかもしれないが、航空券などの場合は私たちはインド・中国的な考え方に大賛成だ。ここももしかしたらいい値段を出してくれるかもしれないと、立ち寄って値段を聞いてみることにした。
中に20代後半と思われる女性が英語も話せるということで、私たちの相手をしてくれた。彼女が提示した航空券はコロンビアのボゴタ乗換えでキトに行くエアー・アビアンカだった。税とサーチャージ込みで一人片道EUR495だった。因みにマドリッド発キト行きで、6ヵ月後にアルゼンチンのブエノスアイレス発マドリッド行きというチケットを手配してもらうことも相談してみたが、彼女がパチパチと調べた結果30万円、40万円という世界になってしまい、恐らくこちらからは片道を手配して、ブエノスから別に片道のマドリッド行きを手配した方が安くなるだろうという話になった。
彼女が出してくれた値段を念頭に、今度はHISに向かう。ここのHISはいわゆるアウトバンドで日本から来たツアー客の対応以外にもここでチケットの販売を行っている事務所である。場所はCalle
la Princessaという大きな通りにあるMelidaホテルが目印。メリダホテルの入り口が面している小さな通りの向かいのビルにHISがあるのだった。中に入って日本人のスタッフに対応してもらった。30代と思われる日本人の女性はまず、マドリッドからキトへの片道切符についてはエクアドル側でのビザの取得状況がどうなっているか知っているのかどうかという点を確認してきた。また、マドリッドから南米に飛んで、再びマドリッドに戻ってくるチケットの手配については、再度スペインに入ってきた時にスペインを出て日本に帰るチケットを持っているかどうかという点を確認してきた。過去のお客さんの例で、南米の行き先のビザを取得していないためにスペインで搭乗拒否された例があるとか、再度スペインに戻る往復チケットを持ってスペインを出ようとしたお客さんが、日本に戻るチケットを持っていなかったためにスペインから出ることすらできなかった例があるという話だった。
彼女のアドヴァイスとしては、マドリッドから片道で南米に入るなら入る国のビザの状況を確認することと、メキシコのHISに連絡してその国から日本に戻る、あるいはその国を出るチケットを手配してから、このマドリッド支店でチケットを手配することが望ましい。もしスペインに戻ってくるなら、日本に戻るチケットを購入してからの方がいい。そういう事だった。
過去によっぽどお客さんに因縁をつけられたのだろうか、値段を出すまでに相当の時間がこういう話に費やされてだんだんと頭がぼんやりとしてきてしまった。いったい今まで扱ったお客さんでそういうややこしくなったケースがどのくらいの割合いるのか知りたくて質問すると、「1件や2件ではありません」という答え。3件か?4件か?
中国の代理店ではそういう事は一切言われなかった所をみると、中国人の代理店は問題が起こっても面倒を見ない、安く売っているんだからそういうことは自己責任でお願いしますと割り切っているのだろうと思われた。反面、日本人はとかく問題が起こると代理店に責任をなすりつけて問題解決を丸投げする姿勢がある。折角、安い値段で航空券を販売することが売りのHISもこうした日本人の傾向に強いられて、結果、安いチケットを求める人にくどくどと説明をすることになっているんだろうと思われた。
「数々の問題はありますが、全て私どもの自己責任ということを認識した上で値段を出してもらえますか?」という条件で、やっと値段を出してもらえることになった。結果は神州旅行社と同じ便を使ったものが最安でEUR511だった。かなり頑張っていると思う。この値段で、問題が起こった責任まで取らされたんじゃたまらないよね、HIS。
さて最後にHISに来る途中で見かけたスペイン人が普通に利用すると思われる普通の旅行代理店に行ってみた。ここが提示した最安値のマドリッド-キトはエアーコメットのダイレクト便でEUR1308.62だった。ネットで2人でEUR1242.62で取れるから利益がEUR66ってのが丸見えだし、ボゴタ経由のエアー・アビアンカは質が悪いからお勧めできないと元宗主国らしくさげすんだ態度で値段を調べようともしなかったのはいただけない。即却下。
その後、世界中で学生証がある学生と教員資格証明書を持つ教員に向けて安いチケットを販売しているSTAトラベルを探したところ、ある旅行代理店が窓口になっているというので行ってみると昨年末をもってSTAトラベル窓口は廃止したということで、値段も全く安くなかったので却下。
ということで、この時点で中国人経営の旅行代理店からチケットを購入することに決定。HISもかなりいい値段だったのだが、それよりも安いのとあらかじめ自己責任でしょという態度で何も面倒な説明がなかったのが決定の要因となった。ま、何かあっても自分で処理するしかない。数日後に宿に南米からと、エジプトのカイロから片道航空券でスペインのマドリッドに入ってきた男性の単独旅行者が来た。双方ともイミグレでは何も言われずに入国できたというから、大丈夫なんじゃないかなぁと思われる。最近体験したロンドンのヒースロー空港での経験でいえば、一番疑われるのは、そのまま不法滞在して無許可で労働すると思われることだろう。その問題を解消するには銀行預金のコピーなどでちゃんと旅行を続ける資金があることを証明すればよいようだ。いざという時のためにマドリッドに戻る時にはこうした資料を用意しておくといいのかもしれないと思った
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