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2011.07.27
英仏パーキングの違い
イギリス:チェルトナム

 ヨーロッパをドライブ観光していると車を駐車させる必要が出てくる。田舎の町などでは市が無料の駐車場を用意してくれていたり、路上駐車が許されている場所も少なくないのだが、少し規模のある町に行くと有料駐車場が用意されている。

 フランスでは観光の中心地である車が入れない旧市街のすぐ外側や繁華街には無料駐車スペースがなくて駐車料金も高く、そこから離れるに従って駐車料金も安くなって場合によっては無料で駐車できる場所も出てくる。これはいたって普通の考え方で論理的でもある。

 このフランスの感覚でイギリスをドライブし始めて戸惑う事が何度かあった。

 まずはイーストボーンの西側に白亜でできた断崖絶壁が連なっているセブン・シスターズという観光名所に行った時の事だった。観光名所といっても何もない沿岸部の一部なので、幹線道路沿いにひょいと駐車スペースと食事や飲み物を出すレストハウスのある場所が入口になっているような場所だ。このスペースに駐車するのに駐車代金が必要だというのだ。確かに、この場所を走っている道路には「この道路に駐車禁止。違反の場合は罰金をとります」といちいち書かれている。しかし、レストハウスのある敷地から道路をはさんで向かいの広大な空き地はどうやら無料で駐車できるようなのだった。

 それなのに、有料のレストハウスに駐車されている数の方が無料スペースに駐車している車の数よりもずっと多い。無料スペースに駐車できるのは業者だけ?関係者だけ?特別な許可証が必要?色々と考えたのだが、どうみても普通に無料で駐車できそうなので私たちは無料駐車場に車を停めた。数時間、その周辺を歩き回って戻ったが何の問題もなかった。

 この帰りにイーストボーンの町に立ち寄った。ここも大きな道路は有料駐車になっていたのだが、その1本裏手の住宅街沿いは全て無料駐車スペースとなっていた。町から離れているならわかるが、町中にもかかわらず1本裏手に入っただけで無料になっているのが不思議だった。フランスの場合はこういう場所は住民だけに限られていて特別な許可証がないと停められないか有料になる。

 それ以降は町を訪ねる場合には、観光名所に一番近い住宅街を探して行くと必ず無料駐車スペースが見つかって非常に便利だった。

 そして後に尋ねたカンタベリーの町。カンタベリー近郊のキャンプ場情報を得るために車で町中に入って観光案内所を訪れたかった。ところが一番町中にある駐車場は全て埋まっていて停める場所がない。困りながらクルクルと繁華街の外周を巡っていたら大きなデパートの搬入口に行きあたった。ここは搬入のトラックが出入りして、中は広い駐車スペースがあり、その先が倉庫になって品物を搬入できるような場所だ。中の広い駐車スペースには「関係者以外駐停車禁止」と書かれているのだが、搬入入口から駐車スペースまでのほんの数メートルの左右に駐車できるスペースがあって、ここには注意書きがない。よく見ると一般車両も何台か停車していて運転席に人が座っていていつでも車を動かせるようにしている。どうやら繁華街に買い物に来ていた家族にピックアップしてくれるように呼ばれているお父さん達らしかった。

 これがもしフランスだったら、搬入口に人が立っていて是が非でも一般車両を立ち入らせないだろう。

 お陰で私は夫を車に残して、単独で観光案内所に行ってキャンプ情報を得て無事にキャン場に行くことができたのだった。

 わずかな体験ではあるが、フランスとイギリスの駐車事情の違いを知ることで国民性が垣間見えるのが面白かった。つまりフランスは唯我独尊、我が道を行くというタイプの人が多い国で、かつ経済観念が発達している国民だから、きっちりとルールを決めて守らせるようにしないとうまくいかないのだろう。繁華街のすぐ裏手の住宅街の駐車スペースを無料にしたら、それこそ我も我もと駐車する人が出てきて本来駐車したい住民が駐車できなくなるのかもしれないし、搬入スペースの停車を許したら、本格的にそこを駐車場代わりにする人が出てくるのかもしれない。

 一方のイギリスは、本来はデパートの搬入口だからと遠慮しながら使っている人ばかりだったし、一本裏手が無料だからといって住民でもないのにわずかなお金をけちって住民居住の駐車スペースを使ったりするのは気が引けるとか、観光名所にすぐアクセスできる有料駐車場を使わずに道路の向こうにある無料スペースを使うのは恥ずかしいといった、良く言えば良識があるというか、別の言い方をすれば人の目を気にしてプライドが高い人が多いのかもしれない。

 イギリスは島国で国全体を共同体と考えるから同じ共同体に属する人の目を気にする文化だとも言えて、一方のフランスの大陸的な考え方と対照的になるのだろうか。そういう意味ではイギリスは日本と似ている。


 
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